最近LinkedInがまた熱くなってきた

仕事用SNSのLinkedIn。昔からありますが、数年間あまり噂を聞かなかったのが、ここ半年くらいまた盛り上がってきてる感じ。昨年末に$250Mのpost valuation(増資後企業価値)でUS$13M弱増資、それ以降あれこれ新サービスを導入しているせいかも。
今年の5月時点で1100万人が登録してるそうですが、これ、中身がビジネス向けなので、MixiとかGree、MySpaceなんかとは全く違う意味での濃さがあります。特徴は

  • 実名
  • 履歴書付き

仕事に使うネットワークサイトなので仮名では意味がないので。

私も2003年に遊びで登録したんですが、何人かとリンクしたっきり飽きて放置してあったのでした。が、最近やたらと「リンクしませんか」という招待が来るので、重い腰を上げてログインしたところ、わわわ、と驚くことが。それは、

「この人知ってませんか」(You may know these people)

という「お勧めリンク先」リスト。本当によーく知っている人が10人くらいあがっていて、その正確さにあまりにも驚いたので、本腰をあげて、リンクを増やしてみたのでした。(といっても、数十件だけど。)

「You may know these people」、単に同じ時期に同じ学校に行った、とか、同じ時期に同じ会社で働いてた、というシンプルなものではありません。それだったら、もっとノイズが増えて、知らない人も大勢混じってくると思うんですが、お勧めリストはもっと深い知り合いばかり。(時々知らない人も混じっていますが)。

自分のアドレス帳をアップロードできる機能もあるので、そこから検索してるだけなのでは、ということも考えられますが、私が最初に「お勧めリンク先リスト」を見たときは、アドレスをアップロードしたりしてなかったのでこれは違う。共通の知人の有無など、いろいろなファクターを総合して見てるのではないかと推測されます。

この、You may know these people、他のユーザーも、その正確さに驚いてLinkedIn内の質問コーナーで聞いている人もいます。「本当に知っている人の名前がどんどん出てくる。どういうアルゴリズムなの!?」と。

ちなみに、この「質問コーナー」は、LinkedInが今年になって始めたサービスで、競合他社の同様なサービスとの違いは回答者の実名・職業・経歴がわかること。質問内容も、ビジネス関係のものが多い。たとえば今私のLinkedInページに出てくる質問はこんな感じ。

#
What is your best success story using LinkedIn?

#
Why does Silicon Valley lack true GMs?

#
Call Routing Solution for a Small Office?

質問をする際は「LinkedInメンバー全員に聞く」「直接の知り合いに聞く」のどちらかが選べるが、上記はみな私の2リンク先の人からの質問でありました。恐らく、「全員に聞く」を選んでも、より近い知り合いが見たときに、質問リストの上位に来るようなアルゴリズムになっているのでしょう。

で、元の「You may know these peopleはどういうアルゴリズムなの?」という質問への答えの一つがSiemensのソフトウェアアーキテクトからのものでいわく、

There isn’t any kind of magic here, and even less the slightest
trace of artificial intelligence. This is simply based on graph theory,
starting exploration of the graph of your relations from your node, and
filtering those relations according to what is called "homophily". The
greater is the homophily between two nodes, the more likely two nodes
will be connected. For a good introduction on the social network
theory, see the document linked below.
http://home.earthlink.net/~ckadushin/Texts/Basic%20Network%20Concepts.pdf

とのことで、「ネットワーク理論に基づいた簡単なものだぜ」とのことなんですが、とにかく実際に知り合いがずらりとリストに並んでいるのを見ると感動します。ちょっと怖いくらい。

「おおお、LinkedInに見張られている」

という恐怖。CIAやらFBIに見張られているテロリストの気持ちがわかる・・・のか?

