アメリカの小学校の英才教育

シリコンバレーの公立学校は教育熱心、というエントリーを以前書いたが、私立も負けてはいない。

最近、このあたりの有名私立小学校に子どもを通わせる人たちから聞いたところによると、な、なんと小学校1年生から二乗、三乗、ルートとかを勉強するんだそうだ。といっても、全員をわからせよう、というものではなくて、ちょっとだけ触れる、と。同じように二年生でもちょっとだけ触れる。これを繰り返すと、だんだんわかってきて、いざ本格的に勉強するときによりよくわかる、ということなのだそうだ。

しかし、ふとここで思い出したのは、ダンナの会社(MITからパテントをライセンスして作ったベンチャー)のクリスマスパーティーであったブルガリア人。彼はMITのコンピュータサイエンスのPhDなのだが、
「高校までの数学は1年でマスター可能。12年もかけるのは退屈」
と豪語していた。うーん・・・小学校の算数だったら1年でマスター可能かもしれないが、高校の数学までを1年で、というのはちょっとハードルが高そうだが、確かにできる人はできるだろう。

ということで、1年生から二乗を教えると、一回で
「あーわかった!」
という子供がきっといるに違いない。で、どんどん課題を与えて、結果的に本当に1年で12年分マスターしちゃったら、残りの11年間何を勉強するのか。「1年生から二乗」なんていう高度な教育方法を取る以上、学校側には、
「どんどん高度なカリキュラムを提供できる」
という自信があるのであろう。

(飛び級というのもあるが、これは友達付き合い上はかなりイマイチらしい。下級生が急に上級生のクラスに編入してきても、友達ができにくい(それはそうだろう)。大学に入る頃には、くらーい人になっちゃう、というケースも多いらしい。ワシントンポストの社長だったKatharine Grahamも「子供を飛び級させたのは失敗だった」と自伝の中に書いている。)

もちろん、こういう教育方法には、いつもの「そんなことをしたらできる人とできない人の格差が広がる」という議論もあろうが、この際よくできる子には、小学校でヒモ理論でも考えてもらって、スバラシイ科学の進歩に貢献してもらうのがメリットが大きいだろう。

ということで、ゆとりの教育の逆を行く、シリコンバレー小学校便りでした。

アメリカの小学校の英才教育」への6件のフィードバック

  1. 能力や才能などによる差ももちろんですが、「どのくらいで学習するのか」というイメージも学習スピードに大きく影響している気がします。

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  2. 「どのくらい」とは?自分に対する期待が「どのくらい」?それとも時期でしょうか????

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  3. 飛び級の問題点は交友関係ですか。なるほど、確かに年少期に嫌な目にあうと、本当に暗い人になってしまいそうですね。
    日本の幼年期の天才たちは、自ら民間の教育制度(例えば公文式など)で、より高度の内容を学ぶ機会を作り出す必要があるでしょうね。

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  4. 今はインターネットがありますから、やる気さえあればどんどん挑戦できますよね。
    例えば巡回セールスマン問題。たくさんの町の間をどうやって旅して回るのが一番効率的か、という簡単そうに聞こえるけど実はとっても難しい古典的数学問題ですが、チャレンジサイトがあります。
    http://www.math.princeton.edu/tsp/world/
    今世界一の記録保持者はデンマークのKeld Helsgaunという人だと書いてありますが。天才君には小学校からこのあたりに挑戦いただくのがよいかと。

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  5. >「どのくらい」とは?自分に対する期待が「どのくらい」?それとも時期でしょうか????
    「どのくらいでできると思うか」ということです。
    本来1年あればできるものだったとしても、3年かかると思ってしまったら3年かかってしまうと思います。いわゆるプラシーボ効果的なものですが。
    実際に米国で、クラス分けをするための試験をすると生徒に伝えて、試験の結果に関係なく「優秀」、「一般」のグループ分けたそうです。そしてその後何ヶ月か生徒の成績を見たところ、優秀なグループに入り元々成績が芳しくなかった生徒は著しく成績が良くなり、一般のグループに入った優秀な生徒は成発揮される能力が大きく変わる気がします。
    績が下がってしまったそうです。
    大人もそうだと思いますが、特に幼少の頃は意識的なものによって
    いつもblog楽しみに拝見しております。これからも楽しみにしておりますので、頑張ってください。

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  6. (訂正-すいません上のはマウスの操作でおかしくなりました)
    >「どのくらい」とは?自分に対する期待が「どのくらい」?それとも時期でしょうか????
    「どのくらいでできると思うか」ということです。
    本来1年あればできるものだったとしても、3年かかると思ってしまったら3年かかってしまうと思います。いわゆるプラシーボ効果的なものですが。
    実際に米国で、クラス分けをするための試験をすると生徒に伝えて、試験の結果に関係なく「優秀」、「一般」のグループ分けたそうです。そしてその後何ヶ月か生徒の成績を見たところ、優秀なグループに入り元々成績が芳しくなかった生徒は著しく成績が良くなり、一般のグループに入った優秀な生徒は成績が下がってしまったそうです。
    大人もそうだと思いますが、特に幼少の頃は意識的なものによって発揮される能力が大きく変わる気がします。
    いつもblog楽しみに拝見しております。これからも楽しみにしておりますので、頑張ってください。

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