今日は、京大からいきなりフランスのベンチャーに就職、のっけから世界をまたにかける事業開拓の仕事を任されている後藤孝一君からのメールを紹介します。(本人の了承済み)後藤君は、JTPAのシリコンバレーセミナーツアーにフランスからやってきた人です。
ちなみに、文中「カミーユ」と出てくるのは後藤君のガールフレンド。記憶に頼ってご本人の言葉を要約すると
「日本では散々女の子に振られていたのだけれども、なぜかフランスでは自然に彼女が出来た。彼女自身が日本の人文関連のみならず、経済関連の動向にに深く関心を持っており、私自身がそれに答えられた、というのも理由のひとつであっただろうけれど、加えて、自分は彼女には毎日電話するようなタイプで、日本だとくどいと嫌がられたのだが、フランスでは普通。何時間かおきに奥さんに電話する人もいる国だから、自分でも薄味。」
ということでしたが、これよくわかります。自分が浮いてると思ったら、自分の行動様式が変だと思われないところに行くと楽に生きられます。(経験者は語る)
(後藤君本人からの要請により、上記鍵カッコ内修正しました。修正内容はヒ・ミ・ツ・・・・というほどのことでもないですが)
では波乱万丈の後藤メールスタート。
***後藤君からのメール***
久しぶりです。
私のほうですが二ヶ月が吹っ飛ぶように過ぎました。新入りなので、学ぶことがたくさんあるのは当然のこと。さらに日本市場対応も任されているので、新人さん気分でいるわけにも行きません。実のところ、社会人経験はこれが最初であるわけでして、フランスの中小企業が自分の最初の職歴という変わったキャリアパスになってしまいました。
会社形態はほとんどベンチャー
実際の車両をミニチュア化、生産計画を立て製造ラインに乗せるところまでを担当するエンジニアは一人を除いて30歳を越える事はありません。デザイン部門も非常に若く、どのように自社製品の魅力を伝えていくか、を真剣に考えているように思われます。
意思決定も、社内の情報伝達も早い早い。なにぶん小さな会社ですので、当然といえば当然ですが機敏に動くところが非常に小気味がいいです。しかも、日本の会社のような新人研修など悠長にしている暇はありません。(一応技術研修として、ミニカーの型の作り方や生産プロセス、中国の下請工場の詳細と性格などがあります)
私もいきなり日本関連のプロジェクトを全て任されました。
大きく分けると3つ。
1.広報
日本のミニカー関連雑誌に積極的に自社商品をアピールして頻繁に自社商品の売込みを行う。
2.自動車会社との連絡
さっそく複数の日本の自動車会社とコンタクトを取り、モデル化する自動車のライセンス交渉、契約関連のやり取り、ミニチュア化した折の詳細部分の詰めに至るまでの、上流から下流まで全般に行っています。またそれに関連して、早速先月に香港、中国に出張してきました。
3.戦略立案
現在、日本の自動車会社と契約を結んでいる欧州の競合相手がいるのですが、その競合相手から、提携契約を奪取できないか、検討中です。
中国出張は、下請け会社を訪れるべく連日、工場訪問でしたが、その規模の大きさ、労働者の熟練度 そしてIT技術の習熟度に驚きました。日本の企業は”ものづくり”への回帰などといっている暇はない、という言葉が良く分かりました。実際に作る行程は中国に任せて、より上流レベルでその強みを強化せねば3種の神器バブルなど吹っ飛びますわ。とりあえず、作業室には(17,8歳ぐらいの)女工さんやお兄さんが作業台の横にわんさかいて、プラモデルやマクドの景品を一生懸命作っています。しかも、手作業のみならずCAD処理用のコンピュータールームでは作業台がCAD処理用フレームに変わり、またも女工さんやお兄さんがわんさかいて、CAD処理をこなしています。
工場は非常によく整備されていますが(想像以上に、という基準であるが)トイレは未だに汚く、ティッシュペーパーもありません。また、工場団地を形成している地区は開発の度合いが地区により異なり概観は凄い工場の隣はむき出しの地面であったり、道路端では、半裸の男の人がだべっていたり青空ビリヤードなどに興じていたりするのでありる。
