現代アメリカ版 執事&メイド

GoogleがYoutubeを16.5億ドルで買収する。2000億円弱。創業2年、ベンチャーキャピタルのSequoiaから去年の11月と今年の3月の二度に分けて1150万ドル投資を受けているだけ。20代後半のファウンダーは、二人あわせて少なくとも40%、多ければ60%くらい持っていると推定される。お一人様400億円なり。

さて、この手のお金持ちの家をマネージする、現代の「召使」の記事が、先週のNew York Timesに載っていた。Couples who run the house for others(有料ですが・・・。)メイド・執事、の召使、です。カップルでまとめてお仕えする、というパターン。

求められるスキルは、料理、掃除、ガーデニング、運転、車のメンテナンスなど、昔からのものに加え、こんな新たなものがあるそうです。
- セキュリティシステムや、ちょっとした映画館並のホームシアターなど、高級な家電・設備の知識
- 在庫管理や予算作成のためのエクセル知識
- 労務管理、納税知識

もちろん、サービス精神旺盛でないとダメ。

さらに、リッチなご主人様の会話理解スキルもいる。crystalとCristalの違いを知っている、とか。前者はグラス(を主とするガラス製品ですな)、後者はシャンパン。メイド服、執事服が似合うだけじゃダメなのだ。当たり前だが。

こういうカップルはなかなか得がたい存在。執事やメイドの派遣会社なるものもあるが、スキルが高くて性格良好なカップルを探すのは大変だそうである。Professional Domestic Services and Instituteなる派遣会社では、「召使学校」もやっている。期間約2ヶ月、学費4000-6000ドルなり。豪華な家計の管理など、いろいろ教えてくれるそうです。

巨大な邸宅で頻繁にディナーパーティーやその他大イベントを開催をする、というような家庭の場合、もちろん二人では運営しきれないので、大勢のスタッフを抱えることになる。いろいろな職種があるが、personal chefというのもある。これは、その名のとおり、料理専門。Personal Chef Associationという業界団体いわく、現在全米で1億ドル規模とのことです。(これはつまり、personal chefの給料の合計、ということざましょう)。数年前にメキシコに行ったとき、ベイエリアでpersonal chefをやっている、という人が隣に座ったことがあった。顔が魚のカスリハタに似てたのでよく覚えてます。

ま、しかし、ベイエリアは、社交界っていっても大したこと無いし、そもそもオタク系金持ちが多いので、「来る日も来る日もパーティー」みたいな人は限られる。が、まぁハウスキーパー用の家が敷地内に別棟である、というくらいの家はありがち。そういえば、そういう別棟が敷地内に2つある、というお宅に招いていただいたこともありました。

そういえば、10年位前にパリにあるコルドンブルーなる料理学校にウラウラと行ったことがあったのだが、そのときのクラスメートに、「金持ちのヨットをカップルで管理・運営している」という、フィンランド人の女の子がいた。語学学校で富を築いたスウェーデン人がヨットのオーナー。彼女のパートナー氏が船長、彼女はコックなのだった。普段は「召使」は二人だけ。雇用主が人を大勢招いてヨットでバカンス、といったときは、臨時スタッフを雇うとのこと。ただし、雇用主がヨットにやってくるのは年間にほんの数週間で、それ以外は、
「カンヌまで来い」
「ケイマンまで動かして」
といったグローバルなヨット移動と、メンテナンスが仕事。
「彼氏と二人きりで一年のほとんどを海の上で過ごすのって、結構しんどいこともある」
とのことでした。それはそうでしょう。ちなみに彼女は、スウェーデン語、フィンランド語、英語、フランス語が堪能で、もともとは看護婦で今シェフ、というオールマイティーな人。ヨットの召使としては、非常に望ましいスキルですなぁ。コルドンブルーも、半分休暇、半分仕事ということで、雇用主が出してくれたそうである。

さて、今後、貧富の差が広がっていく中、ハイスキルな「召使」は、

「かなりの収入を得られる上、雇用主を選べる程度の市場がある」

というよい仕事となっていくのではないでしょうか。New York Timesいわく、アメリカ版カップル召使の収入は、二人合わせて5-10万ドル、時にはそれ以上。これ以外に、住宅、健康保険、自動車が付くことが多いそうです。食費もあんまりかからなそう。とはいうものの、二人で5万ドルは安過ぎる気がするが、「殆どいないご主人様の留守宅管理人」なんいう場合もあるそうなので、それだったらあまりスキルもいらないし、仕事も楽そうだし、こんなもんでしょうか。

なお、「召使業も面白そうかも」ということで、古きよき前時代の執事のあり方から勉強したいという殊勝な方は、映画、The Remains of the Dayなどご覧になってはいかが。頑迷なまでに仕事一筋な古きよき執事が見られる。(原作もあるが映画の方が風景や邸宅の様子が見える分よかった。本はちょっと私的には退屈であった。)もうちっと舞台裏風に、召使の生活と人生が垣間見られるのはGosford Park。なかなか良い映画だったぞよ。カメラワークが結構凝ってました。

現代アメリカ版 執事&メイド」への4件のフィードバック

  1. ここ数ヶ月で実は召使いという職種が世界中にいることを痛感しています。
    アジアのメードさん数千人、レバノンから脱出できず
    http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe4800/news/20060804i204.htm
    元記事(CNN)がきえたようですが、
    ・比アロヨ大統領、命助ける「スーパーメイド」育成に意欲
    なんて話もありました。
    これからは、召使業もITエンジニアのように専門分野特化型になっていくのかも。

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  2. このエントリを読み、真っ先に「有名女子大の家政学部卒・フィニッシングスクール修了・元スッチー・保母資格あり・3ヶ国語堪能」の知人が思い浮かびました。彼女のような人のレジュメは、ハイソ召使ジョブマーケットで光りそうだな、と。 ただし、その彼女は、ハイソな召使ではなく、ハイソなヨメではありますが。。。。

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  3. 上海で売れまくっている超高級マンションは、ほとんどが投機目的に買われていて、住んでいるのは管理のためのメイドさんたちだそうです。
    お掃除大好きな人には非常にラクチンなお仕事だろうな~。

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  4. chikaです。
    >実は召使いという職種が世界中にいる
    10年以上前の話ですが、香港の週末、公園に集まるフィリピン人お手伝いさんたちは壮観でした。見渡す限り。1000人くらいはいたんじゃないかなぁ?もっとかも。
    >「有名女子大の家政学部卒・フィニッシングスクール修了・元スッチー・保母資格あり・3ヶ国語堪能」の知人
    うーむ、これはハイソ過ぎませぬか・・。でもあるかも。
    >お掃除大好きな人には非常にラクチン
    オーナーが帰ってくる前の日だけでいいんですよね?ラクチンだ~

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