Web Fountain

IEEE Spectrum1月号Winner-Loser-Holy Grail。通信、電力、半導体、交通、コンピューティング、バイオエンジニアリング、の6分野で、2004年を予測して、「勝者」「敗者」「難しいんじゃないの(Holy Grail)」の3つを選んでいる。

(Holy Grailは「達成不可能に近い、非常に困難なゴール」という意味でよく使われる。イギリスのKing Arthur伝説に基づく。King Arthur伝説を全く知らない私には、なんのことやら、なのであるが、Holy Grailの一言だけ理解しておけば、困ることはない(ようだ)。Holy Grailは、キリストが、最後の晩餐で使った杯とのこと。)

コンピューティングの勝者は、IBMのWeb Fountain。去年の9月4日号のEconomistでもFountain of truth?として紹介されていたが、IBMが1億ドル以上の予算を投入、120人がかりで構築するウェブ発掘インフラ。シリコンバレーのはずれのAlmadenの研究所で開発されている。

Web Fountainはインターネット上のぐちゃぐちゃなデータの形式を整えて、さらに適当な単語の属性(XMLタグ)を付加して、より意味のあるサーチや分析ができるようにする、というもの。例えば、”Mount Fuji”という単語が出てきたら、「地理的言及」、「緯度XX」「経度XX」といったタグを足したりする。
(詳しくは、IBMのサイトへ)

ものすごく壮大なプロジェクトである。IBMのサーバ上のデータ量は160テラバイトととてつもなく超巨大。

なお、spectrumの紙媒体のほうの記事によれば、この過程を通じてIBMが発見したことは・・
■ウェブの30%はポルノ
■ウェブの30%は他の繰り返し
■一日に新たに変更されるのは5千万ページ
■ウェブの65%は英語

なんだそうだ。なるほど・・・。

さて、インターネット上の情報に、意味を付加しよう、というのはずっと言われてきたことで、90年代半ばからは、「XMLを使った意味付加」について喧々諤々の討論と、いろいろなトライ・エラーが行われてきたが、いつまでたってもたいしたことはできていない。

それなら、ということで、全世界のウェブサイト(当然形式はみんな滅茶苦茶)を巡回して、力技で整理整頓してしまおうというIBMの力技。もしかして、120人のサイエンティストの裏に10万人くらいインドで雇っていて、人力でタグ付けしてたりしたら笑えるのだが、そういうことでもないようだ。大企業しかできないことを、大企業的にしっかりとやった、という中々見上げたプロジェクト。自分の持ち味を生かして、きっちりとした仕事をしている人や会社を見ると心が洗われるが、Web Fountainはまさにそれ。

知り合いが、IBMで120人の一人としてプロジェクトに参画しているのだが、去年会ったときは、仕事は結構楽しいと、嬉しそうにしていた。ちなみに、Fortuneでは、Web Fountainのことを取り上げてHow Big Blue Is Turning Geeks Into Goldと去年特集していた。うーむ、私の知り合いはgeekしかいないんだろうか。。。。

高速ビデオCodec Sightspeed

Technology Review 12/1月号のOnline Meeting

高速ビデオ転送用Codecを開発したSightSpeedの話。一秒あたりのフレーム数が30と多いため、映画よりなめらか。(普通のビデオ会議システムは20フレーム以下)。しかも、遅延(latency)が11milisecondと一般の電話かそれより早いくらい、ということで、非常にスムーズなビデオ電話体験ができるそう。現在4万3千人がダウンロードしたそうです。

もちろん、何かの情報を捨て去らなければ速く送ることはできないはずで、SighSpeedは人間の脳の処理をまねて、「必要ない情報」を捨て去り、「必要な情報」だけを送ることで高速にしている。例えば、対象物が動いているときは、その動いているものの輪郭だけクリアに送り、その真ん中あたりはぼやーっといい加減に転送。すると脳が勝手に真ん中辺は類推して埋めるので、全部クリアなまま動いているように見える、と。

sightspeed.GIF

脳が映像・画像をどう処理しているかは、RamachandranのPhantoms In The Brainに詳しい。この本は前にも触れたことがあるけれど、いろいろな「えっと驚く脳神経障害の事例」が満載されていて、人間の「知覚・認識」の不思議さに圧倒される。

