セクハラを防ぐには

毎日必ず読むのが、新聞の人生相談。全国の新聞にシンジケートされている人生相談がいろいろあるが、今うちで取っているSan Jose Mercuryに掲載されているのはDear Abby。「へー、アメリカ人はこんなことを悩むものなのか」という質問内容に対する驚きと、「へー、こんな風にアドバイスするのか」という答えに対する驚き、両方があります。

Abbyさんの回答が不適切だと思えば、それを読んだ読者からさらに多数の手紙やメールが来る。で、今週二度にわたって「回答に関する読者からの手紙」が掲載されたのが、「教会でいつも会う70代の男性が、いつもギューと抱きしめてくる。やめてくれ、と頼んでもだめ。どうしたらよいだろうか」という相談に関するもの。Abbyさんのオリジナルの回答は、

「ブラの中に画鋲を入れておけば、抱きしめた時痛くてやめるでしょう」

というお茶目なものだったのだが、「んな甘いことではイカン」というお手紙が多数舞い込んだ模様。女性読者からのものと、男性読者からのもの、二度に分けて掲載された。

まずは女性読者からのレスポンス

When one of the men zeroed in on me prior to worship as I was greeting
people and proclaimed, "I need a big hug!" I quickly stepped back,
pointed to his wife and said, "There … help yourself!" He’s never
tried hugging me again.

これは、女性牧師さんご自身の体験談。彼女の教会にも、いつもギューっと抱きしめる信者がいたが、ある日彼がやってきて「さぁさぁ、ぎゅっとご挨拶」と宣言した際に、さっと身を引いて彼の奥さんを指差し、「ぎゅっと抱きしめるなら、自分の奥さんにして頂戴」と告げた、と。「物理的に身を引いて、言葉でも拒否せよ」ってことですかね。

…..call out nice and loud, "Ow! You’re hurting me!" no matter how gently he hugs.

別の女性からのもの。「抱きしめられたところで『痛い!』と大声で言え」と。

これ以外に「警察に通報すべきだ」という人もいたが、大体が「上手にかわして、しかしやめて欲しいという意思はきちんと伝えよう」というものだった。

さて、こうした女性読者からの手紙が掲載された2日後に、今度は男性読者からのレスポンス。「女がスリスリしてくるのも困りものだ」とか、「言ってくれなきゃ嫌だと思ってることがわからない」とかいう類のものかと思いきや・・・

the woman should hold her upper arms close to her chest and slide
her forearms up and in front of her breasts. Clenching her fists will
provide strength to her upper arms.(中略)she should make direct eye contact and firmly say, "No!"

「腕で胸をカバーして、ぐっとこぶしを握り締め腕に力を入れよ。そして、相手の目を見てはっきり『No』と言え」。これが一番甘いもので、他の人たちはもっと厳しい。

Go to court for a restraining order

この人は、「裁判所でrestraining orderを出してもらえ」と。restraining orderは、「近くに寄ったら犯罪とみなす」みたいな法的措置。

the offended ladies should complain to their local police about his unwanted sexual molestations (they’re criminal acts).(中略)The other remedy is for each offended lady to give him a swift with-all-their-might knee to the crotch.

これまた別の人。「警察に訴えよ。または、全力で股間を蹴るべし。」

I
know a lady who had the same problem, and after three warnings, she
finally became fed up. She was a black belt in karate. Needless to say,
it worked like a charm.

知り合いの成功例を語る人も。「抱きしめられて困っていた女性がいたが、3回言葉で拒否してもわかってもらえないので鉄拳制裁。彼女は空手の黒帯だったので一件落着」

ひょー厳しいのぉ。つまり

「(性的)暴力には(力技の)暴力で対応すべし」

「警察に突き出すべし」

というのが男性の意見なのだな。

これだけ見ると、「女性はやっぱりか弱いのかしら・・・」という気もする。しかし実は、男性側は理想論としての対応を考えていて、女性の方がより現実問題として、自分のこととして考えているのかも、という気もする。

