謝らない人たち

driving2スピード違反で捕まった。高速道路の280を気持ちよくすいすい85マイルくらいで走っていたら、後ろから白バイに止められた。セスナ機で上からスピードをはかり、白バイに連絡を出し、それで捕まえるという仕組みになっていた。めったにないのだが。

で、罰金の通知が来たので、
「さて、これで罰金を払って、トラフィックスクールに行けば点もなくなる」
と思って通知を見た。(日本同様、違反を犯すと点がたまる。しかし、一回ごとにトラフィックスクールを受講すると、帳消しになる。)すると、You are not eligible for traffic schoolと書いてある。

なんですと!

よく読むと、トラフィックスクールは18ヶ月に一回しか受講できない、と書いてある。

確かにトラフィックスクールに1年半くらい前に行った。行ったのだが、そのときはカープールレーン違反。「通勤時間帯は2人以上乗った車でなければ走ってはいけない」というカープールレーンを一人で走っていて捕まった。そのときダンナが
「トラフィックスクールに行けトラフィックスクールに行けトラフィックスクールに行け」
と呪文のように繰り返しうるさいので、何も考えずに即座にトラフィックスクールに申し込んで受講した。交通違反の点があると自動車保険が高くなる、というのがダンナの呪文の理由である。

ダンナはケチなのだ。なんといっても中国人だから。我が家は「爪で拾ってみでこぼす」を夫婦で分担しており、もちろんダンナが「爪で拾う」担当、私は「みでこぼす」担当である。

トラフィックスクールには、インターネット版もあるのだが、ダンナが
「実際に行くとコメディー形式で授業をやってくれるぞ」
というので、「そうか、コメディか」とリアルな授業のほうに行った。

ずっと聞いていたが、特に面白くない。丸一日退屈な話を聞いて、
「やっぱりアメリカ人のジョークはわからん」
と家に帰って報告すると、
「ちゃんとコメディバージョンに申し込んだのか」
と。そうです。別に全ての授業がコメディなわけではなかったのだ。そして私の受けたのは普通のだったのだ。うーむ。

しかし、それ以上にショックだったのが、
「カープールレーン違反は点がつかない」
という事実がトラフィックスクールに行ってから判明したこと。(要は罰金のみ)
授業で全員がどんな違反をしたか一人一人言わされたのだが、私が「カープールレーン違反」と言ったら、
「何しにきたの?それはno point offenseだよ」
と。でも、せっかく行ったんだし、と一日ボーっと座って授業を受けてしまったのであった。

そして、その報いが1年半もたった今頃やってきたのだ。意味もなくトラフィックスクールに行ったばかりに本当の点が消えない事態に。しかも、スピード違反で捕まったのは、トラフィックスクールに行ってからお約束の18ヶ月がたつホンの10日前。あとたった10日でクリアできたのに。

私は頭を抱えてダンナにクチクチと苦情を言った。
「あの時、あんなにせかすから、ついウカウカと行ってしまったトラフィックスクールのせいでドツボに」
しかし、ダンナは
「確認しない自分が悪い」
とケンもホロロ。私は「謝れよなぁ」と心で思いつつ、まぁ確かに確認しなかった私も悪いかな、と思い、さらにしばし考えた後、交通裁判所の罰金窓口で抗議してみることにした。前回はno point offenseだったんだから、今回トラフィックスクールにいけないのはfairじゃないぞ、と。

そして、窓口まで出向きその旨を告げると、担当者はにべも無く
「トラフィックスクールは理由のいかんに関わらず18ヶ月に一回のみ」
と。しかし、ここはアメリカ。すぐに諦めてはいかん。

「That’s not fair . (fairじゃない理由をあれこれ並べ立てる) 。Besides あと10日で18ヶ月だったんだし」
というと、担当者はじーっと私の通知書を見て、突然姿を消した。一言の断りも無く、クルリと私に背中を向けて奥のほうのコンピュータへと歩み去ったのである。やがて、プリントアウトした紙を持って戻ってくると、全く表情を変えずに
「You are eligible」
私が
「へ?」
というと、要は違反の日から違反の日まで18ヶ月というルール(トラフィックスクールに行った日から起算するのではなく)なのだが、コンピュータが間違って24ヶ月で計算していたから、私はeligibleでないという記載になっていた。しかしそれはコンピュータの誤りである。ゆえに、あなたはOK、と。

さらに担当者は
「Computers make mistakes. You should always check, OK?」
と。そうか、悪いのは私なのか・・・・なのか??

*****

かようにアメリカという国では物事はことごとく間違っており、たとえ警察からの通知であってもうかつに信じてはいけない。間違ったことを信じたら、信じた方が悪い。まぁ、本当は悪くないと思うが、うかつに信じるとバカをみる、というのは紛れも無い真実。

こうして、過ちだらけのアメリカで、謝らない人たちに諭されながら、か弱い私も強くなっていくのでした。

謝らない人たち」への12件のフィードバック

  1. アメリカらしい話ですね。日本だったら係りの人はチェックすらしなかったでしょうね。アメリカの仕掛けは結構ルーズに出来ていて、人がそれを裁量できるようになっている気がします。
    まあ日本人だと文句を言いに行かないですね。従順な国民です。

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  2. 激しく、激しく同意>「かようにアメリカという国では物事はことごとく間違っており…」
    あらゆる場面で、自分でのチェックが欠かせませんね。
    最近、広大な土地を所有するハワイの王族の一人のsocial security numberを騙ってtax returnをファイルし、本来の所有者に行くはずの$2millionのチェックをだまし取るという事件がありました。
    SSNを騙った犯人が悪いとはいえ、IRSも気づけよって感じですが…
    http://the.honoluluadvertiser.com/article/2004/Apr/27/ln/ln03a.html