例えば、「ものを見る」というとき、脳はまず目から送られてきた情報を受け取り、一旦「特に重要な情報」だけを残して後は捨てるのだそうだ。例えば、「動いているもの」をみるときは、その輪郭が重要情報。で、それをさらに30種類の違う処理系に回す。「形」「色」「動き」「輪郭」「表面のテキスチャ」などを、バラバラに専業化された脳の部分が担当。で、最後にそれを総合して「見た」ということになる。

「どうせ脳が捨てる情報は最初から送らない」というSightSpeedの処理方法は、こうした人間の脳の処理方法を先回りしているわけで、結果としてまるでスムーズに見えることになるのであろう。

最近Panasonic SV-AS10という超小型カメラを買ってから、日常生活の中でぱちぱちと写真を撮ってみるのだが、それで驚かされるのが、
「私が見ている通りに、全然写らない」
ということ。写真が元々趣味の人には当たり前かも知れないが、
「あ、あの標識面白い」
とか思ってパシャリと撮ると、その面白いと思った標識はまるで米粒のように小さく、しかもぼやけていて、全然面白くない。
人間の目に比べて、カメラはダイナミックレンジが狭いので、明るいものと暗いものが同時に写らないということもあるし、望遠が効かないから、なんでものっぺり平たい背景の中に飲み込まれてしまう、ということもあるかもしれないが、どうもそういう簡単なことではないように思われる。

それで、よーく自分の目の動き、認識の動きを観察してみたのだが、どうも目と言うのは全体を見てるわけではなくて、個別の対象物を一つずつスキャンしているような気がする。目の前の全体画像を一つのものとして捕らえるのではなく、全体を構成する個別のものを一つ一つ、ぱっぱっぱっと見て、それを勝手に頭の中で全体像に合成している、という感じ。例えばいまだと、「パソコンの画面」「その中の文字」「キーボード」「自分の手」「机」「机の上の雑誌」「ペン」「ソファ」「ソファの上で寝てる猫」などが、構成要素。

例えば、猫は2メートルくらい先にいる。「猫を見よう」と思うと、猫は3倍ズームくらいにクリアになる。しかし、だからといって、目の前にある自分の手が3分の1に縮んでは見えない。全部がバランスをとったまま、なぜか興味の対象だけが望遠で見たかのようにくっきり、という写真では中々実現できない状態になる。

不思議だねーと思ったのだが、SightSpeedはこういう脳の「選択的情報処理機能」を有効活用してるわけですね。

ちなみに、Phantoms In The Brainには、脳溢血などで、30の視覚構成要素のうち一部だけが破壊された人の、変わった症例がいろいろ出ている。例えば、「動き」を認知する部分がやられた人は、全てが「ぱらぱら漫画」みたいにしか見えない、という困った状態に。道路を渡ろうとすると、やってくる車は見えるのだが、それがどのくらいのスピードかわからないのでとても怖い、とか。

あと、「空想の視覚イメージ」を「真実の視覚イメージ」と混乱してしまう症例も出てくる。人間は、いろいろなことを「視覚イメージ」として思い出す。しかし、通常は、外部からの視覚刺激が「現実」だとわかっているので、思い出の方は「単なる空想」と一瞬で理解される。しかし、盲目になると、外部刺激による「修正」が入らないので、思い出映像を真実と思ってしまって混乱することに。特に、部分的に盲目になると、残りは正常視覚のまま、盲目部分にだけ幻覚が跋扈する、という奇怪な状態になることもあるらしい。

登場するある患者は、交通事故で脳に激しい損傷を受け、2週間昏睡状態となる。目が覚めると、ベッドの脇には医師や看護婦に交じって、フットボール選手やハワイアンダンサーが、わらわらとたくさん立っているのが見えて激しく混乱。(後者二種類の人たちはもちろん幻覚)その後だんだん意識が明確になると、視野の下側だけ盲目で、そこだけに幻覚が出るという状態に落ち着く。本の作者のRamachandranと話しているときも、
「先生の膝の上にはサルが座ってます」
と報告。もちろんサルは幻覚です。

この人の症例に習えば、「脳のどこかを刺激するだけで、実はそこにはいないものもくっきり見える」ということにもなるわけで、それが実現できたら、それはテレビ会議どころか、映画Matrixの世界。ちなみに、Phantoms in The Brain、日本語訳脳のなかの幽霊もあります。

