ペットクローン・ビジネス

昨日はセミナーは平田さんが大画面に映って中々ハイテクな感じでした。参加された皆さんありがとうございました。

さて、「犬の死・人の死」でペットの犬の大往生の話を書いたが、その関連で「ペット・医療ビジネス」の話。

サンフランシスコからゴールデンゲートブリッジを渡った先にあるSausalitoのGenetic Savings & Cloneでは、ペットのクローンを作ってくれる。

  • まず、最初が遺伝子(または後日遺伝子が取りだせる細胞サンプル)の取り出し。ここで295ドルから1350ドル。
  • 取り出した遺伝子はPetBankで保存。ここで毎年100ドルか150ドル保存料。
  • いざ本当にクローンを作る際には、5万ドル。

San Francisco誌11月号に寄れば、今月最初の顧客6人に対してクローンが提供されるとのこと。もちろん、記憶はクローンされないので、

「飼っていた猫・犬にそっくりの子猫・子犬がやってくる」

ということになる。柴犬の遺伝子を保存している顧客も居るそう。「希少な純血種の柴犬を守りたい」というのも理由の一つとのこと。一方で、

「今度は前回よりもちゃんと育てられるんじゃないか」

と期待する顧客も居るそう。(同じ理由で人間の子供をクローンしたがる親もいるかも)

人間のクローンや肝細胞研究については、大きな論争が巻き起こっているが、ペットの世界では着々とビジネスになっているのでした。

バイオ系ペットビジネスといえば、「遺伝子改変・アレルギーフリーネコ」というのも発売される。「発売元」はLos AngelesのAllercaという会社。こちらの記事に寄れば

Allerca Inc. president Simon Brodie said by 2007 the company will use RNA interference to "silence" a gene in cats that produces the irritant, which is excreted through saliva and the skin.

ということで、人間にネコアレルギーを引き起こす物質を作り出す遺伝子を発現させない。お値段は3500ドル。(San Jose Mercuryの記事に寄れば、なぜか日本向けは10000ドル。並行輸入業者が出そうだ。)

「ネコは大好きだけど、アレルギーでこれまで飼えなかった」

という人がお客となる。2007年には最初のアレルギーフリー猫を「出荷」、将来年産20万匹予定。猫の種類はブリティッシュショートヘアだそうです。

以前ペットビジネスでも書いたとおり、アメリカでは

人間向けの医療行為は政府の許認可で規制されているが、ペット向けは緩いので、まず最先端の医療をペット向けで提供、そこからさらに人間に適用という流れも重要。獣医産業190億ドルは、アメリカの医療基礎研究の礎をなすNational Institutes of Health(国立衛生研究所)の総予算に匹敵し、この市場があることで、より一層医療研究・開発が進む

のであります。

さて、

「5万ドルでペットをクローンするか」

と考えると、ことと次第によってはするかも、という気がする。例えば、1万ドルの車でも別に生活に支障はないが6万ドルの車を買う人は大勢いる。ということは5万ドルは「贅沢費」。猫は平均15年も生きるから、それに5万ドルかけるのは、車にかけるより意味深いような。

ちなみに、セコイうちのダンナに

「うちの猫をクローンするとして、いくらまでだったら出す?」

ときいたところ「35ドル」と即答。それは、慈善団体から猫をもらってくるときの値段です。常に市場価格を考えている人ならではの返事でした。

ペットクローン・ビジネス」への9件のフィードバック

  1. 先日、絶滅しかかっているピレネーの熊が間違って射殺されてしまったが、直後なら何とか遺伝子を採取できたのではなかったかと思う。絶滅危惧種の保存にこの技術は使えないのかな。

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  2. Marmot-san,
    可能なのではないでしょうか。ジュラシックパークの映画みたいですが。
    しかも、結構安いと思いませんか?毎年ほんの100ドルで保管できてしまう。とは言うものの、種として繁殖するには、複数の固体のDNAが必要ですよねぇ。そのサンプル採取は結構難しいかもしれないですね。特に絶滅しかかっていると。
    t-san,
    了解です。そうじゃないかなぁと思ったんですよ。ウーム、どういう繋がりだろうか、と考えてしまいましたが。なお、trackbackいただける際は、できれば、エントリー内で当方の元エントリーへのリンクをしていただけるとわかりやすいのでは、と思います。。

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  3. 大学では、動物の遺伝子や受精についても研究していましたが、やはりこの技術をこういうことに使うのには違和感があります。
    同じ個体がいないからこそ、そのペット自身、そして彼らと一緒の時間が大事になるというのは、もう古い考えなのかなぁ。
    ペットに幸せかい? と訊く事ができれば、彼らをクローンにする人も格段に減りそうですね。実際には訊くまでもないことなのでしょうけれど…。
    この技術で幸せを感じる人がいる、というのは確かなようですが……。難しいですね。

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  4. コギーsan
    古くは無いと思います。さらに言えば、クローンがやってくるなんて気持ち悪い、と思う人もたくさんいると思いますし。
    それに、なんか、最初の実験では、全然違う柄の猫ができちゃったらしいです。同じ遺伝子でも、何が発現するかは異なる、ということみたいですが。

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  5. ページを見せていただきました、早速ですがペットの遺伝子の取り出しについてお伺いしたいのですが、どこで出来るのでしょうか?
    ちなみに私は日本の広島県というところに住んでおります。
    また、そのペットが亡くなっていても取り出すことは可能でしょうか?
    そして保存することも可能でしょうか?
    実は今最愛の猫(メス)が危篤状態で手の施しようのない状態です、しかし私は可能であればあの子にもう一度生きてほしい、人間の勝手で家飼いにし、虚勢手術も施してしまったのであの子は子供を作ることが出来ずあの子が亡くなればあの子がこの世に生きた痕跡が消えてしまいます。
    だからせめてあの子の遺伝子から出来たクローンであの子がこの世に生きた証である子孫を残すという事をさせてあげたいのです。
    これも人間のエゴなのかもしれません、そんなことをすることで喜んでくれるかはわかりませんが。遺体を埋めたり焼いたりされる前に情報がいただければ幸いです。
    どうかお願いいたします

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  6. chikaです。
    我が家も2年ほど前に猫が急死して悲しい思いをしました。
    猫の遺伝子、ですが、本文中に出てくる会社は、その後倒産してしまいました。顧客がほとんどいなかったそうです・・・。
    お力になれずすみません。

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  7. 答えていただきありがとうございます、私の最愛の猫も天国へ旅立ちました。
    その時その子の口の中の粘膜と爪、体毛をもらい、我が家の冷蔵庫と冷凍庫に保存してあります。
    クローンにするかどうかはあの子の気持ちを考えた上で決めたいと思います。
    保存方法はこんなものでよろしいでしょうか?情報をお持ちの方がおられたらぜひ教えていただきたいです。

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