シリコンバレーは絶不調である。
昼日中、壮年の男性が10人くらいのグループでbiking(真剣に自転車に乗ること、ですね。トライアスロンの自転車みたいな感じです)している情景も見うけられる。うちのダンナの元の会社の社長は、18ヶ月くらい前に会社をたたんでから職がないので、ヨットにいそしみ赤銅色にやけている。去年は、引越し用のレンタル・トラックがBay Areaから払底した、という噂がまことしやかに流れたりもした。出て行く人ばかりで流入する人がいないから、である。
2年前の今頃はみな、「後3ヶ月くらいで上向くかなぁ」などと言っていて、プロフェッショナルライフの最初の10年を日本の景気のdownhillの中で過ごした私は、その無防備な楽観にあきれていたのだが、さすがに昨年後半は「果たしてシリコンバレーが復活する日は来るんだろうか」に論調が傾き始めていた。
とにかく1990年代終わりのテクノロジーバブルはすさまじいものがあった。まずこのバブルの余剰分が一掃されないと成長はない。余剰分には、「金」と「人」の二つがある。シリコンバレー復活の指標として、それぞれでどれくらい調整が進んでいるのかを見ることは意味がある。
というわけで、シリコンバレーの社内報 San Jose Mercury Newsのここ数日の記事からいくつかのニュースを拾い出してみる。
■Bay Areaの人口増はほぼストップ
Fewer jobs shrink Bay Area growth
The Bay Area, whose growth rate slightly exceeded the state’s in the 1990s, grew only about 0.6 percent in the 12 months ending July 1, 2002, adding 39,500 people.
In contrast, the state grew 1.74 percent — almost three times as fast.
■Bay Area消費者のムードには薄明かりが
Survey finds Valley mood brighter
「来年には経済は良くなる」と答えた人は、去年の3月に64%だったのが、9月にはどーんと落ちて42%、今月はじめはほぼ横ばいの43%。「悪くなる」と答えた人は去年9月は18%だったのが、14%に。
“My conclusion is that we are actually at a standstill,” said Miriam Donoho, professor of statistics and marketing at San Jose State University and survey director. “It’s a wait-and-see for what the next three months will be like.”
■ベンチャー投資額は全国ではフラットだがBay Areaでは増加
VC investment falls nationwide, rises in Silicon Valley
Venture capital firms injected $4.2 billion into start-ups in the last three months of 2002, down about 7 percent from the third quarter’s $4.5 billion.
Investments in Bay Area companies increased, however, to $1.5 billion from $1.3 billion, a 15 percent jump.(この記事の元データはPricewaterhouseCoopers, Venture Economics and the National Venture Capital AssociationのMoneyTree Survey)
これはいいニュースか悪いニュースかなんともいえない。投資は98年レベルに戻っているのだが、それでもまだ多すぎる可能性がある。
一方で、ちょっと違う角度のニュースとしては、こんなものもあった
■鉄鋼業界の人々が鉄鋼専門VCを設立Workers form venture fund to save their steel companies
Now, tired of trying to convince banks and investors that the manufacturing industry is worth saving, and frustrated at seeing money — sometimes their own — going overseas or to other businesses, steelworkers have created a fund to try to save companies. And they’re willing to bet part of their pensions on it.
In September, a consortium Croft helped build from the United Steelworkers of America and other manufacturing unions finished raising $78.2 million for a capital venture fund, the Landmark Growth Fund, to invest in old-line industries.
アメリカのVCの元のお金の多くは、様々な企業の年金ファンドから出ている。鉄鋼業界のインサイダーが自らの年金ファンドに対し「悲惨な実績のテクノロジーVCに投資するくらいなら、自分たちの産業に投資してほしい」と設立、$80M弱のファンドをレイズしたというもの。
これは、テクノロジーセクターが使い切れない資金が他の用途に振り分けられる、という意味では好ましい調整といえる。
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以上の混沌としたメッセージを私なりに解釈すると、「人口増は止まったが元のレベルに戻るまでには至っておらず、VC資金の過剰は未だ調整中、しかしフリーフォールは終わった」というところだろうか。これは仕事・生活を通じて感じる実感に近いイメージでもある。
昨年12月に Bay Area を訪れた時、何度か San Francisco と Silicon Valley 間を往復しましたが、幹線道路の101号線から以前のうんざりする様な渋滞が無くなって走り易くなっている事には驚きました。
確かに、一時は異常に増えた人口は、減りつつあるのでしょうか。
シリコンバレーの復活は、世界の IT 産業復調にも大きな影響を持つと思いますので、是非今後とも継続 Watch をお願いします。
でも、日本で仕事にあぶれると、ひきこもり化していたり、安い居酒屋でクダを巻いたりしてしまったりするわけですが、Biking にヨットとは、California っぽくてうらやましいような….
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シリコンバレーは復活するか
CNET Japan に、ちょっと前の記事だが、「シリコンバレーは復活するか」という記事が掲載された。(原文)。 「今後数年は低成長が続くというのが彼らの共通見解だった。また近い将来イ…
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あーーなんかやっぱりってかんじで
バブル時期 往復しすぎた ぼくとしては
なつかしい の一言
だからって戦争で 経済再建は困りますよね
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Blogについて調べて、行き着いたところが、
このBlogger Chika Watanabe のところでした。
(教えてくれればいいのに!)
ところで、今、シリコンバレーでもそんなにBlogって
流行だしているの?日本では、最近日経で紹介されてって
感じで、一部の”通”を除いては、まだまだなような気が
するんだけれど。
それにしても、面白いわ。
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