Nanotech gets real

最近、ナノテク(を標榜する)Nano-Texの話が何度かあちこちで出た。

Silicon Valley Biz InkのNifty Nanotech(12月12日)

San Jose MercuryのNanotechnology gets real(12月15日)

1998年に創業、ナノレベルの細い「ひげ」を繊維にくっつけることで、液体をはじくNano-Careを販売中。しみにならない洋服、などに使われ始めており、Levi’s系のDockersとかGapなどがクライアント。1ヤード当たり25セントから1ドルとのことで、ズボン1着分で1-2ドル、というのがこの会社の取り分。

確かに堅実なナノテクではあるのだが、でも、これをナノテクと言ってしまったら、なんでもナノテク・・・(私だってナノテク、という話を以前書きました)。IBMのAlmaden研究所のdirector、Robert Morrisも
“It’s really just better chemistry,”
といっているとSan Jose Mercuryの記事には書いてある。化学反応はどれも原子・分子レベルなワケで、これをナノテクといってしまったら、何でもナノテクじゃないか、となる。とはいうものの、まぁ広義でナノテクと言い切って、分野が盛り上がれば、それも世のため人のためでもある。

ちょっと面白いのが、Nano-texのこれまでの起業の歴史。1998年にLevi’sを説得して資金を獲得して起業、その後Levi’sの興味が薄れてしまい、Burlingtonから500万ドルの投資を仰ぐ。(あの「バーリントン」ですね)しかし…

Burlington filed for bankruptcy protection in November 2001. Industrial conglomerate W.L. Ross & Co. purchased Burlington.

そのBurlingtonも倒産、Nano-texはBurlingtonとともに、巨大ファンドW.L.Rossの手に渡る。

このW.L. Rossファンドについて詳しく書かれているのがBusiness Week12月22日号のIs Wilbur Ross Crazy? 。価値が落ち込んだ業界のみターゲットに、「底値買い」をするのが特徴のファンドで、高収益。例えばアメリカの製鉄業、Burlingtonのような繊維業といった「誰も見向きもしない資産を買い叩く」ので有名。日本の銀行などもターゲットとしている。

というわけで、Levi’s -> Burlington -> W.L. Rossと、七転び八起きで走り続けるNano-Texでした。

ばい菌回路

IEEE(アイ・トリプル・イー。世界に38万人の会員のいる電子・電気工学協会)の会報、Spectrum11月号のGerms that Build Circuit (IEEE会員オンリー・・・だと思います。申し訳ありません。)

「ばい菌で半導体回路を作る」という研究についての記事。半導体は、ムーアの法則にしたがってどんどん小さくて高性能になっているけれど、そのうちに、いくらなんでも今の製造方法ではミニチュア化の限界がくるということで、次はナノテクやバイオを応用しようという動きが進んである。
「DNAをいじって、自動的に回路が生えて来るようにしよう」
とか。植物園じゃないんだから、、、という感じだが、真剣です。

この手の話を聞くと、いつも不思議に思ったのが
「原料の生物が死んじゃった後の回路はどうなるんだろうか」
ということ。しかしこの記事を読んで納得。生きてるまま回路として使うわけじゃないんですね。。。あたりまえか。

とがったロケットのような形のウィルスを基盤にくっつけて、その後半導体結晶でコーティング、一気に熱して中身のウィルスが死んだ後は、外側のコーティングだけ残って、極細の回路ができる、というしかけ。

原理はこんな感じである。

Here’s how it works: first, a solution of bacteriophage is poured onto a piece of crystalline semiconductor. Then the chip is rinsed. Most of the viruses are washed away, but a few stick. This sticky subset is removed from the chip, allowed to multiply (by infecting bacteria with them), poured back onto the chip, and then subjected to a more stringent (that is, more acidic or more basic) wash. After several cycles in which the wash becomes stronger and stronger, the viruses sticking to the wafer are those whose peptide coats have a tight fit to the semiconductor crystal.

Belcher and her students have since shown that engineered viruses not only stick to semiconductors but can also be made to form nanometer-scale semiconductor crystals themselves. When mixed with precursor chemicals containing a semiconductor’s elemental ingredients, the virus’s engineered peptides act as a template, hustling atoms into the same crystal structure to which the peptides were engineered to bind. The result is an organic/inorganic hybrid: viral particles, 7 nm wide and 850 nm long, sporting 2- to 3-nm semiconductor crystals wherever the engineered peptide is found.

