展示会の使い方

金曜(今日)からNew Orleansで行われるAmerican Diabetes Associationのconference(展示会)に4日間行ってくる。その準備でここの所しばらく忙しかった。

なぜか。

アメリカの展示会は、会場でブースを見て回るよりも、そこに集まってくる企業とのミーティングを近くのホテルなどでひそひそと行うためにある。広大な国土に分散して企業があるアメリカでは、face to faceのミーティングをするのは結構大変。たった2時間程度のミーティングでも、往復で丸一日つぶれることも多い。東海岸の会社だったりしたら2日はかかってしまう。ということで、対象業界のコア的な展示会では、その業界に属するほとんどの企業が集まってくるのを利用して、一気にこれはと思う多くの企業とのミーティングをこなすのが米国企業がよく使う技だ。

重要な展示会であれば、展示や発表をしない企業でも、大抵は出向いてきている。

関連企業が地理的に集結してくるので効率的に多くの会社に会えるというのに加えて、展示会では気楽に会ってくれる企業が多いのもポイント。

通常アメリカの会社はちゃんとした理由がなければ会ってくれない。スタートアップであればあるほどそう。彼らは「マイルストーンが達成できなかったら会社がつぶれる」という切迫感の中で仕事をしているので、無駄なことはしない。

私の仕事は日本の大企業側をクライアントとしてアメリカのスタートアップを相手にするという仕事が多いのだが、スタートアップとコンタクトしようと、メールしても、ファックスしてもボイスメールを残しても、相手側に興味がなければ返事が来ることはまずない。なんとか電話で誰かを捕まえて話しても、会ってどうするんだ、何を話すんだ、どういうメリットがあるんだ、みたいなことを聞かれて、意味がないと相手が判断すればそれでおしまい。こちら側(私のクライアント)がグローバルに名の知れた日本を代表する大企業であったとしても話は同じ。例えば相手が開発に集中している段階で、まだ社外と話す時期にないと考えていたら、まぁ、多くの場合何を言ってもケンもホロロである。

唯一の例外が展示会である。展示会に来るときは、どの企業も他の仕事を一切合財諦めて、よその会社とひたすら会いまくるのが目的。だから、たいしたことない理由でも、時間さえ合えば会ってくれる。最悪、ちょっとお茶でも、くらいの簡単なミーティングはセットできる。展示会をうろうろして相手企業の誰かを捕まえて、何とか引き込むことだって可能だ。(ほとんどナンパのようであるが)

今とある日本企業の医療機器関係の事業開発の仕事をしているのだが、今回の展示会は糖尿病では世界でも代表的なもので、世界から参加者が集まってくる。なんとしてでも会いたい会社が目白押し。

というわけで、過去数週間、ミーティングのセットアップをしていたので忙しかった。ちなみに「ミーティングのセットアップ」をもうすこし細分化するとこんなプロセスになる。

1)相手企業に、私のクライアント企業の紹介・会いたい理由・会うと何が相手にとってメリットになるかの説明を書いたEメールやファックスを送信。

その際、300人までの企業であれば、相手先企業のCEOに連絡するのが基本。ただしCEOから音沙汰がなく、かつBusiness Developmentの担当者(VPかDirector)がいればその人にもトライ。

A)連絡方法については、まず第一にEメールアドレスを何らかの形で発掘する(未上場企業または公開していても小規模あればVenture Sourceなどの有料データベースなどに出ていることがある。もしくは、相手先企業のEメールのパターンを他の人の例から探し出す。IRやPR担当者などのメールアドレスがウェブに記載されていることがあるが、そこでfirst name_lastname@とか、first nameの一文字+last name@というパターンがわかれば、それを当てはめて連絡したい相手のメールアドレスを推測する。)

B)Emailアドレスがわからない場合、もしくはEmailしても音沙汰がない場合、直接電話してCEOかbusiness developmentの担当者を頼む。相手の名前を言わないと取り次いでくれない会社もあるので、予めこれはと思われる人の名前を調べておく。(相手先企業のウェブサイトにManagement Teamなどとして掲載されていることが多い)

C)Email, 電話どちらもダメだったら、ファックス。ここでも、相手の名前を明記するのが基本。

2)連絡が取れ、相手が興味を示してきたら、より詳細な情報を提供。こちら側の参加者リストに加えて、当日の議題と、特に相手から聞きたいと思っていることをメールやファックスで詳細に説明。時には、さらに電話会議を設定して、詳しい話をする。

3)時間を調整し、実際に現地でどうやって会うかを綿密に設定。始めて会う人たちなので、これは大事。相手の携帯電話など非常用連絡先も確認。

・・・というようなことをしていると、あっという間に時間がたってしまう。が、今回は、アメリカは東海岸の上の方と下の方、スイス、イスラエルなどなどの会社とミーティングが設定できた。これを全て相手先企業の所在地までいちいち訪問していたら、1週間では終わらないだろう。(というか、今エルサレム出張を許す日本企業はないだろうから、今回の展示会なくしては不可能なミーティングもあるわけだ)そう思えば涙が出るほど効率がよい。

というわけで、展示会の使い方、でした。会いたい会社があるけどなかなか会えない、遠隔地の会社を一社だけ訪ねるほどの理由もない、という時に活用してみて下さい。

展示会の使い方」への3件のフィードバック

  1. アメリカの展示会、ミーティングが忙しくてどれだけ展示フロアを見る時間なかったかをみんな自慢してたりしますよね。でも、そこへ日本の人たちが行くと勘違いが起きるような。展示会は名刺交換くらいでその後訪ねる、なんて考えてたりして。
    しかもComdexなんかの展示会ツァーを組む会社、何考えてるのか展示会前後に企業視察なんて組んでたりする。でも、展示会直前はみんな準備に忙しいからまともな話してくれるわけないし、展示会後は休暇に入っちゃうから誰もいなかったりする。私も以前、某広告代理店の人からツァー組みの相談されましたが、似た話だったので「お止めなさい」とか言っちゃいました。

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  2. gtさんお久しぶりです。
    今まだコンファレンスですが、展示に行ってる時間は全然ないですね、確かに。。。。
    日本からの米国企業視察観光ツアーは、展示会前後に関わらずやめた方がいいですよね。なかなか外国に行けなかたった時代ならいざ知らず、いまどき全く意味がないのでは。

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  3. 2月からプライバシーレポートの大詰めでバタバタしてて一応終わったら気抜けしてご無沙汰になってしまいました。
    でもね、日本からの米国企業視察観光ツアー、やれば乗っちゃう人はまだまだいるらしいんですよ。日本にはお金はあるけど英語ダメな企業エグゼクティブまだたーくさんいるじゃないですか。そこを狙ってツァー組む会社とかあるらしいんですよ。
    とはいえ、こんな形で企業視察なんかしてもコミュニケーション成り立たないから、来られた先では「あいつらアイデア盗みに来てる」としか思わないでしょうね。結局、「お止めなさい」です。

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