夢と錯乱

book coverDreaming as Delirium: How the Brain Goes Out of Its Mind
Harvard Medical School教授のAllan Hobsonが夢の脳神経学的解明を図った本。「夢と精神錯乱は紙一重」という話。面白かったです。

なぜこんな本を読んだかというと、私は夢にとても興味を持っているので。変な夢をたくさん見るからだ。

夢が不思議だと思った最初の記憶は、幼稚園のときのことである。

幼稚園の制服を着て朝ごはんを食べながら
「昨日行った動物園楽しかったね」
と発言したところ、家族みんなに怪訝な顔で見られて
「何言ってるの、動物園なんていってないよ。夢見たんだよ。いやだね、この子は!変な子だねぇ。」
と言われた。私の中ではリアルな記憶の象もキリンも夢だったなんて・・・・。とても驚いた。(もしかして親に騙されてて、実は本当に動物園に行ってたりして)。

動物園に行く、という平和な夢は大歓迎なのだが、超怖い夢もたくさん見た。

たとえば、友達のアベさんちに遊びに行って、縁側にアベさんと二人ですわり、足をぶらぶらさせながらスイカを食べていたら、後ろから近づいてきたアベさんのオトウサンに斧で頭から真っ二つに割られて床下に埋められる、というのもあった。これも幼稚園のときのものである。

この夢は、埋められた後、大勢の警察官がドサドサと私の死体を捜しに来るのだが、見つけられずに帰ってしまい、
「ああっ、これでわたしはおうちに帰ることもできず、このままずっとひとりきりなんだ」
と心底がっかりするという「死後の世界」付きの夢であった。ちなみに、本当はもっとディテール満載。私は白地に赤い牡丹柄の浴衣を着ていて、アベさんは、赤いワンポイントが入った黄色のTシャツに水色のショートパンツだった。警察官は、制服を着て、編み上げブーツを履いていた。「靴を履いたまま部屋に入るなんて変」と夢の中で思った。

その後ある人にこの夢を語ったところ、
「あ、それは地縛霊になった夢ですね。」
とこともなげに言われた。

夢の中で一番悲しかったのは、殺されたことではなく、家に帰れないこと、家族に忘れられてしまうこと、思い出してもらえないこと、だったのだが、これについても同じ人に
「人間、殺されて地縛霊になっても、殺された人への恨みはないものらしいですよ。で、家に帰りたいのに動けないんでしょう?リアルに地縛霊ですね。」
と言われた。マジか。わたしは「地縛霊の気持ちがわかる人」なのか!?うーむ。

さて、小学校のときは、ムーミンに出てくる「ニョロニョロ」に襲撃される夢を見た。妹と2人で留守番をしていて、窓から庭を見ると、庭にたくさんのニョロニョロがいる。私は、震える手で家中の鍵をかけてまわる。しかし、ニョロニョロはますますその数を増やし、庭一面にびっしりとひしめき、その全員がじっと私たちを見あげている。やがて、一匹がヒュッと飛んで窓枠にへばりつく。その瞬間、そのニョロニョロは溶けて液体状になり、窓の隙間から家の中に入ってくる。その後は、次々とニョロニョロが窓に飛んできて、どんどん液体になって部屋の中にジュクジュクと染み込んでくる。この夢のキモは、庭一面に立ってじっとこちらを見ているニョロニョロの大群というビジュアルである。

大人になってくると、かすかながら触覚・味覚・嗅覚なども加わって、リアル感はさらに増した。ライトアップされた極彩色の地底の大鍾乳洞に行ったり、空一面を覆い尽くす無数の鈍く光る銀色の宇宙船群が地球を襲ってくる場面に遭遇したり、最後の全面核戦争寸前に地球上の様々な生物に弾劾されたり、といったSF系から、ただひたすら会社で仕事をしているというがっかり系までいろいろ。

恐怖本の世界に吸い込まれてしまう、というのもあった。20代の頃見たものだが、「アシダテ小児科」という子供の頃に通っていた病院の待合室で、そこにおいてあった本を開いた瞬間、その中に吸い込まれてしまう。そこは拷問展示館で、目も覆わんばかりの恐ろしい拷問が見世物になっている。(博物館のイメージは、サンフランシスコのフィッシャーマンズワーフにあった拷問蝋人形館。そういう変なものに行くから、こういう悪夢を見るのだ。)ベッドで寝ている夢で、自分の布団の中に30センチくらいのゴキブリがいる、というのもありました。

残念ながら覚えている夢は殆ど悪夢である。これは、あまりに恐ろしいので、心臓バクバクで目が覚めるからだと思っている。10代の頃は、実際に悲鳴を上げながら目を覚ましたことが何度もあった。一方、面白い、楽しい夢も、たぶん見ているのだと思うのだが、目が覚めないので忘れてしまうのではないか。一度、あまりに可笑しいコメディアンのステージを見る夢を見て、自分の笑い声で目が覚めたことがあったけど。(起きてから、思い出してみたら、あまりにつまらないジョークなので愕然としたが。)

子供のころは、毎週必ず最低一回は見る「夢の町」もあった。夢の舞台が同じ町、というのではなく、その町に行くこと自体が夢の目的のようで、その夢の中では、いつも一人で歩き回っている。町のぜんぜん違う部分を訪ねていることもある。しかし、同じ町だ、と夢の中ではなぜかわかる。あまりに頻繁に見るので、その夢が始まると「ああ、戻ってきた」と、懐かしさがじわじわこみ上げるほどになった。(ちなみに、この町ほど頻繁ではないが、やはり繰り返し夢の中で行った(夢の中だけの)場所はあと3つほどある。)