1)GaAs(ガリ砒素)やInP(インジウム燐)など、半導体に使われる特定の素材にくっつきやすいウィルスを遺伝子操作で作る。

方法は意外に原始的で、ウィルスをくっつけたい素材の上に載せて、ざっと洗い流す。素材の上に残ったウィルスを集めて、増殖させる。で、また同じ素材の上に載せて、洗い流す。これを何度か繰り返すと、その素材に強力にくっつくウィルスに「進化」する。

(この進化過程の音楽付きアニメーションがここで見られます。下は出だしの画面をキャプチャしたもの。このアニメーション、いきなりファンキーな音楽で始まりますのでご注意。)
phage.JPG

2)ウィルスはまた、自ら半導体素材を作り出すように「進化」することも。周囲に原料となる元素を撒くと、それを集めてきて、ちゃんとGaAsやらInPやらの鎧を作り上げる。

***

攻殻機動隊もびっくり、であります。ウィルスが半導体に進化できるのだったら、人間だって、地球にガリウムとか砒素とかがあふれていたら、みんなガリウム砒素で覆われた体に進化してたかもしれないわけで。環境の成分次第では、誰でもそのままマジンガーZだったり。

また、「回路用の生物がどんどん進化して、人類の敵になったら」という、SF的心配もないではないが、この際それはそれで見ものである。ガリウムアーセナイド対インジウムフォスファイドの戦い、という具合に、敵同士をぶつけることもできるかもしれないし、、というのはゴジラ対モスラの発想か。

ちなみに、この研究をしているAngela Belcherは大学では分子生物学を専攻、Ph.D.は物性化学、ポスドクは電気工学という「歩く三位一体」みたいな人である。IEEE Spectrumの同じ号には、BioEE:The Next Job Frontierと題して、「Belcherのように、バイオもわかる電気電子工学エンジニアが今後は求められる」という記事も載っていた。彼女のような人材は、少なくともしばらくの間、インドや中国にアウトソースされることはないであろう。

まだ学生の皆さん、がんばってください。

David Bowie証券化

前に村山さんがblogでDavid Bowieが自分のロイヤリティ収入を証券化した話をかいていたけれど、Economistにその顛末が載っていたので。

Star-struck:Share in your idols’ success

In 1997 bankers issued bonds backed by future sales of music by David Bowie, a British singer. In exchange for the temporary music rights to 25 of his albums, Mr Bowie received $55m. Investors got an 8% yield on bonds rated at investment grade.

60億円くらい集めて、投資家には年利8%の利回りということで、結構まとも。でも今は、最近のCD売上げの全般の落ち込みのせいでDavid Bowieの売り上げも落ちているので、Moody’sがBowieボンドの格下げを検討中とのこと。

記事の締めくくりは、「アーティスト一人とか作品ごとというのはリスクが大きすぎるので、たくさんまとめてポートフォリオにしたら証券化できるかも」ということでした。はい。

では。

LinkedIn2

昨日のエントリーLinkedInの話をしたが、偶然にも今日のSan Jose Mercury Newsのビジネス欄一面はLinkedInのパテントの話。Social networking a tech battleground

「知り合いの知り合いは知り合い」という「知り合いネットワーク」をシステムで管理・推進しよう、というウェットなんだかドライなんだかよくわからないsocial networkingが最近バブル的話題を呼んでいる。その最初の先駆者Six Degreesは早々につぶれてしまったのだが、ここが持っていたキーパテントが競売にかかったところで、Yahooを含む20社がビッド、LinkedInと、同業他社のTribeがコストを折半して70万ドルで落札した、というのが記事の内容。

問題のパテントはNo.6175831、ということで、US Patent and Trademark Officeのデータベースをちらっと検索するとこんな内容

概要はこんな感じ。

A networking database containing a plurality of records for different individuals in which individuals are connected to one another in the database by defined relationships. Each individual has the opportunity to define the relationship which may be confirmed or denied. E-mail messaging and interactive communication between individuals and a database service provider provide a method of constructing the database. The method includes having a registered individual identify further individuals and define therewith a relationship. The further individuals then, in turn, establish their own defined relationships with still other individuals. The defined relationships are mutually defined.