あと、最近LinkedInから来るメールの末尾に、「LinkedInにまつわるファクト」が一行ついてくるんですが、これが微妙にそそる。たとえば、

Fact: More people have joined LinkedIn than live in Sweden
Fact: Adding 5 connections makes you 3.7x more likely to receive a job offer
Fact: People with 20+ connections appear in LinkedIn search results 14.6x more often

ですが、私が一瞬ビックリしたFactはこれ:

Fact: Harvard Business School graduates have 58 connections each (average)

えー、背景を説明しますと、私が行ったStanford Business Schoolは、一応Harvard Business Schoolのライバル校なんですが、そのライバル校卒業生の平均リンク数が書いてあって、競争心をあおります。これ、Stanford Business Schoolの卒業生だけを選んで書いてあるのだとしたらすごいですねぇ。どうなんでしょ。

ちなみに、私、登録当初は、伊藤穰一(Joi)サンとリンクしたために、ネットワークがめちゃくちゃに薄まってしまった。というのもJoiはスーパーハブ・グローバルネットワーカーで、数千(たぶん?)のリンクがある。そのJoiとリンクした私は、世界中の人と2-3リンクで知り合い、という状態になってしまったのでした。リンクを経て誰かを紹介してもらう、というような使い方ができるのがLinkedInのメリットの一つなのですが、誰でもJoi経由知り合い、という状態では、逆に誰も知らないのと一緒だよねぇ、ネットワークの意味ないじゃん、と。(Joiのせいではありませんが。)

今回はどうなることでしょうか・・・。

LinkedIn、ひっそり出ているスポンサー広告と求人広告がメインの収入源と聞きました。昨年時点で既に黒字だそうな。

(ひっそりスポンサー広告の例は、下の画面イメージ左上のDelta。クリックで拡大)

Linkedin

しかし、これ、日本ではダメそうなビジネス。会社同士の付き合いがメインの日本では、個人を知ってても仕事になるケースが少ないので。

「日本では、ツテ・紹介がないとビジネスは大変だ」

という反論もあろうかと思いますが、

「ツテ・紹介があるのは最低限の条件で、そこからさらに会社同志の付き合いを作り出して初めてモノゴトが動く」

というのが私の日本ビジネスのイメージです。日本だと、たとえ社長がスーパー乗り気でも動かないプロジェクトがたくさんあるわけで、つまり社長というツテがあっても万全でないと。この辺、軍隊式のアメリカの会社から見ると、どうも理解に苦しむところらしい

あと、アメリカでも、大きい会社だと、結局個人を知ってても仕事にならないこともありますが、小さい会社で働く人が多い、というのも違いでしょうか。ありきたりな話ですが。

最近LinkedInがまた熱くなってきた」への9件のフィードバック

  1. わたくしも先日久々にログインして、You may know these peopleにずらりと知り合いがならびぎょっといたしました。笑
    LinkedIn,IPO準備中ってことですが、2008の売上高予測は100Mくらいあるみたいですね。mixiが20億そこそこってとこですから、やはり英語圏というのは規模が違いますな~。

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  2. LinkedInはご存知だと思いますが、Sequoia Capitalが投資していますね。最近、グーグルのgmailのアドレスにもりんくしてきたし、いよいよ売り上げもついてきて勢いがでてきた感じがしますね。plaxo.comも要チェックですね。これまた、SequoiaのMichael Moritzがボードに入っていこともあってか、plaxo.comとLinkedInもsyncしていますね。
    http://www.linkedin.com/static?key=investors
    http://www.plaxo.com/about/management_team
    Michael Moritzは、いろんなところに投資をしていますが、彼が関わっている以下のつながりをみると面白いです。Sequoia CapitalはAppleに投資していたこともあって、今回のiPhoneとも関係しているようにみえますね。YoutubeもSequoia でしたが、今回もSequoiaつながりで、Googleにまた会社を買ってもらうのかな?なんて最近思っていました。
    Google
    PayPal
    Plaxo
    Quote.Com
    Yahoo!
    Pure Digital Technologies(Youtubeに簡単にアップロドできる激安ビデオカメラです。我が家では大活躍です。)