この「夢の町」は、だんだん育っていった。ある夢で建設現場だったところは、以降の夢では完成して、1階にファーストフード屋が開店、花輪が出ていた。駅前に本屋と花屋もできた。

20歳前後のころ、現実の世界で、生まれて初めて東横線の学芸大学の駅に行った。電車から降りた瞬間愕然とした。子供のころから何百回と見た夢の町そっくりだったからである。・・・というか、もっと正確に言うと、駅のホームに足を下ろした瞬間に「戻ってきた・懐かしさじわじわ」感がこみ上げたのである。改札を出たら、さらにそっくりだった。ファーストフード(KFCだった)も、花屋も本屋もあった。で、その後一人暮らしをするにあたり、ここしかなかろう、と学芸大学を選んだ。「人生を決定的に変える何かが起こるのでは!」という期待に打ち震えつつ。

しかし、奇怪なことに特に何も起こらなかった。なぜだ!何百回も見続けた夢はなんだったんだ!・・・まぁ、しかし、世の中というのはえてしてこういうものであったりするな。あまり物事に深い意味を追求してはいかんのだ。

そうそう、前も書いたが、夢が漫画(アニメではない。コマ割があって、吹き出しがある漫画)というのもあった。これは漫画家じゃせいか、大変脳が疲れる夢である。「脳が息切れ」みたいな状態で目が覚めてしまう。

***

さて、かようにメクルメク夢を見るワタシは、大変夢に興味を持っている。それも、フロイト的心理学チックなものや夢占いみたいなものではなく、脳神経学的に見た夢について。というわけで読んだ本がDreaming as Deliriumなのだが、続きはまた次回に。

夢と錯乱」への8件のフィードバック

  1. 今週の(だと思う)Newsweekが夢の特集をやってました。所詮週刊誌なんで軽いですけど、最近の研究のことも書いてあったし、けっこう面白かったです。

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  2. 30歳代の頃、プロジェクトに追われて苦しいときには、怖いものに追いかけられる夢をよく見た。
    一番良く見たのは、熊に追いかけられる夢だ。この熊は、私の上司にとてもよく似ていた。
    次に良く見たのは、ゴジラに追いかけられる夢だ。ゴジラから見れば人間なんで豆粒ほどのサイズのはずなのだが、隠れているビルや建設現場の柱の後ろから、遠くにいるゴジラをそーっと覗くと、なぜかゴジラと目が合ってしまい、ゾーッとしてしまう。
    最後のパターンは、竜巻に追いかけられる夢だ。しかし竜巻は、映画のツイスターをみた後からは、なぜかあまり見なくなった。
    逆に、夢で気持ちが良いのは、空飛ぶ夢である。両手を空に突き出して、ンーと力むと、スーッと飛んでしまう。スーパーマンのように。大変気持ちよかった。

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  3. ちょうどこの間わたしも夢の話を書いたばかりなんですけど、夢のある夢でうらやましいような。わたしの場合、元ネタが丸バレ(近い過去に取得した情報)な夢ばっかりなんですよねえ。創造性の乏しいのかも?!

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  4. nh-san,
    Newsweek、わたしも定期購読しているので、読みました。よくまとまってましたよね。
    bobby-san,
    うらやましい!わたしはなぜか飛ぶ夢を見ないのです。nh-sanの言うNewsweekの記事には「飛ぶ夢」と「落ちる夢」はもっとも多い夢の一つと出ているのですが、どちらも見ませんね。一度だけ、地上2メートルくらいをじわじわゆっくり飛んで逃げる夢を見たことがありますが、これは、悪夢から脱出するために無理やりやったことで、ぜんぜん爽快感は無かったです。(夢の中で、今から殺される、というところで、「いかん、何とか脱出だ。これはきっと夢だから、飛んで逃げよう」と飛び立つ、というもの。)
    ゴジラと目が合う感じはものすごく良くわかります。ギロっと目が動いたりしませんでした?
    kush-san,
    いやー、わたし、頭おかしんじゃないかと思うくらいバラエティに富んだ夢を見ます。ただ、直接的な元ネタは無くても、なぜその夢を見るかに至った経緯・心理状態は、結構わかることが多いですが。
    昔はとんでもない夢を見るたびに、話のネタとして周りの人に報告していたのですが、「本当に変な人だと思われる」ということに気づいてからは、抑え目にしています。
    たとえば、一度に二つの夢を平行してみたこともあります。一つの夢では、胴体がテレビでできた5-6歳の男の子を、白地に七色のボタンがついていて、七色のレーザー光線が出るレーザーガンで処刑(いやいやなのにやめられない)、もう一つの夢では、電車で東京駅に降り立ってタクシーを拾っていました。罪悪感+二重に夢を見るCPU負荷で、超疲れました。とほほ。。。

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  5. 夢の話になると、必ずオススメする本があります。
    ジョナサン・ボロフスキーという、カウンティングやってるアーティストの「夢を見た」という本です。
    彼は毎朝夢日記をつけてるそうで、それを本にしたものです。
    僕もこの本に触発されて、夢日記とかやってました。
    そのせいでしょうか?今でも毎日夢を見て、覚えています。

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  6. GOさん
    情報ありがとうございます。夢見工房、アイデア捻出に使えないですかね。
    技術関係の言葉をランダムに3つ選んで夢見工房にささやいてもらうとか・・・。
    「カーボンナノチューブ 半導体 ばい菌」
    とか?
    小鳥さん
    夢日記、いいですね!見つけたら読んでみますね。
    わたしは、ストーリーが奇想天外な以外に、ビジュアルに強烈な夢というのも多いので「夢画集」というのもできるかな、と思うんですが、いかんせん絵を描くほうの技量が追いつかない。朝起きてさささ、っと1分くらいで描けたらいろいろできそうなんですが・・・・。

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