これでは、殆どのsocial networkingサービスが含まれてしまいます。

ということで、冒頭の記事には、LinkedInの競合のVisible PathのCEOのコメントが載っていて
「If the patent is enforced, Hoffman and ally Mark Pincus are going to be richer than Bill Gates in a couple of years」
HoffmanはLinkedInのCEO, Mark PincusはTribeのCEO。このパテントが適用されれば、どちらも数年でBill Gatesより金持ちになるぞ、と。

ちょっと待て、どうどう。Bill Gatesだって、ここまで金持ちになるのに何十年もかかったわけで。まだビジネスモデルも確立していないsocial networkingで、数年のうちにBill Gatesを越す、とはこれはまた大げさな表現。でも、この大風呂敷発言からは、「業界がバブルしてる」感じが伝わってくるかと。

ネットワーク:LinkedIn

ダンナからメールが来た。

タイトル:Add me as your connection?
本文:I found you while I was searching my network at LinkedIn. Let’s connect directly, so we can help each other with referrals. If we connect, both of our networks will grow.
-hahaha

LinkedInとはネットワーキングをサポートするサービスで、昔風に言うとASP。自分のプロファイルを入れ、メールで「Let’s connect directly」と誰かを誘う。その人がOKすると、私とその人は直接つながる。知り合いの知り合いに連絡したいときは、直接の知り合いに「紹介して」と頼む。OKだと、目的の人にメールできる、という仕組みになっている。ダンナのメールは「直接コネクトしましょう」というメールの標準テンプレートである。

「そうか、うちの夫婦はdirectly connectedではないのか、うーむ」

とダンナからの直接コネクションの招待を受諾した。その後LinkedInを見てみると、ダンナの会社のCEOのNandが「ダンナ経由」、「私から3ホップ先」にいる、と表示された。すなわち、ダンナとNandはdirectly connectedでないことになる。これもまずいかも、と笑いながらNandに「let’s directly connect」という招待メールを出したところ、返事が来た。いわく、

If you like, I(=Nand) will be happy to make an introduction between the two of you (私とダンナ) so you can get linked-up!

ははは。というわけで、今LinkedInは私の周りでは遊び、です。遊び。

私は実は「power of cold call」をかなり信じている。cold callは「いきなり訪問」ということで無紹介で相手に突撃すること。相手にとって意味のある提案であれば、cold callでも何とかなるものだ。

とはいうものの、誰でも紹介なしで人に連絡を取ろうとするのは嫌なもの。だから、一生懸命コネを探す。私だって、簡単に探せそうなコネはもちろん探すし、なるべく人的ネットワークを広げよう、とは努力する。が、「network is overrated=実は世の中で思われているほどコネには意味がない」と思っており、むしろ「意味のある提案を作る」方に力を入れている。

一方で、「知り合いの知り合いの知り合いもみーんな知り合いにして、大勢でわいわいやろう」というのは、疲れそうで怖い。

というわけで、最近、LinkedInのようなネットワークサポート系のサービスが「social network」などといわれてとても盛んだが、個人的にはイマイチ乗り気でない・・・というか胡散臭いと思っている。

が、しかし。私のモットーの一つは
「ベンツに乗らずしてベンツの悪口を言うことなかれ」。
「世で一番」の誉れ高いものを嫌いな場合、その底には嫉妬があることも。だから、たとえ心の奥でヘッと思ってもうかつに悪口を言うのは見苦しい、と。

で、私はベンツを持ったことがないので、なるべくベンツの悪口を言わないことにしている。それ以外でも、例えば各種ブランドバッグにせよ、なるべく
「ぼろくそに言うのは、一旦持ってから」
というのを心がけている。しかし、あまりブランド品を持たないので、ぼろくそに言う対象が限られるのがカナシイところ。時々庭に穴を掘ってぼろくそに叫んでみるのだが、そこから生えた草が育って、風が吹くたびぼろくそなせりふをサワサワとささやいて、、、、というのは「王様の耳はロバの耳」ですね。一方、一旦私が持ったブランド品は、一生ぼろくそに言われる定めとなる。