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  3. これだけ皆さんそろいも揃って謝らないというのは気持ちがいいもんですね。あとくされゼロです。
    「Computers make mistakes. You should always check, OK?」
    ってよく使われる言い訳ですね。もちろん日本でも。コンピューターメーカーに勤める者としては、時々カチンときます。
    コンピューターがミスをするのではなく、コンピューターをそう作った人、あるいは、そう動かした人がミスをしているのです。
    とは言え、作った人はメーカーであるし、そう動かすようガイドをする立場にあるのもメーカーなわけで
    私は日本で仕事しているので、まずはごめんなさいします。謝るというのは時にはビッグチャンスになり得ますからね。少なくとも日本では。

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  4. maida01さん
    日本人としては相当物事を斜めに見る方だと自負する私ですが、アメリカで暮らしていると「うーん、ここまで疑わないといけないのか」と感心することがしばしばあります。はい。
    shiroさん
    王族を語った人、これはもう誇大妄想ですね。IRSに真剣にファイルするんだから・・・・。私が彼女の弁護士だったら、正気ではないこと、正気でないことが事件前も明らかだったのにきちんとした措置を取らなかった行政側が悪いこと、などを理由に弁護するでしょうねぇ。。。。
    座長さん
    コンピュータじゃなくてコンピュータに間違った指示を出す人間が悪い、のはHALの時代からですね。
    ちなみに、こんなニュースが
    http://news.com.com/2100-1008-5205574.html
    Appleの特許をMicrosoftが取得。。。。といっても、ホンモノのりんごの木の特許が間違ってMicrosoftに授与されてしまったという話。通常MSが使っている法律事務所からりんごの木のほうの申請もあったので間違ってしまったということのようですが、気がつけよ特許庁、ですね。

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  5. 私も2年間ですがアメリカの田舎で、何でも間でも自分で意思表示していかなければいけない生活で、戦うことを覚えました。日本での何でも誰かが面倒見てくれる状況では、自分のやりたことを見失い、世の中の流れに付いて行くだけの生活になりそうです。
    おかげで日本の会社には合わなくなりました。

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  6. maida01さん
    日本にいても、一般的なキャリアを踏み外すとかなーり面倒な状況に遭遇することができますよ。お金が借りられないのは当たり前としても、公共サービスでも、申請しようにも書類そのものが無いとか、前例がないから相談してからとか、いろんな理由で断られます。
    どこに住んでいても、しつこく攻めないとなかなかYESはもらえないものですね。;-)

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  7. 久しぶりの書き込みです。
    イスラエルで戦っていた訴訟(正確にはArbitration)
    で、一応の勝訴となりホッとしています。しばらくは
    日本にいられそうです。
    訴訟なので謝ったら非を認めることになるので、禁句
    でしたが、謝罪の癖が骨の髄まで染み付いていること
    を自分の体で実感してしまいました。(笑)
    日本のイスラエル大使館でECONOMIC MINISTERと話を
    したときに、「受動的な」被害者より、「主体的な」
    加害者のほうが正しいと考えていると感じましたよ。
    ところで、6月16日のセミナーに申し込みさせていた
    だきました。講演を楽しみにしています。
    そうだ。死海の塩石鹸でも持参しましょうね。笑

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  8. 16日宜しくお願いします。死海の塩石鹸・・・スバラシイ!!
    しかし、イスラエルで訴訟に勝つとはすごいですね。私はユダヤ人、インド人、中国人とだけはその手の揉め事に巻き込まれたくないです。勝てそうもないので。。。。
    ***
    実はわたしも結構ウカウカと謝ってしまうことが多いのですが、これって実は謝るほうがずるいこともあるなぁと思います。
    つまり謝っちゃうと「どうだ、謝っただろう、このあと許すかどうかはお前の責任だ」と、ボールが相手がわに移ることが。
    あと、ちょっと面倒くさい事態を引き起こした際に、「とりあえず皆さんに謝罪したい」とかすぐ言う人いますが、謝らんでいいから、その間になんとか事態を復旧させる手段を講じてくれ、と思うことも・・・。厳しいかな。

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  9. chikaです。
    ひーこら、また捕まってしまったあるよ。スピード。ネズミ捕り中のおまわりさんに。一般道をすーっと走って、スターバックスに行くので駐車場に止めたら、後ろにパトカーが来てました。
    しかし、今回は、広い道だけど制限速度が低い道でのネズミ捕りだったせいか、やたらと感じの良い低姿勢のおまわりさんだった。(アメリカにはめったにいない)。自動車保険の証書がなかったのに「いいよいいよー」で終わったある。うーむ。
    で、おまわりいわく
    「違反から14ヶ月たってればトラフィックスクールに行けば点数はすぐ消えるよ!インターネットのスクールだったら簡単だよ。」
    ・・え、ちょっとまった、14ヶ月?18ヶ月じゃなかったんかい?と聞きなおすと、
    「No, no,,, 14ヶ月。違反から違反まで14ヶ月」
    と明快なお答え。しかし、違反の通知書が後日郵送できたのを見たら、やっぱり18ヶ月となってました。よくわらかん国だのう。

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  10. もしかして、本当にコンピュータが間違っていたわけではなくて、コンピュータが間違ってた事にしてくれたんじゃないですか?

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  11. へええ…。
    自分は近々アメリカに留学予定なので、覚悟しておこうと思います。日本人って神経質と言われる一方で、しっかり者という良さもあるなんだなあ、と感じました。
    良い記事をありがとうございます!

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