先週、スタンフォードのビジネススクールの寄付金集め担当の人に会った。「日本人卒業生からの寄付をどうやって増やすか」についてのブレーンストーミング、ということで。それで知ったのだが、アメリカの大学はどこも卒業生の「値踏み」をしているのである。
「この卒業生は生涯総額いくらの寄付をくれる可能性があるか」
ということを、見積もっているのだ。
どの大学にも専門のチームがいて、世の公開情報を常に分析、どの卒業生がどれくらい公開企業の株を持っているか、どこかの会社で重要な地位についていないか、などを調査し、それに基づき「卒業生の(大学から見た)生涯価値」を決めているのだそうだ。
「生涯価値」が高い人には特別な寄付のお願いが行くことになる。「学長とのランチ会にご招待」とか。
で、「これまでの寄付金額」「過去3年間の寄付金額」などと「生涯価値」が一覧で出るようなデータベースがあって、「ふーむ、このあたりを攻めよう」などと戦略を練っているのである。
スタンフォードのビジネススクールでは、この分析結果に基づき、今は原点に戻って「みんなから広く少しずつ集めよう」という戦略になった模様。たとえ小額ずつでもみんなが寄付してくれれば総額はそれなりのものが期待できるのに加え、毎年寄付をする癖がついていれば、大儲かりした年には「今年はどんと寄付するか」といった決断も下しやすい、ということのよう。
同校では、生徒の払う学費はかかる費用の半分しかカバーしておらず残りは寄付でまかなわれている。2004年の学費が3万8千ドル、約400万円だから、生徒一人当たり毎年800万円かかっているのである。
ちなみに、日本の大学ではどれくらい使っているのだろう。。。Googleで調べたところ、こんなページが。国立では東大が一番高くて、一人当たり消費支出が500万円強、国庫補助費が370万円とのこと。(前者がかかる費用全部、後者はそのうち国が出している分、と思われるのですが、ご存知の方がいたら教えてください)私学では慶応が一番高くて、人件費・教育研究費計学生一人当たり190万円とのこと。
ふーむ。スタンフォードのビジネススクールと東大で、経費が6割しか違わない、というのはなんとなく違和感あるなぁ。ビジネススクールで驚いたのが「教育に金がかかっている!」ということだったので。設備より、人材とか教材。人材では、クルーグマンがひょこひょこサポート教員で登場したり、インテルのアンディ・グローブやノーベル賞受賞者が教員として立つ授業があったり。
いずれにせよ、「学費では費用がまかなえない」というのは、アメリカの大学はどこも同じで、ひたすら募金活動を行っている。イギリスでもオクスフォード大学が「創立1000年記念」という凄いセールスピッチで卒業生に寄付を迫っているという噂を聞いたが本当か・・・・。
・・・ちなみに、あまりこれまで大した寄付をしていない私としては、冒頭の「ブレーンストーミング」はちょっと冷や汗。会っている相手が私の値段も知っているかと思うと、なんとなく後ろめたく。「他人からの寄付を増やす算段の前に、自分が寄付しろ」という無言のプレッシャーを感じてしまったのは弱虫でしょうか。
なお、スタンフォードMBAの皆さん、今年度(8月締め)は「寄付率向上」(寄付額ではなく)が目標だそうですので、小額でも良いので寄付してください。私もします・・・・ので、よろしくおねがいします。。。
最近の大学は,それなりに情報公開が進んでおり,Web上で公開されている情報も色々あります.
早稲田大学の場合,55,000名ほどの学生を抱えており,消費支出合計が700億円前後ですので,学生1人当たり120~130万円ほどということになるでしょうか.
ただし,文系と理系では投じられている費用がまるで違いますし,同じことが学部と大学院でも言えますので,マスで計算してしまうと,学生の皆さんの実感と合わないかもしれません.
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私の大学が、その様なシステムを使っているかは、疑問ですが、未だに学生番号が付いた手紙がきます。卒業してもう10年以上なのに、その上引越し数知れず。どうやって、住所を、知るのか。 その上在学生までもが、電話をしてくる。その度に、私は、州政府に予算を上げるよう交渉しろとか、言ってるのですが。(私の大学は、州立です。)でもMBAを取った大学からは何の連絡なし。これは、私の生涯資産を少なく見積もっているのか、あるいは大学に予算が十分にあるのか(この大学は体育会系が物凄く強い)寂しくなる位に連絡がありません。大学といっても色々あるのですねえ、、、、
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早稲田大学ファイナンス研究科(MBA)の学費は2年間コースで346.6万円(年173.3万円)。
堺屋太一氏の漫談のような講義や野口悠紀雄氏、川本裕子氏の授業もあって楽しい面もあるのだが、施設とサービスが少々チープである。
日本橋の三井不動産のビル(日本橋コレド)に入居しているので、賃料もバカにならないとは思うが、もう少し、施設や設備にお金をかけて、それ相応のサービスを提供して欲しい。。まぁ、私達が1期生だから、様子を見い見いやっているのかもしれないが。。毒々しい赤の扉枠や、デコラティブな内装など要らないから、ロッカー(激小)や図書室などを充実して欲しいし、休講になったら連絡してくれるシステムなどが欲しい。。
スタンフォードの学生へのサービスはどんなものなのでしょうか?さぞかし素晴らしいものなのでしょうか?