実際、教会でいつも会う、「ぎゅーっと抱きしめる問題」以外にはごく普通の人(しかも結構お年寄り)を、いきなり警察に訴えるってのはかなり厳しいものがある。蹴りを入れるというのも、日曜の朝の教会というシチュエーションではやはり違和感ありまくり。それに、大騒ぎして、後で本人やその家族に復讐されたりしたら怖いなぁという気もするし。

そういうことを考えると、なるべく温和に解決したいのが普通ではなかろうか。「ぱっと後ろに下がって腕で体をカバー、相手の目を見てNoと言う」位が現実解な気がするんだけどねぇ。(これを勧めている男性読者は、セクハラについて大学院で研究したPhDの人だった。さすがに現実を理解してるのかも。)

いずれにしても、「はっきりNoという」というのが最低限被害者側が言わなければならないことなのであるな。

実際、はっきり「やめてくれ」と言われてまで、セクハラし続ける根性がある人は少ないんじゃないか、と思うんですが、どうでしょう。たいてい、「ま、それほど嫌がってるわけでもないんじゃない?」とか、そのくらいのヤワイ気持ちでしてる人が多いように思うんですが。私はセクハラしたことはあっても、されたことはないのでよくわからないのだが。

セクハラといわず、普通の恋愛でも、

「相手が嫌がってるかどうか」

という判断は結構難しい。King Arthurという映画があるが、その中で、伝説の王King Arthurの寝所に、Keira Knightley扮する未来の嫁が夜這いをかけるシーンがある。King Arthurは、よくきてくれました、みたいな感じで、そのままもつれ込み、全てめでたしめでたし、なのであるが、これ、Keira Knightleyが来た所で、King Arthurが

「きゃー」

といって逃げたらどうするのか。「きゃー」と言わないまでも、

「いや、そういうつもりで優しくしてたんじゃないんだ・・・ごめん」

とか謝られちゃったら相当気まずいぞ、Keira Knightley。映画だから2人が相思相愛なのは見え見え・・・という感じで話は運ぶが、これが当事者だと、ものすごい勘違いというのはよくあることなわけで・・・・。

話をセクハラに戻すと、まず「No」という意思表示をはっきりするのが第一段階の対応策でせう。笑いながらとか、冗談めかして、ってのはダメですぜ。全然嫌がってると思ってもらえないから。ピシッとはたく、位のことは必要かと。で、第二段階として、明確な「No」を伝えても続ける人は、裁判沙汰にするなど鉄拳制裁に持ち込むべきではないか、と思うのですがどうでしょうね。

ちなみに、ワタクシ、20代の頃やたらに電車で痴漢に会っておりまして、痴漢を殴ったり蹴ったりして制裁しておりました。その頃のことを書いたエントリーが次の二つです。

日本の痴漢(1)
日本の痴漢(2)

セクハラを防ぐには」への4件のフィードバック

  1. 男性側の意見として
    >冗談めかして、ってのはダメですぜ。全然嫌がってると思ってもらえないから。
    というのは全く同感。
    いや本当に百戦錬磨の女たらしならいざしらず、普通の男には「冗談めかした嫌」と「本気で嫌がっている」のとが区別できるとは限らないと思いますよ。少なくとも私は、そんな微妙な誤差を見分けられるほどに豊富な女性経験は積んでませんって。
    >ピシッとはたく、位のことは必要かと。
    「裁判所でrestraining orderを出してもらえ」はそういう意味で「私は本気でいやがってます」の意思表示としては文句無しです。相手を裁判に訴える気がないなら出さなくてもいいけれど、裁判に訴える気があるなら、できればその前に最後通牒くらいは出して欲しいものです。

    いいね

  2. 千賀さん
    映画 “King Arthur” 。
    聞きかじりから、僕はこの物語の設定を勘違いしていました。
    「ジョーク好きな Keira Knightley がボランティアで King(裸の王様)を慰問していた」と。
    おかげさまで、この物語の正確な情報を得ることができました。
    ありがとうございます。
    映画を喩えにしての的確この上ない解説。
    Alumni の『ファクトベース』、面目躍如ですね。
    King Chika に乾杯! (^o^)/∀

    いいね

コメントする

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中