もとい、胡散臭いsocial networkであるが、世で騒がれている以上、ぼろくそ言うのは使ってからだ。というわけで、しばらくせっせと使うことにする。使ってみて本当にパワフルだったら改宗する。思ったとおり胡散臭かったら罵倒する。

しばらくの間”Add me as your connection?”というメールが私からきたら笑ってください。

Shopping Buddy

東部のスーパーマーケットチェーンが、ショッピングリスト記憶機能や自動会計システム内蔵のハイテクショッピングカートの利用を開始した、という話がGroceries Test High-Tech Shopping。(ラジオ番組。ストリーミングで放送内容が聞ける)

その名もShopping Buddy。商品の価格がその場でチェックできる、合計金額がリアルタイムでわかるなどいろいろな機能がついていて、有人キャッシャーを通らずに自動清算で買い物終了。

買い物客のほうは「わかりやすい」「合計額が買い物の途中でわかるので、予算管理が簡単」などなど喜びの声で一杯だ。しかし、スーパーの従業員組合側は、大規模な人材削減につながると懸念している。懸念しているが、方向性として、こうした人員削減がバサバサと進んでいく方向にあることは間違いない。RFIDによる自動サプライチェーンマネジメントしかり、CRMも、ERPも、KMも、ありとあらゆる3文字・2文字系システムは人員削減のためにあるといっても過言ではない。「システム投資のROI(return on investment)」とよく語られるが、これは「あるシステムを導入して、何人首にして人件費を浮かせられるか」ということの婉曲表現。

つまり、人が切れないのだったら、戦略的にシステム導入する意味は殆どないということになる。

Survey of Americaのエントリーで
「アメリカは強力だから変わっているのではなくて、変わっているから強力なのだ。そして、他の国との相違点こそが、アメリカを豊かで強力にしている。だから、アメリカ政府が国を豊かで強力にしようとすると、その本質的差異がより助長されることになる。」
と書いたが、
「戦略的にシステム導入して人を切って経営を効率化する」
という、当たり前だが、普通の国ではしがらみがあって中々進められないことを、淡々と教科書通りに進めてしまうのがアメリカの変わったところである。もちろん、アメリカの組合には非常に強力なものが多いので、そこはネックにはなるが、中長期には教科書的合理化が進むだろう、というのが過去の事例から類推される将来であります。

Microsoftが音楽ダウンロード販売に進出

あーやれやれ。。
Microsoftが入ってきたら市場がvalidateされたも同然、という意味ではヨイことかもしれないが、ついにMicrosoftも音楽のダウンロード販売を2003年開始予定と。Wall Street JournalのMicrosoft Plans To Sell Music Over the Web

Open Sourceさんたち、早くがんばって怪物Microsoftを退治してくれ、という感じだが・・・。面白いのは、なぜこれがわかったか、というところで、いわく「MSのサイトに、音楽ダウンロード販売の担当者募集、とあったから」と。

Microsoft is in the process of hiring key personnel for its music site. A job listing posted on the Microsoft corporate Web site last week advertised an opening for a senior-level marketing position for the service. “The first duty of this candidate will be to finalize the business plan for the Microsoft Music Download Service,” the job listing says in part.

採用でビジネスがわかるのはMicrosoftに限らない。「何をやるか」以上に「誰がやるか」が大事。「とりあえず、最近仕事が少ないA部門とB部門から暇なヤツをかき集めて始めよう」みたいな、いい加減なことはしないのである。

ちなみに、AppleのiTuneサービスの立役者は沖縄生まれのJames比嘉さんという。Appleのごく初期のemployeeだが、その後Appleを辞め、一時期日本でReal Networksの社長をしてたから、知ってる人も多いか。その後またSteve Jobsに呼ばれてAppleに戻った。「JamesはJobsのright ear」という人もいるとか。つまりJamesから聞いたことをJobsは信用する、ということ。今はSteve Jobsと同じフロアにいるのだが、そのフロアはやたらと寒い。Jobsが暑がりだからなんだそうだ。

この間Jamesに会ったら、iTuneの関係で、いろいろなアーティストに会ったと言っていた。U2のBonoとも会ったそうだが、Bonoは政治・経済から芸術まで幅広く深い知識を持ってて、かつ謙虚なんだそうだ。うーむ、私など、会ったら自分が恥ずかしくなりそうだな。