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joji-san,
とすると文系・学部はすごいことになってしまいますね・・・・・。
em-san,
うちのダンナに、知らない大学の韓国人グループからの寄付依頼電話がやたらとかかってきたことがありました。その学校の韓国人卒業生、ということになってしまったらしい。ダンナの苗字は韓国人にはいない名前なんですが・・・・。卒業もしていない人に寄付を募る、という新手の攻撃だたのでしょうか。
あき-san,
あー、私が居た頃のスタンフォードのビジネススクールは、建物はぼろでした。最近は随分改装してますし、いろいろと新しいのが建っていますが。ただ、当時から教授たちが入っている棟はものすごくきれいでした。大学のチャペルで結婚する人たちの写真撮影にもよく使われています。
一番すごいなぁと思ったのはカリキュラム、というか先生たちの教えることにかける気合、かな。いかに面白く、エキサイティング、かつ中身のある授業をするか、ということに教授たちは力を注いでいました。初日に生徒の名前を全て暗記した上でやってくる先生もいたし。しかもラストネーム。その何に金がかかるのか、ということになるかもしれませんが、そういうことができる先生を集めてくるにはお金がかかりますね。あと、先生たちもアシスタントを使って、独自教材を開発したりしてたし。まぁ、これは日本のビジネススクールでもやっているようですが。
あと、学校そのものがビジネスとして運営されており、顧客満足向上はすなわち静と満足向上。ビジネスウィークのビジネススクールランキングでスタンフォードの順位ががくっと落ちた年があったのですが、その号のビジネスウィークが出た数日後に学生全体集会を開いて「ランキング向上のための改革案」を学長自ら発表、その翌週から実施されたのにはびっくり。こういうのも、学長が一人で適当にやるわけには行かないので、それなりにスタッフチームがいないとできませんね。この学長はその後ノーベル賞を取りましたが。
それ以外でも、就職担当とか、学校のオペレーション担当とか、入学セレクション(アドミッション)の担当とか、それぞれがマネジメントになっていて、それぞれ人材を集めてきてきちんと運営されてました。受かった人には、アドミッションのトップから直々に電話がかかってきました。日本でも国際電話。
うーん、なんかこう書いていくとあんまりたいしたことないように聞こえてしまうなぁ。。。「授業が面白い」というのは私は感動したんですけどね。
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ありがとう。千賀さん。
早稲田の秋学期入学生全員に千賀さんのメール内容を転送しました。
3月には皆で温泉に行きながら、大学院で改善して欲しいことなんかも話す予定なので参考にさせて頂きます。
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こんにちは。
とても興味あるトピックなのでコメントさせてください。昔も今も折りに触れて話題になるアメリカの同窓会の「しくみ」ですが、同窓会マネジメント→寄付金集めのしくみと置き換えるとアメリカでは相当本格的に実施されているなぁ、といつも感じます。
ワシントンDCにCASE(www.case.org :Council for Advancement and Support of Education)という団体があって、主に各大学のAlumni Office のプロフェッショナルが数百人規模で会員がいて、定期的にセミナー、ワークショップを開催、書籍・ニュースレターを発行することでそれぞれが有能なfund raserであったりalumni professionalとして向上していこうという業界団体です。
具体的なトピックとしては「オンラインコミュニティをいかに有効に使うか」「卒業して5年程度の若者を同窓会に取り込むにはどんなイベントをすればいいか」「どんな業界をターゲットにすればいいか」等などが以前にありました。
自分が卒業したアメリカの大学はリベラルアーツの大学だったのですが、全卒業生の寄付金参加率が65%、そして確かAlumni Officeなど関係する事務局スタッフとしては20人程度いる、という寄付金集めに一生懸命な学校でした。
日本の大学も法人化への移行していく中で、CASEのような団体から学ぶことが多いのでは、と常々思ってます。日本でそんな取り組み、あるのでしょうか。(ichi)
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へえ、半分学費で半分寄付ってことは、ビジネススクールにはEndowmentからの収益はまわってこないんですか?卒業生が平均的にリッチになることを期待して、独立で採算をとらせようとしてるんですかねえ。
数週間前に、昨年度のアメリカの大学のEndowment総額ランキングが新聞にのっていましたが、さすがのハーバードは2位以下を倍以上に引き離してぶっちぎりのトップでした。小さな国家なみのアセットでした。スタンフォードも5位以内には入ってましたよ。さすがです。
で、我がUCは一応10位以内には入っていて喜んだのもつかのま、冷静に考えるとUC分校全部合わせての金額なので、けっこうとほほだったのでした。まあ、その分州から補助が厚いんですが、シュワルツネッガーに大幅にバジェット・カットされて、なかなか苦しい今日この頃。大学経営は大変ですね。
日本の国立大学が民営化されたら、Endowmentもないのにどうやって世界のトップスクールと競争していくんでしょうね?
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ichi-san,
まず、寄付が大幅に免税になる、という仕組みが必要かもしれませんね。「そろそろ納税シーズン(というか期末)だから、寄付するか」みたいな寄付供給源がアメリカにはあるかと。
えり-san,
endowmentも寄付の一部ではありますし、ビジネススクールにはビジネススクールの独自のendowmentもあるはず。スタンフォードでは、ビジネススクールは大学からの援助は受けていない、といってたので、多分endowmentも含め大学からのサポートはないんじゃないかとは思いますが。ハーバードのendowment fundの運営者って、確か年収うん億円かうん十億円なんですよね。投資銀行のファンドマネージャに匹敵する報酬なんだとか。扱う額・大学にとっての重要性を考えれば当然といえば当然ですが。
日本の大学は民営化されてなくても競争は大変なのに、どうするんでしょうね。
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