日本で磯崎さんに、「日本だと、弁護士や会計士がベンチャーの仕事をするときは、手弁当で手伝ってあげちゃう、というケースが多いんですが、シリコンバレーではどうです?」と聞かれたのですが答えは:
「どーんと正規料金払ってます」
■ 個人からの少額投資の弁護士費用
(1)family and friends
まず最初が〜数百万円位を友達や家族から集めるfriends & family round。これは普通株でただストレートに買っちゃう、というケースが多いのでは。ただし、その場合も、前回書いたような事情から、できればあれこれ正式な書類はあった方がいいが、適当にやってあとから修正することも可能。(投資家が本当に気心の知れた人ばっかりだったら。)この場合は数千ドル、数十万円の割としたの方でできると思いまする。
(2)angel
そして、見知らぬ個人(できればaccreditedなお金持ち)であるところのangelからお金を集めるangel round。この場合は、convertible debt(転換社債)を使うケースが多い。将来ベンチャーキャピタルから増資する場合は「preferred stock(優先株)」を使うことになるが、優先株を使うとなるとコストが高くなるので、「将来VCから増資できたときに、その株に変換します」という転換社債を使うのでした。
この場合も数千ドルでOKなことが多い。(転換社債エラい。)投資家側は弁護士を使わないことも多いし、使う場合でも「自分の弁護士費用は自分で払う」となる場合が多い。
(1)と(2)は必ず両方やるものではない。(1)はとばして(2)という人もいっぱいいるです。”accredited investor”じゃない個人投資家はなるべくやめておいたほうがいいし、特に最近は、投資したがっているお金持ちangelがたくさんいて、この辺のステージの会社のバリュエーションがつりあがっている状態なので。(もちろん(1)をして(2)をやらない、もありです。(1)も(2)もとばすこともある。)
■ ベンチャーキャピタル投資の弁護士費用
ベンチャーキャピタルが登場するような投資となると、弁護士費用は全て会社持ち、となる。「ベンチャーキャピタル側が使った弁護士代」も会社持ち。自分の会社の弁護士費用は自分が持つのは当然として、自分の会社の反対の立場で抗弁してくる弁護士の費用も自分持ちとなるわけです。えぐいですねぇ。
しかしネゴらないわけにも行かない。というわけで、かかる費用は「これ以上ないくらいシンプルでストレートフォワードなシリーズA投資」でも3万ドルくらいにアップする。
一応、通常は、ベンチャーキャピタル側の弁護士のフィーのうち、会社側が払う額には上限を設けられるのではあるが、交渉が長引いた場合、自分側の弁護士費用はもちろん全部自分持ち。
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シリコンバレーでは、ベンチャーにフォーカスした複数の法律事務所が、数十人、数百人の弁護士を抱え、きらびやかなオフィスを構えてます。日本のベンチャー界から来た人は面食らうと思いますが、それはつまり、こうしてベンチャーキャピタル増資の数%が弁護士代に流れていくからなのでした。
参考:
Ask
the VC: How much should I pay lawyers to complete my financing?
将来Series A以上にがんがんいけそうな
有望early stageスタートアップだと思って
もらえた場合、deffered payments(日本語で言うと、
つけ?)にしてもらえることもあります。
青田買いみたいなものですかね。
つけが利く上限額を決めておいて($30,000とか)、
その請求は$1 million以上トータルでfund raising
したら、とか。もちろん、Series Aはお願いする
という条件で。
(万が一そこまで行かなかったら、ちゃらですね。)
Fund raising以外にもいろいろ弁護士が必要に
なる案件は多いので、そういうのいちいち
払っていたら、ようやくゲットしたAngel資金から
legal costが一番かかったなんてことになりかねない
ので、助かります。
(高いっす、弁護士さん。。。泣)
こういうアーリーステージ向けのプライシング
がどんなprofessional serviceでもあるのが、
シリコンバレーの底力という気がします。
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