しかも、街の上の部分は高層ビルのテッペンばかりが目についてハイテク都市の様相だが、果たしてその足場部分は未だに地面が見えていたりよく整備がされていなかったりします。
道路を走れば、信号などなくひっきりなしにクラクションの音がします。しかし、これは敵意を丸出しなのではなく”自動車が接近しています”という事を知らせる、という善意(?)に基づく行為なのであります。東莞に(おそらく)一つであろう信号を見つけたが、誰も守ってはいませんでした。よって、道路を横断する時は自動車より早く走らねばなりません。またバイクが非常に多いが、ほとんどの人はノーヘル。また3人乗りなどという、上海雑技団を生み出す国の雑技レベルの層の厚さを感じさせるような乗り方をする輩もいます。
ただ、女工さんの格好を見ると 極端に貧しい という格好でもなく、結構カラフルなサンダルやミュールをはいており、ジーンズもブーツカットといった下手をするとドイツ人よりもおしゃれな格好をしているし、髪を染めるなりしてそれなりにおしゃれをしています。地方の農村から来た女工さんに比較すると、街中の女性の格好はもっとおしゃれになります。
香港に関しては、上記の傾向とは異なりより日本に近い、というより日本の傾向をコピーしている、と考えても良いでしょう。セブンイレブン、サークルKはあります。日本の化粧品会社も積極に宣伝攻勢をかけまくりです。
雑誌スタンドには必ず、日本の女性雑誌がおいてさえあります。日本語がはやりらしく、”○○的○○”の的が”の”となっていたりもします。下請けの会社の香港人の携帯着メロはドラえもんで、彼の娘はアンパンマンが大好き。
こちらでのメイドインジャパンはステータスらしく、カミーユのために買ったCDクリーナーを買うと日本語での説明も表記されているのだが、その表記が二重で笑えました。そこには
“CDクリーナーをかけても綺麗に再生されない場合、あなたのCDプレイヤーが悪い”
という事が書いてある”らしい”。
らしい、というのは、文のところどころにひらがなに良く似た形の字を入れているからであり、さらには、文をなしていない場合もあります。これが理由その一。さらに、この購入した顧客に対して 突き放したような責任転嫁をするこの言い様。これが更に笑えるのでありました。
また、香港の市に出ると海賊版出るわ出るわ。挙げればキリがないが、SUBARUのミニカーはSiecele(?)という名前であったりCAT(キャタピラー)の靴がブルドーザーという名前で売っていたりします。
しかし、この程度で驚いてはいけない。聞いてはいたが、中国では山ほどコピーカーが走っています。ベンツとインプレッサの相の子のような車。完全なホンダのCR-Xのぱくり、とその多さに笑みまで浮かんでくるほどであるのです。
そして、来週は日本に出張。
中国、日本、欧州、と、産業成熟度の異なる地域を比べると また色々なものが見えてきそうです。いくつか、書き足したい内容(外国人の感じる日本アニメの違和感etc)がありますが長くなりましたので、この辺で。
****
渡辺注:「外国人の感じる日本アニメの違和感」とは、後藤君と私の以前の会話に基づくもの。私のダンナ(中国系アメリカ人)が、超時空要塞マクロスを見て、中国人という設定のリンメイが、主人公にビンタされ床に崩れ落ちたあと
「私がわがままだったわ」
という類のことを言って改心するシーンで大爆笑した、という話。
ダンナいわく
「こんな殊勝なことを言う中国人の女は絶対いない。普通は、激怒してボコボコに殴り返すだろうな」
と。真偽は別として、女性らしさに対する期待値がこういうレベルの人間とやっていくのは、私にとって大変楽です。はい。
中国の活気が良く判りました。日本も頑張らないといけないですね。と言いながら自分で出来ることを考えないと・・
こういう情報に触れると頑張らなければと触発されます。
(海外の仕事もしたい)
いいねいいね
中国の様子がモクモクと(漫画の吹き出しのように)想像できる文面で、とても愉しく読ませて頂きました。
