不景気と独立して働くこと

Business WeekのU.S.: Consumers Will Keep Carrying the Ball

景気の様々な指標は回復してきているのに、8月の雇用状況が悪化したことについて。
いわく”After all, consumers can’t possibly keep leading this recovery without a pickup in job growth, can they? ”

その一つの理由として独立・起業する人が増えている、ということが挙げられている。

・・・although the Labor Dept.’s survey of businesses shows continued layoffs, its survey of 60,000 households shows an increase of 868,000 jobs over the past year・・・558,000 jobs reflected people listing themselves as self-employed.

企業側は首を切っているのに、働く側の仕事は増えていて、その理由の一つは、実は55万8千人が独立事業者(というのか、要は誰かの会社で働いているのではなく、自分が自分のボスということ)だから、となっている。

It might be easy to dismiss the rise in self-employment as merely a way for some to deny their unemployed status. But the trend in proprietors’ income — earnings derived mostly from privately owned businesses — supports the idea that this jobless recovery is pushing more people to become successful entrepreneurs. Nonfarm proprietors’ income was up 9.1% in the year ended in July, a pace equal to the gains posted in the 1990s boom. These earnings, while 10% of all personal income, have accounted for nearly a quarter of the increase in overall income over the past year. Those gains partly explain why consumer demand is strong even while businesses are reluctant to hire.

最初の一文をちょっと解説すると、最近半年とか1年とか、長期にわたって仕事のない人が増えていて、プロジェクト単位で仕事を請け負ってしのいでいることも多い。で、さらには、何のプロジェクトもこなしていなくても、「職探し中」というにはあまりに長い失業は聞こえが悪いので、「失業中」という代わりに「consultant」という人もたくさんいる。

もちろん、本職のキャリアとしてコンサルタントをしている人たちもいる。私もそうなのだが、この間もそういう人たちと食事をしながら、「Consultingをしているというと、職探し中かと思われるのが困りもの。」という話題になった。私は自己紹介をするときは「I’m a consultant」といわずに、「I own a consulting company」とか言ったりするようにしたりと、いらぬ気苦労が必要な昨今である。

もとい、景気の悪さで、起業家が増えている、というのが記事の内容。私の周りを見ても、転職活動に見切りをつけて、自分の会社を作った、という人がたくさんいる。そういう人の中には、景気が良くなったらまた勤めに出る人もいるだろうが、このまま独立してやっていくという人生を選ぶ人もいるだろう。

「企業」の形が変わり、人々の意識が変わる中で、勤労形態も今後変わっていくことは間違いないが、その中で「独立して働く」という生き方を選ぶ人も増えるのではないか。

Free Agent Nation: The Future of Working for Yourselfという本もあったりする。アメリカで独立して働く人たちについてフィールドワーク的に調べた本だ。ちなみに、狭義には「独立して働く人」はentrepreneurとは言わない。あくまで「狭義には」だが。雇用を生み出すのがentrepreneur。自分でフリーランス的にやっていくのは気持ち的にはentrepreneurialだが、entrepreneurではない、ということ。でも、それはそれで中々味のある働き方なのである。組織でやっていくことが必ずしも効率的でない仕事もたくさんある。

ボスもいなきゃ、部下もいない、働く相手はみんなパートナーという形態を好ましいと思う人たちにはうってつけの働き方だ。

不景気と独立して働くこと」への1件のフィードバック

  1. 私は昨年2月に半導体企業を退職し、起業致しました。会社員時代はいつも枠からはみ出してしまいました。今は自分のフィールドがありますので、苦難も多いですが、伸び伸びと仕事が出来ます。今は日本市場ですが、早い段階で、米国進出を果たしたいと、邁進しております。
    これからも記事、楽しみにしています。

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