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  3. chikaです
    LinkedIn、ついにIPOか?!来年で$100M売上・・・ってことは、今は半分くらい?インサイダーっぽい情報サンキューデス。
    Sequoia、LinkedInの去年12月のSeries Cには参加してないみたいなんですよネェ。lead investorは、AがSequoia、BがGreylock、CがBessemerらしく、一応毎回それなりのメジャーどころを抑えてはいますが。。。なんでSequoia、今回のラウンドは入ってないのかな?
    Sequoiaつながりでは、Meeboについてエントリー書こうと思ってたところなので、また近いうちに。。。。

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  4. 上記の「伊藤穰一(Joi)サン」リンクをたたいてLinkedInを訪れたところ
    私の You may know these people になんとchikaさんがリストされてました。伊藤穰一さんを閲覧したからかしら・・・このリスト、驚きますね~。
    リスト内の他の人たちは、実際の知り合いでした。

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  5. Chika-san,
    こんにちは、私も久しぶりにあった元上司(ユダヤ系米国人)が、LinkedInを絶賛していました。
    仕事を探している同僚・知り合いからの、リンクの誘いが多かったので、仕事を探す時に役に立つSNSといったイメージがあったのですが、昔の知り合いを見つけるとか、いろいろ便利みたいですね。(自分はまだサイン・ナップしていません。)
    6月の終わり頃に、TIVOのCFOが突然辞めることを発表したのですが、行き先はLinkedInでした。通常、CFOの辞任は株価にマイナスなのですが、行き先がLinkedInだったからだと思いますが、TIVOの株価は逆に上がりました。
    また、このCFOの採用で、いよいよIPOが間近との観測の様です。以下、関連記事のURL添付します。
    LinkedIn marks progress to IPO, hires ex-Tivo CFO
    http://news.yahoo.com/s/nm/20070626/wr_nm/linkedin_dc

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  6. はじめまして、日本でビジネス・ネットワーキングサービス「キャリコネ」 http://careerconnection.jp/
    を提供しています。
    確かに旧態の日本式の働き方をする方の間では、まだLinkedIn のようなものは時期尚早ですね、、
    でも、運営してみて分かるのですが、ベンチャー企業や一部外資系企業に勤務する方の間では、着実に利用が広まっているようです。
    日本の「職縁」を重視する労働環境も、我々が思っている以上のスピードで変革を強いられるであろう、というのが私たちの仮説です。
    よろしければ、ぜひ登録してみてください!

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  7. LinkedIn (履歴書公開をベースとした人脈SNS)

     LinkedInは、ビジネスの人脈ネットワークに特化したSNSです。  歴史のあるサービスで今更レビューするのも何なのですが、日本参入の話もありますし、Facebookに最近地位を脅かされているという話もあって気になったのでレビューしてみました。  LinkedInは、一般的な日本人が持っているSNSのイメージとは、かなりかけはなれているサービスといえるかも知れません。  サービスの中心となって……

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  8. 金融危機以降は別の意味で熱くなってるみたいですね。
    日本居残り組である私も突然契約を切られたので、
    知人に紹介されてダメ元で昨日登録しました。
    ためしにChikaさんを調べてみたらconnectionは既に3rdだそうで。
    >「日本では、ツテ・紹介がないとビジネスは大変だ」
    日本だと,例えば技術者なんて探しても見つからないですよ.仮にツテがあってもです.
    仕事を持ちかけるという「上層部のおつきあい」ではツテや紹介よりも会社同士のつき合いを作って云々という話になりますが、仕事をもらった「後」の現場レベルで仕事をこなす打開ではツテは重要です.しかし,そもそもコネもツテもなかったために,手も足も出なくなって頓挫することの方が多いくらいじゃないでしょうか.
    >日本だと、たとえ社長がスーパー乗り気でも動かないプロジェクトがたくさんあるわけで、
    少なくとも日本だと、社長は思いつきで発言しますからねえ.
    「フルサイズWindowsをケータイに載せたら便利じゃね?」(重すぎて動くわけないでしょ)
    「完璧なウイルス対策ソフトを作れば市場独占できるんじゃね?」(うちの技術でできるわけないでしょ)
    みたいな思いつきでプロジェクトを始めてしまえば、そりゃあ上手くいかないでしょう。

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