M&Aのお値段

JuniperPeribit NetworksRedline Networks買うことを発表した。「この買収のシナジーやいかに」といったことは、リンク先の記事をお読みいただくとして、未公開企業を買う値段について。

発表によれば、Peribitは株+ストックオプション+キャッシュで3億3700万ドル、Redlineは同じく株+ストックオプション+キャッシュで1億3200万ドル。ちなみにこの二社で売上は計4000万ドル位とのこと。

ふむ。ということは。

企業価値の合計(3億3700万+1億3200万)の4億6900万ドルを4000万ドルで割ると11.7。これが売上マルチプル。(このあたりの計算については、未公開企業の価値の計算エントリーをご参照くださいませ)

ちなみに、Juniper本体の売上マルチプルは、企業価値が1242億ドルで、昨年度の売上が13億ドルだから9.3。小さい会社だから成長を見込むということもあるとは思うが、取引の一部が株やストックオプションで、流動性が低い。その分のプレミアムを載せて価格に至ったのでありましょう。

ちなみに、Peribitの社員数は55名でRedlineが35名。ということは、買収額を社員数で割ると
3億3700万÷55=613万ドル/人
1億3200万÷35人=377万ドル/人

本体、Juniperでは社員一人当たりの企業価値は
1242億ドル÷2948=414万ドル/人

ということで、結構近い数字。

こういう風にM&Aの価格が公表されると、将来別の未公開企業を買うときの価値算定に大いに利用できる。

***

ちなみに事業内容はそのままでも、社員がやたら多いと、高く買ってもらえる、という謎もある。昔Yahooに企業IRの配信サイトを売った(もっと正確に言うと、売った相手の会社がさらにYahooに買収された)人が
「うちの事業はとってもプロフィタブルだったが、組織がリーンすぎて社員が少なかったため、会社を高く売れなかった。もっと社員を雇って置けばよかった、というのが最大の後悔」」
と言っていた。

一方、4人の会社をYahooに売ろうとしたら600万ドルといわれ、その根拠を聞いたら、「マイクロソフト方式で一人150万ドルで換算」と言われ(マイクロソフトが買収するとき一人150万ドルで計算するんだそうな)、それなら、と20人くらい人を増やして、再度Yahooに掛け合って5000万ドル超の売値での売却に成功した、という人も。

M&Aにおいても、「人は石垣、人は城」なのでしょうか。

M&Aのお値段」への7件のフィードバック

  1. Yahooに買収されてYahoo StoreとなったViawebを創ったPaul Grahamも、業務は3人で回っていたけれど売る時のことを考えて人を増やした、というようなことを言っていましたね。

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  2. おもしろいですね。
    最近日本ではライブドアさんがM&Aで会社を回しているという事で話題になっています。ホリエモンさんのお陰で株とかM&Aとかに疑問をもつようになりました。私の知り合いもベンチャー企業を自分で持ちつつ、新しくベンチャー企業を作り育てては売るという事をやってます。友人のやっていることはM&Aだったのかな。 
    関係ないですが、最近Adobeがマクロメディアを買収してちょっと寂しい気持です。どちらも素晴らしい製品を作っている企業ですが、Adobeは老舗的、Flashを作ったマクロメディアは前衛的だったので。それが一緒になってしまうのかと。

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  3. そういえば、勤め先のどっかの部署だかで同じようなことをやっているのに気が付きました。爆
    灯台下暗し。
    もっと社会勉強しなくては。

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  4. ふむなるほど。
    とするとウチの場合は、売り上げマルチプルが1.6。
    本体の一人当たり企業価値より買収先1.25倍。安い買い物だったのか?
    いや、結果はこれからですね。

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  5. shiro-san,
    大手の会社でも、「自分の部門に人が増えると自分も偉くなる」といったこともあって、無駄な人が雇用されているのかも。。。それでM&Aの後はばっさり人が切れるのかもしれませんね。
    鈴木-san,
    ライブドアの件はいろいろ言われてますけど、本当に買収されたくなかったら、公開しなければ危険はものすごく減りますよね。公開したら会社は自分のものじゃなくなるわけで・・・。
    emans-san,
    この「一人当たり企業価値」ってあんまり誰も真剣に取り合ってくれないんですが、人数の少ないベンチャーなんかだと、結構意味のある数字だと思うんですよね。。。

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  6. ははは。とってもおもしろいですね、この話。「従業員全員がそれなりに生産性の高い仕事をしている」という、ある種性善説に依った”えいやー”っぷりが素敵です。
    で、その昔分析をチャカチャクするのが仕事だった身としては、ふと気になったので、「人は石垣、人は城」を身上とする日本企業の従業員一人当たり企業価値を計算してみました。
    とりあえず通信機器といえば、旧電電系ということで
    NEC   4千7百万円
    富士通  3千4百万円
    とほほほほ。マイクロソフトさんが一人当たり150万ドルで買収してくれたら、万々歳というべきなんですかねえ。
    で、ちと毛色は違いますが、
    ネットワンシステム 1億9千万
    一応、マイクロソフト基準はみたしていますね。ジュニパーにはさすがにかないませんが。
    いわゆる電機メーカー系で一番えらいのが、
    ソニー 2億2千万
    ちょっとサミシイので、事業分野は違いますが日本が誇る高企業価値な会社といえば
    トヨタ自動車 2億1千万
    ドコモ    13億4千万
    一昔前のものすごい企業価値からはずいぶん減りましたが、さすが腐ってもドコモ様ですね。
    試してみた中で一番すごかったのが、
    ヤフー(ジャパン) 38億1千万
    ちなみに、皆様に蛇蝎のごとく嫌われている
    ライブドア 6億円
    。。。。。
    ところで、このPeribitという会社、私のメンターだったメイフィールドのジャニスが投資しています。買収の記事を見て、とあるパーティーでfounderの一人の隣に座ったことを思い出しました。文字どおり、”隣のビリオネア”。

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  7. 某コンサルティング会社で、上記の中の某日本企業と、とあるアメリカのベンチャーの一人当たり企業価値価格比較チャート、というのを作ったことがあったんですが、「なんじゃこれ」と却下されましたなぁ。。。その昔ですが。
    でも、社員としては、自分一人当たりの企業価値って、なんだか気になる数字だと思うんですけど。なんか、他人の会社の100分の一だとさすがに悲しい、みたいな。

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