非科学的男女的考察

10年以上前に日本で「熱帯雨林の生態学」という翻訳本を買って読んだ。ものすごい面白かった。amazon.co.jpで調べると、同じタイトルの本があるのだが、全然違う内容。私が読んだのは、アマゾンの奥地で1年くらい継続して動物生態を調べた成果を、カタカナの名前の学者(つまりガイジン)が書いたものの翻訳版。Amazon.comでtropical rain forestと調べると17,019冊も出てきて全くもってどれだかわからない。ということで以下、記憶のみに頼って書きます。本のタイトルももしかしたら間違っている可能性もありますのであしからず。

この本の中に、ある二種類の鳥の求愛行為が記述されていた。

そもそも熱帯の鳥は、一日にホンの数分だか数十分をエサをとる時間に費やすだけで、十分なカロリーが取れてしまう。なので、それ以外の時間は必死に恋愛のお勉強にかけている。「仕事がないならエンターテイメント」というエントリーを以前書いたが、その鳥版です。といっても恋愛のお勉強にかけているのはオスの話。メスはひっそり静かにそれぞれの巣で暮らしている。メスが選ぶ側、オスは選ばれる側だ。選ばれる側とは言っても、行為が終わると、オスはメスを捨て置いてオスの群れに戻り、次の恋愛(というのかわからんが)に向けてまたお勉強に励む、という都合のよい構造になっていて、メスは一人で子育てをする。

一種類の方のオスは、必ず3羽で行動を共にする。で、一日中3羽で踊りの練習に励んでいる。まず3羽で枝の上に等間隔に同じ方向を向いて並び、一番端の鳥がパタパタと飛び立って、反対側の鳥の向こうの枝に後ろ向きに着地、その後くるっと回って正面を向く。2羽目、3羽目も同じことを繰り返し、全員が終わったところで3羽揃ってくるっと後ろ向きになってもう1回前を向く。詳細はうろ覚えだが、そんな感じのえらい凝った踊りを日がな一日練習し続ける。それで、運良くメスが通りかかると、「おお、本番だ!」とばかりその踊りを見せる。メスは首をかしげてそれを見て、全部終わったところで、気に入れば、3羽の中の1羽だけを連れてパタパタと2人仲良く巣に行く。

もう一種類のオスは、ある一本の木に何十羽もが集まってコロニーを作っている。で、こちらも一日中、どうやったら一番きれいに自分の羽が見えるか研究、またその羽を入念に手入れしている。メスが通りかかると、全員でバッと「一番きれいに羽が見えるポーズ」を繰り出す。メスはジッと観察した後、1羽を選んで巣に連れて行く。

さて、こうした鳥さんたちを1年観察して分かった衝撃の事実は
「メスをゲットできるオスは1羽だけ」
ということなのであった。3羽1組の方は、常に選ばれる鳥は1羽。コロニーのほうも、1年間のメスの巣に行く機会のうち、殆どをたった1羽が独占。ほんの数回だけ他の鳥が選ばれたことがある、という結果に。

驚いた研究者は、いろいろな仮説を立てる。例えば
1)集まっているオスたちは全員親戚。血がつながっているので、その中の一人でもメスとコトに至って遺伝子が残ればよい
2)人気者のオス以外は修行中。もてるオスの踊りや羽の見せ方を近くで学ぼうとしている
など。

・・・というバカ話を、先週末久しぶりに会ったお友達の日本人女性Eちゃんに話していたら、Eちゃんいわく
「みんなで集まって練習してるってところが、まさに男ですよね」
というコメント。言われて見ればそうかも。Eちゃんは、UCバークレーで理工系PhDを取得中という、割合男性的バックグランドの人なのだが、女性らしい感性の人。少なくとも私よりはずっとそう。

確かにメスが選ばれるほうだったら、それぞれひっそり個別の巣を磨き上げてじっと待っていそうだ。で、時々集まって噂話に花を咲かせ、またバラバラと自分の巣に戻って磨く、とか。一方、一緒にいたら競争になるのは明らかなのに、というか競争になるからこそみんなで集まるというのは、確かに男性的行為かも。私は一人でいるのが好きなのだが、これは実は女らしいってコトか。

