意訳

以前、accountabilityは「落とし前をつける」と訳すのがいいんじゃないか、というエントリーを書いた。

一方、Paternalismというエントリーを2日前に書いたが、この中で書いたThe road to hell is paved with good intentionsに関しては、私なりの日本語訳は「ゴメンで済むなら警察はいらない」だ。つまり、どんなに善意・誠意があったとしても、結果がだめだったら問答無用でだめだということ。

“accountability”と”The road to hell….”は密接に関わっていて、accountableな人はgood intentionがあるだけではだめ。どんなにプロセスに善意がこもっていても、辿りついたところが地獄というのはaccountableでない証拠。つまり、本当にaccountableな人がいれば、善意で舗装された道を通って地獄に至ることはないのである。(他の経路では地獄に行くこともあろうが。)

これを、「善意」と「accountability」の有無を縦軸横軸にして、4象限にわけて考えてみる。(・・・・という縦軸横軸発想はMcKinsey時代の後遺症なのだが、まぁヨタ話と思って聞いてください。)

1.善意=ある、accountability=ある:すばらしい!こういう人についていきましょう

2.善意=ない、accountability=ない:近寄るべからず。でも、見るからに嫌なヤツで、実行能力がないのもすぐわかるから、見分けるのは簡単。意外に害は少ない。

3.善意=ない、accountability=ある:目的のためなら手段は選ばないタイプ。利害関係が一致していて、しかもその人がどうしても必要な場合のみに限定すれば付き合えるが、普通は怖いですね、こういう人は。

4.善意=ある、accountability=ない:これが善意舗装スーパーハイウェーで地獄に連れて行ってくれるタイプ。泣かされる。「善意でやっている」というプロセスに重きが置かれ、誠心誠意実行すれば結果は二の次。最後に結果が伴わなくても本人はいたってあっけらかんと「アーだめでしたねぇ、残念です」なんて他人事みたいに言ったり。しかも、善意はあるので、一見いい人っぽく、ついついそばに寄ってしまったりして、痛い目に会う。なるべく早く見抜いて、にこやかに去る、というのが鉄則である。

Dilbertという人気コミックがあるが、その中で、間抜けで怠惰だが憎めない同僚のWallyがプロセス・プライドを獲得する、というのがある。Wallyいわく、
“This week I developed what I call ‘process pride’…I’m very proud of the way I do it.” 
で、このあと、「でそのプロセスの結果、どんな成果が出たんだ」と聞かれると
「一度に2つのこと(良いプロセスと成果)ができる訳ないじゃないか!I am one personなんだから」と怒って答えるコマへと続く。4の人と一緒に仕事をすると、こういう感じになることが多い。

***

ちなみに、paternalismを日本語にするときはどうしたらよいだろう。実は何年も時々思い出しては考えているのだが、いい案が浮かばない。「家父長的」と訳すのが普通なようだが、それではaccountabilityを説明責任と訳すようなもので、本当の意味が伝わらない。「傲慢なおせっかい」かな?「尊大で無神経で差し出がましい」かな?それとも、そのまま直訳して「オヤジくさい」か?!うーん、これは明らかに違うなぁ。なんて訳したらいいんでしょうね。

意訳」への9件のフィードバック

  1. はじめまして。こんにちは。Takaと言います。
    「選択肢があるようで実は無い選択」という感じはいかがでしょう。「父親的温情主義」と辞書に載ってますが、いまいちわからないですね・・・。

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  2. これだけ皆さんが書き込んでくださるのに、やっぱり「訳語」としてピンと来るのを探すのは難しそうですね。
    paternalismはやっぱり「日本文化にその概念がない」のですねぇ。。。うーむ。

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  3. はじめまして。今日ここの存在を知りました。
    突然割り込んですいません。
    countには2つの原意があるようです。
    それはcompanionというのと、compute,enumerateというものです。
    accountというのはどちらかと言えば後者的要素が大きくて、add(to)-count、日本語で言う所の「勘定に入れる」という事だと思います。
    それに対してaccountabiliyは前者的要素に基づいて、add(to)-companion-ability「一緒にうまくやっていける可能性を追加する」と考えると良いのではないでしょうか?

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  4. あとpaternalismは、pater-がラテン語起源で
    fatherという意味ですが、この部分がpatri-otなど
    にも使われるので、父母の父、男性、家長、という
    のでは無くて、なにか根源的なもの、自分の属する
    土台とか地縁とか母集団、つまりfatherlandを指して
    いると考えるならば、「(道徳や常識など)自分の
    属する母体(土台)に共通する意思や力が、
    個人の権利よりも優先されるような状況」と解釈
    出来るのではないでしょうか?
    こうすると、常にそういう状況にある日本に、同じ
    意味の言葉が存在しない裏付けにもなりませんか?
    もし強いて日本語で言うとするならば「道徳的」に
    近いのではないかと私は考えました。

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  5. なんだかとてもインテリジェントなコメント。。ありがとうございます。Paternalisticが「道徳的」ですか・・「悪徳的」な気もしますが。
    accountabilityが「一緒にうまくやっていける可能性を追加する」ってことは、accountabilityという言葉がない日本は「一緒にうまくやっていける可能性を追加しない」ってことなんでしょうか。うがってますねぇ・・・・・。

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