天才はどこからやってくるか

Phychology Todayという雑誌に「ノーベル賞受賞者は普通の科学者と比べてどう違うか」という記事が載っていた。記事はまだオンラインにないので、リンクが張れない。

それによれば、ノーベル賞受賞者は趣味人なんだそうだ。普通の科学者では1%しか趣味を持っていないが、調査対象の化学でのノーベル賞受賞者134人では、ほぼ全てが長期間継続した趣味を持ち、半数以上が非常にアーティスティックな趣味を持っている。(絵画・楽器など)

この調査結果は二つの解釈の仕方があって、一つは「趣味によって、視野が広がり、研究にいい結果がでる」という「趣味原因型」。もう一つは、「ノーベル賞を取るほど秀でた人は、他の分野(例えば趣味)でも優れた能力を発揮する」という「趣味結果型」

去年Signaling理論でノーベル賞を取ったMike Spenceは、私がビジネススクールにいたときの学長なのだが、彼も大型バイクとウィンドサーフィンが趣味で、ノーベル賞受賞時もマウイでサーフィンをしていた。ちなみに彼は、人間離れした知的な風貌(いや、ほんとにSF映画に出てくる未来人類みたいなルックスなのです)と、常人離れした誠実さと温かみを持つ、たまげるくらい良い人である。

もとい、天才と趣味のどちらが原因かはさてはおきつ、異なる分野をまたがって知覚を統合できるのが天才の秘訣なのでは、と記事は言う。たとえば、ファインマン物理学で知られるRichard Feynmanは、「数式」を「リズムを取って口ずさむ」という音楽的方法で実体験として理解し、Einsteinは自らが電荷を持つ粒子となることをイメージして思考を進めた、とある。

こうした「異なる分野を超えた知覚統合」がさらに一歩進んだ「Synaesthesia」という症状を持つ人が優れた科学者には多いともある。Synaesthesiaは、常人と異なる神経系を持つことで起こる感覚の混同で、日本語では共感覚と言われる。10万人に一人の割合で起こるとされるSynaesthesiaに関しては、優れた本がいくつも出ているが、例えば以前読んだThe Man Who Tasted Shapesは面白かった。

この本のタイトルは「味を感触として理解する、料理が趣味の人(確か科学者だったと思う)」を指している。味見をすると「頬の上を正方形の物体にブツブツの突起が付いたものが滑っていく感触がする」といったような「味覚と触覚の共感覚」が起こるのである。だから、「もうすこし三角の突起をつけよう」などという感じで味を極めていくことができる。「味覚」+「触覚」で二重に味を感知できるわけだから、シェフとして優れているのは当たり前の結果とも言える。それ以外にも、絶対音感があって、全ての音が別の色を持って見えるという「聴覚と視覚の共感覚」など、とにかくいろいろな人が登場する。

ちなみに、私は夢が漫画のことがあるんですけど、これは「3次元映像と2次元画像の共感覚」で天才の証?・・・のはずないか。どちも視覚であることには違いないし、そもそも3から2に次元が一個下がってるんだから全然リッチな体験じゃないな。

でも、夢が漫画だったことがあるのは本当。目が覚める直前、最後のコマに「つづく」って書いてあった。もう一回寝たら「つづき」って書いてあるコマから始まった。誰も信じてくれないんだけど。

天才はどこからやってくるか」への4件のフィードバック

  1. 一月に一回くらい思い出して一気に読んでない分を読むんだけど、いつも面白い!今度から一番笑ったやつに書き込みをしようかなと。
    最近毎日料理をしている僕は、残念ながら軟口蓋に正四面体が突き刺さったような感じがしたりはしないんだけど、小さいときからいくつかの短調の音楽を聴くと、寒く感じた。コレって、共感覚?
    マンガやアニメの夢を見る時って、自分がその登場人物の中にいて、それを外から見ている自分がいない?(私はその経験がある)その場合って、視点があがった・増えたとはいえないかなぁ?(平面図からパースになる感じ)
    つづく<>つづき、は最高だ。その経験を一度してみたい。いつも面白いネタ、どうもありがとう。

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  2. Hitoshiさま
    commentどうもありがとう!
    音楽聴いて寒いのはちょっと共感覚チックですね。
    「マンがやアニメの夢」を見るんですか?
    私以外にこんなくだらない夢を見る人がいるとは知らなかった。。。心温まります。
    私のは、本を読んでいるような感じで、視野いっぱいに一ページがある、というイメージです。
    夢の中で「ストーリーを考えながら、かつコマ割をしてキャラも書き込む」というのは、結構脳のCPUにとって苦しい作業のようで、だんだんフキダシの中の文字や人物がぼやけて終わってしまうことがあり、自分の脳の限界を感じます。

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  3. すんげー古いネタにコメントすみません。
    1.以前のお約束
    また忘れない内に、映画館でホラーを見てもびっくりしない方法とは、「常に体をこわばらせておくこと」です。リラックスしているところで驚くと体に一瞬力が入る(=ビクッとする)けど、元から力を入れているとビクッとしないんですねー。映画一本その状態で見ると、どっと疲れますけど。
    2.ノーベル
    マイケルさん、確かに「グレイ」っぽいですね。
    3.共感覚もどき
    夢で、ゲーム”Quake”の中でRailgunなる銃を持つ敵と戦っていた事がありました。かなりリアルで夢が3Dというかポリゴンとテクスチャで構成されて、自分自身もテクスチャでした。撃たれても痛くなかったです。
    共感覚というより、単純にゲームのやりすぎでした。反省。
    4.つづく
    以前、スキー場に車で行った時に、到着までぐっすりと眠っていた嫁を起こしたら「…つづく」と言って夢の中に戻りました。
    つづく。

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  4. ジョージ-san
    このネタ、割とお気に入りなので、コメントいただけてうれしいです。ありがとう。
    体をこわばらせて映画を見るのは疲れそうですねー。。。
    夢がポリゴンとテクスチャなのはなんとなくわかります。「つづく」って、やっぱり私以外にもいるんですねー、夢の続きを見られる人。
    ちなみに、私は昨日は、「じっとりと汗ばんでおり、コーヒーが腐ったような口臭」という登場人物がいる夢を見ました。見知らぬ男性が、冷や汗を流しながら、道端でたたずんでいたので、「大丈夫ですか」と言ったら倒れかけたので、ばっと手で支えると汗がじっとり、そして話す口(女に逃げられたんだそう)からは悪臭が・・・というもの。どっちもリアルに感触・臭覚があって、やな感じでした・・・。

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