さらに翌日、Eちゃんからメールがきた。
「そういえば、昨日帰りの車の中でつらつらと考えていたのですが、例の98%の女子が同じオスを選ぶ熱帯の鳥ですが、
『実は女子はくちばしの大きさだけで選んでいた』
とかだったら、またまた男の子には切ない話ですね。あんなに頑張った踊りの練習とか、一生懸命見せた自慢の羽とか、ぜんぜん関係ないんかい。。。みたいな

人間のオスにも、ありそうな思い込みですが。」

う、これも鋭いかも。

というわけで、超非科学的な男女に関する考察でございました。反論大歓迎です。

非科学的男女的考察」への8件のフィードバック

  1. 笑いました(^^)
    そのうちメス達の間で、
    「いつも川岸に一匹でいるあの方、なんだか背中が格好いいわ、、、」
    みたいな噂が広まり、盛り場に集まらない一匹狼がもてる時代がきたり。(^^
    はじめましてでした。

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  2. ご無沙汰しております。相変わらず読み応えあって面白いです!
    日本にはモーニング娘。というアイドルグループがいるのですが(現代版おニャン子クラブみたいな感じ?)一人一人は「ちょっと可愛い」って位なのに集団になると「ものすごく魅力的」に見えてしまうマジック。実際、ソロ活動を始めると急に輝きが失せる気がするんですよね〜。そのオス鳥さんたちもそんな効果を狙っていたりして?なんてこれまた非科学的な感想でした!

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  3. はじめまして。数週間前よりblogを拝見するようになりました。
    どうぶつ社のこの書籍でしょうか、
    熱帯雨林の生態学
    アマゾンの生態系と動植物
    J・C・クリッチャー
    伊沢紘生監修/幸島司郎訳
    熱帯雨林アマゾンの多様性を生態学、進化学の最新の知見にもとづいて一つ一つ解き明かしつつ、人々の生活とのかかわりを考える本格書。
    A Neotropical Companion
    1992.6 四六判478p 定価3875円(5%税込 本体3690円) 品切れ
    ISBN4-88622-266-8 
    http://webclub.kcom.ne.jp/mb/dbs-co/tosho/hon_html/nettai.html
    自分の仕事と全く関係のないこういう書物は、こうやって紹介されると無性に読んでみたくなります。

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  4. 通りすがりさん へそちゃさん
    おお、クリッチャー、それっぽいですね。ありがとうございます。いやー、言ってみるもんですねぇ。今度入手して読んでみます。
    (私は読んだ本を片っ端から捨ててしまうという、本好きの片隅にも置けんヤツです。後でどうしてももう一度読みたくなったら、もう一回買うことにしています。)
    しかし、決して役に立たない本ほど楽しいもんですよね。これぞ娯楽。
    yoheiさん
    「いつも川岸に一匹でいるあの方、なんだか背中が格好いいわ、、、」
    川岸に等間隔でぽつぽつと並び、背中を見せている一列のオス、という情景が目に浮かびました。ついでに背中に「哀愁」とか刺青が入っていたりしたら笑えますね。
    (たぶんyoheiさんは男性、、ですよね。「いつも川岸に一匹でいるあの方、なんだか背中が格好いいわ、、、」というような上品な話し方をする女性って、川端康成が若い頃を最後に絶滅したんじゃないかと思うんですよね・・・男性の方の夢を壊すようで申し訳ないんですが)
    hiroさん
    前戯というより、自○というような気もしますが・・・あ、これはシモネタですね。すみません。
    研究員Aさん
    お久しぶりです。読んでいただけていたんですね。光栄です。
    ちなみに私は大学時代、(一応)都市計画の交通・立地が専攻だったんですが、確か商店の魅力は「扱い商品数の二乗に比例」「その商店から消費者までの距離に反比例」というような思い出が。(品物点数はもしかしたら床面積だったかもしれませんが、要はどれだけ品揃えがあるかということですね)これに倣えば、
    人数が二倍になると魅力は4倍、ということでしょうか。これは、仮説1の方の「集団の中で一人でも遺伝子が残せればよい」というのに関連しそうですね。自分の集団の中での位置づけより、まず集団として他の集団に勝たないと、ということで。しかし、一生お嫁が来ないでも、楽しそうに踊って人生を終える鳥さんというのはペーソスがありますね・・・。

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  5. 熱帯雨林の生態学

    「熱帯雨林の生態学」とはJohn Kricher著「Tropical Forests」だと思われます。日本アマゾンではもう買えないみたいです。米アマゾンなら中古なら買えるみたいです。

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