”中国人の方がドイツ人よりもオシャレかも?”というところもなんだか判るような気がします。
世界中を行ったり来たりしながら活躍されているご様子。ステキです。
aki
いいねいいね
本題とは関係ないですが・・
前に見たフランス映画のワンシーンで、街角で一目ぼれした
男がストーカーみたく女性にアタックしていくシーンが
ありましたが・・やっと背景が理解できました。
いいねいいね
>”○○的○○”の的が”の”となって
日本語の流行は知りませんがこの部分は本来の中国語と思います。
それとコピーカー。
10何年の話ですが、ガレージメーカーが安いシャーシに手作業で打ち出したボディを乗せているという事でした。
日本の尺度ではとても高級な車となります。
貧富の基準は難しいなと思います。
いいねいいね
maida-san,
「自分で出来ることを考えないと・・」
そうですよね。大所高所の話(日本産業はこうあるべき、みたいなこと)ではなく、現実を踏まえて、では自分はどうするか、という超ローカルレベルに問題を持ち込むって大切ですよね。
aki-san,
ふきだし、ですか。臨場感溢れる文章の漫画、ですね。
honda-san,
アメリカだと、例えばペリカン白書で、(映画でジュリアロバーツ演ずる)主人公がsmart ass(切れるけどクソ生意気な女、みたいな感じですかね)で、そのsmart assぶりにオトコがしびれてしまう、というクダリがありますが、日本だとあんまりそういうのないという気がしますね。
Taka-san,
「の」は「乃」じゃなくって、本当に日本語のひらがなの「の」が使われているんですよね。私がよく香港に行っていた90年代前半からそうでしたが、最近ではベイエリアの香港系ショップで「優の良品」という店があって、その袋を時々見かけて「うーん、なんか正しそうで違う」と思います。
「日本の尺度ではとても高級な車」確かに。手作りでそういう高級車を作るガレージって日本にありますが、確か数千万円はしましたよね?
そういえば、フィリピンではインスタントコーヒーの方がレギュラーコーヒーより高級品とみなされていました。レギュラーは産地なので昔からあり、インスタントは後からネスレー(確か)が持ち込んで、「こっちの方が高級だ」とPRしたらそうなった、と聞いています。90年代半ばに行った頃は、高級ホテルで「ネスカフェ」と頼むと、(その方がレギュラーよりずっと高い)インスタントであることの証明のため、粉とお湯のポットを別々に持ってきてテーブルで入れてくれたりして、気分はすっかりトワイライトゾーンでした。そういえば、私の祖母が子供の頃は、数の子って漁師さんが浜に戻ってきて魚をさばいて捨てるごみだったので、「こじきが拾う食べ物」と呼ばれていたとか。
いいねいいね
Chika-san こんにちは!
香港、中国ネタ楽しく拝見しました。近々北京へ行くので、私もよく観察してきたいと思います。
フランスでは1日に何度も彼女(奥さん?にも)連絡とって愛を囁くんですか・・・確かに日本だと少々くどいと思われそうですね。自分がすんなり受け入れられる環境に身を置くことが一番いいというのは納得です。
>女性らしさに対する期待値がこういうレベルの人間とやっていくのは、私にとって大変楽です。はい。
いつもChikaさんの旦那様に対するコメントが笑えます。
「激怒してボコボコに殴り返す」可能性があるという女性のイメージを持っているなら、少々怒っても許してもらえそうですね。そういう人って、こっちが怒っても、パニックにならずに穏やかに対処してくれる、そういうコツを知っている気がします。(私の場合は台湾系アメリカ人)彼らやりますね。。。
ではまた。
いいねいいね
kima-san,
中国ネタ、面白いのがあったら教えてくださいね。待ってマース。
ちなみに、myダンナは、「自分のことは自分でやってくれ期待値」は非常に高いです。つまり、他人の面倒を懇切丁寧に見てあげるってのが嫌いなんですね。私もそうなので、おあいこですが
いいねいいね