アメリカでNPOを作るということ

時々このBlogにも書いているが、JTPAというNPOを運営している。先週の金曜は1周年記念カクテルパーティーなどというものも開催、スタンフォードのNanotech Fabrication FacilityのDirectorである西教授に講演をお願いし、130人ほどの方に集まっていただいた。

さて、そのJTPAであるが、これまでIRS(アメリカの国税局)にNPOの申請をしていた。周りにNPOの申請をしたことのある人もおらず、全くもって手探りでやたらと遠回りをしつつあれこれと書類を準備、3月に申請して、先月IRSからさらに追加質問を受け、その結果を回答したところ、ついにNPOとして認可されたというレターがやってきた。なんというか、この喜びは受験に受かるのと似てる。やるべきことは全部やったが、だからといって認可されるとは限らず、「人事を尽くして天命を待つ」という感じだからか。

この申請を通じて学んだアメリカのNPOについて。

1)NPOの中に、税金を払うNPOと税金を払わないNPOがある
税金を払うほうのNPOは、「NPOです」と自己申告して会社登録をするだけ。簡単である。それでも、郵便代のディスカウントとか、ちょっとした特典がある。

税金を払わない方は大変だ。

アメリカの税金のシステムはやたらと厳しい。「逃れられないもの」という意味でDeath and Tax(死神と税金)という表現を使うが、税金は死神と同じくらい厳しいんである。そもそも高い。シリコンバレーだと、ごく普通の20代後半-30代前半の人でも、収入の4-5割は税金で持っていかれてしまうと思ってよい。日本にいると、なぜか日本の税金が高いと思いがちであるが実は安い。加えて、アメリカでは日本みたいに会社を作って親類を役員にして給料払って経費にしちゃうなんて言う技も許されない。さらに、大幅な脱税でつかまるとフロリダにある通称「Club Fed」(Club Medをもじったもの。FedはFederal=国の、の略で、国税の脱税というニュアンス)で余生を送ることとなる。

そういう厳しい税金を払わなくていいという認可をIRSがくれるわけだから、その審査は厳しくて当たり前なのだ。当然のことながら。あまりにも当たり前すぎて頭が痛い、という時に私の頭の中ではどこからか「当たり前田のクラッカー」という既に死に絶えた表現が沸いてきてしまうのだが、これが本当の「当たり前田のクラッカー」。
(注:昔、前田という会社がクラッカーを作っていたらしいです。詳細不明。知っている方教えてください。)

2)アメリカのNPOはIRSの認可マターである

NPOかどうかを認める権限はIRSにある。それ以外のお役所は関係ない。考えてみると、大変合理的である。NPOが存在することで被害を蒙るのは税収入が減るIRSだけだ。もちろん、NPOを隠れ蓑に非合法な活動をされては困るが、そういう時は警察が取り締まればよいのである。NPOがあったら最も困る人(IRS)がNPOを許可するというシンプルな制度。ちなみに、日本は各々のNPOの活動内容を管轄とする官庁の許認可マターとなり、よしんば2つの省庁にまたがるような活動をするNPOを設立しようとしてしまったりすると大変なことになる、と日本のとある財団の人から聞いた。

3)税金逃れができないように、という観点でのみ様々な規制がある

もちろん、アメリカでも昔はNPOを隠れ蓑に税金逃れを謀ろうとした人たちがいた。例えば、大金持ちが自己資産でNPOを設立、子孫代々をそのNPOの社員にして給料を払うことにすれば、相続税を払うことなく長期にわたって末裔に資産譲渡ができる。

そこで、そうした不正を防ぐため、次のような大きな二つのルールがある。
-多くの人から基金を集めないとならない:public supportルールというのだが、要は個人資産を基に作られたprivate supportではなく、一般の多くの人たちからお金を集めることが非常に重要。

-活動の対象はなるべく一般大衆でなければならない:多くの人から基金を集めたとしても、その寄付した人たちだけが活動のメリットを享受できるということだと、結局その人たちの税金逃れに使われてしまう。「メンバー制で会費(寄付)を払ったメンバーだけがメリットを享受できる」というのは駄目。ただし、「日本語を話せる人」とか「マイノリティーの女性」とか、そういう特定集団をターゲットとすることは構わない。

上記二つのルールを満たすとなると、基本的には教育活動か宗教活動が対象となる。JTPAは教育活動団体。IRSの申請をする中で「NPOとしてのJTPAのあるべき姿」なるものが浮かび上がってきたのだが、ポイントは「仲良しクラブ」では駄目で、「発展的かつ継続的に多くの人にメリットを享受し続けるグループ」でなければならないということ。

ちなみに、教育でも宗教でもないとなると、それは「税金を払うNPO」となる。業界団体などは普通税金を払うNPOだ。

アメリカでNPOを作るということ」への2件のフィードバック

コメントする