AOLの涙

Economist10月28日号はIT特集。Spare me the detailsは、「ユーザが求めているのはシンプルさで、企業側が提供する盛りだくさんの機能(や超ハイテクなマシン)は、ユーザニーズからかけ離れている」という話。

ここまではあまり珍しくも無いが、出だしの話が笑える、というか泣ける。アメリカではいまだに大手のISPであるところのAOLで

「インターネットにつながらない」

とクレームしてくるユーザーの多くが、テレビやステレオにサインアップCDを突っ込もうとしている、というのである。なぜなら「PCを持っていない」から。

LISA HOOK, an executive at AOL, one of the biggest providers of traditional (“dial-up”) internet access, has learned amazing things by listening in on the calls to AOL’s help desk. Usually, the problem is that users cannot get online. The help desk’s first question is: “Do you have a computer?” Surprisingly often the answer is no, and the customer was trying to shove the installation CD into the stereo or TV set.

AOLユーザはコンピュータレタラシーが低い初心者、という定説だし、AOL自身もそうした消費者をターゲットにしているのだが、それにしても。。。昔、ISPが1ヶ月分おまけでついてくる、というPCを買ったユーザから

「あの、箱の中にISPが入っていないんですが」

という電話がカスタマーサポートにあったという笑い話があったがそれどころではありません。

しかし、見方を変えればPCも持たないユーザですらインターネットに接続したいと思うようになった、という喜ばしい時代。AOLにとってはうまくすれば商機。超格安のメール・ブラウザオンリー端末を売るとか。この手のインターネット端末は、今まで何度もトライされたがどれも成功しなかった。しかし、今ならいけるかもしれない。

ちなみに、今回のEconomistのIT特集は、いつになくつまらなかった。「今ITに必要なのはシンプルさ」というのがテーマだからか。しいて言えば割合面白かったのはVoIP関係の記事。

将来、現状のような電話が無くなり、音声もインターネットを通じてやり取りされるようになった時代にコミュニケーション形態についてのもの。

電話のように「話し始め・話し終わり」が明快にあるものではなく、ambient communicationとなる、と。常時接続した状態で、話があると、ぱらぱらとテキストのインスタントメッセージのやり取りが始まり、ヒートアップしてくるとワイワイみんなで音声で話し合い、まただんだん静かになる。リアルなオフィスのような状態になるわけだ。実際、テキストではIMで既にこれに近いコミュニケーションを行っている人も多いだろうが、音声も統合されるところが味噌です。

個人的には、そんなみんなにつながってる状態は鬱陶しいなぁ、と思うんですが。

AOLの涙」への6件のフィードバック

  1. 就職を考え始めている学生です。凄い経歴ですね!やっぱり旦那さんも凄いヒトですか?こんなこと聞いていいかしら♪これからもブログ覗かせてもらいます。

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  2. ogino-san, ゆうーsan,
    インド市場レンタル専用のPC、ってのも開発されているらしいです。後、バッテリとPCを背負って村を回り、メール・インターネットアクセスを提供するビジネスというのもインドにはあるらしい。歩くインターネットカフェ、ですね。。って、アメリカはそういう国並なのだろうか。
    rico-さん、
    ダンナについては、右上のサーチボックスで「ダンナ」と入れるとちょっと過去の記事が出てくると思います。

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  3. 始まりも終わりも無いコミュニケーション

    On Off and Beyond: AOLの涙を読んで。  渡辺千賀さんのブログでEconomistのIT特集が取り上げられています。  AOLのCD-ROMの話も面白いのですが、個人的に気になったのがVoIPについての記事。 …

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