水晶玉

昨日、ECommerce復活というエントリーを書いた。

2001年春ごろ、私はECommerceの着実な成長を全く疑わなかった。いったんEmailを使い始めたら二度とEmailなしで仕事ができなくなるのと同様、いったん始まったECommerceは止まらないはずだ、と確信していた。しかし、その前提の中で何が起こっていくかのミクロ予測ははずれた。はずれた予測はこういう感じだ。

1)ECommerceは確実に伸びるが、(2001年当時までの)ECommerce企業への資金投資は大幅に過剰。過剰な期待と資金により、元の取れない過剰設備投資が行われた。
2)過剰投資に見合うリターンがないことが明らかになり新たな資金調達はできなくなるが、事業が黒字転換しないためECommerceベンチャーは苦境に
3)ECommerceベンチャーは倒産、またはそれに近い状態になり、brick and mortarの既存大企業が、ベンチャーの持つECommerceインフラを元の価格の何分の一かで買取る。例えばAmazon(の持つ物流倉庫やITインフラ)はBordersなどに叩き売られ、Webvan(の持つ倉庫、トラック、ITインフラ)はSafewayなどに叩き売られるだろう。
4)インフラを叩き売り価格で購入したbrick and mortar企業は、投資金額が低いゆえに高収益のECommerceが可能になり、その後は順調かつ安定的にECommerceが成長する

ところが。Amazonは好調で誰にも叩き売られず、Webvanは逆に誰にも買われずに単に消滅してしまった。(時々Bay Areaでは、「むむ、これは昔Webvanだったんじゃないか」というサイズのトラックが走っているが・・。オークションでいろんな人の手に渡ったので。)

というわけで、マクロな将来予測ができ、それが当たったとしても、ミクロな予測が当たるとは限らない。というか、マクロはわかりやすいが、ミクロは難しい。大きな方向性は、適切な洞察力があればわかるけれど、ミクロは様々な偶発要因に左右されるからだ。そんな中でマクロ洞察力を生かすには、二つの方法があると思う。

1)マクロ予測自体を商売にする
「ECommerceは今後も伸びる」という大所高所の予測を回りに説くことを商売にすること。コンサルタント的。いい例はドラッカー。少なくともECommerceがだめになると予測して行動を起こすよりはましなので、マクロ洞察なんかしている暇がない人に教えてあげるというのが仕事になる。

2)自分がmovers and shakersになる
「ECommerceは今後も伸びる」という想定の中で、じゃぁ自分がそれを実現してやろうじゃないか、と実際にプレーヤーになる。アントレプレナーはこっち側の人。自分が作り出した製品やサービスによって、ECommerceがより一層伸びるようにする。

ちなみに、Stanfordのビジネススクールの教授、Grousbeckはアントレプレナーシップを教えながら、優秀な生徒が起業するときは自ら投資もしてしまうという2)型教授であった。ちょっと天動説チックではあるが、世の中の波に乗るより、世の中の波を起こそうというタイプ。一方1)型は、波が起こり始めた後、それがまだ小さなうちに、波に気づかない人の注意を喚起して、波を増幅させる。

1)と2)が適当なバランスでいることが、trendを作り出していくには必要なのだろう。

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