9/11 Commission Report-2

9/11 Commission Reportの続きです。元のエントリーでも書いたとおり、『Commission Reportは、議会と大統領によって設立されたNational Commission on Terrorist Attacks Upon the United Statesという組織が、9/11の顛末、その対応で明らかになった問題点、その問題点への対処方法をまとめたもの。』

で、それを読んで「アメリカというのは変わった国だ」と思ったわけだが、その理由として
『1)読み物として面白い』
をあげた。国の委員会が書いたものが、読み物として手に汗握る展開に仕上がっているのは変わってるじゃないか、と。

ということで今日は「変わった国」の理由の二つ目。

2)常に臨戦態勢である

一番驚いたのは、最初のハイジャック機アメリカン11便が世界貿易センターに突っ込んだのとほぼ同時に戦闘機が離陸していたことだ。管制官がハイジャックに気づくのが8時25分。アメリカン11便がニューヨークに進路を変えたことに気づき、管制官は空軍に異常を連絡する。管制官は通常空軍に直接連絡する決まりではない。「異常事態だから自分で判断してルール無視」で直接連絡する。これもアメリカらしい。

空軍に連絡が入ったのが8時38分。11便は8時46分に世界貿易センターに突っ込むのだが、同じく8時46分に戦闘機が離陸している。

ただし、離陸した戦闘機のパイロットたちは、いったい何のために自分たちが離陸しているかわかっておらず、どこに向かえばよいかもわからない。また、11便が既に世界貿易センターに突っ込んでから30分以上たった後に、さらに別の戦闘機が11便を探して飛び立つという混乱振りではある。しかし、異常事態というのは混乱するものである。とにかく飛び立ったところがすごい、と思うんですが。

この後、即座に副大統領のチェイニーは地下の要塞に潜り、ブッシュは、さまざまな飛行場を転々として声明を発表(しかも、どこに大統領がいるかリアルタイムでわからないよう、声明は全て録画で放映)したのは、ご存知の通り。

以前ラジオで、ケネディ暗殺時の話をしていたが、ちょうどそのとき日本に向かう専用機に乗っていた政府高官たちがいたが、彼らは「単なる暗殺ではなく、政府転覆を図るクーデターなのでは」という懸念の元、即座に情報収集に入ったそうだ。アメリカという国は、常に、自国や自分の政権が攻撃されるかもしれないという「臨戦態勢」にある国なのであるな。

***

ちなみに、Bin Ladinのところには、アメリカを攻撃するためのいろいろなテロプランを持った人がプレゼンに来るんだそうだ。その中から「これは」と思うものに出資して、テロ遂行のための人材も調達してあげる、というのがBin Ladinの役割だそうだ。つまり、彼はベンチャーキャピタルのような役割を果たしているらしい。

9/11を計画したのKhalid Sheikh Mohammedは「テロリスト アントレプレナー」と表現されている。1996年に、民間航空機でアメリカの主要ビルを襲撃する計画の最初の「プレゼン」をBin Ladinにする。Bin Ladinは計画が激しすぎて実行不能では、と渋るが、計画を縮小したりして交渉を続け、1998年末から1999年初頭にかけてついにGoがでる、という運びである。

Commission Reportに不満が残るところとしては、なぜテロリストがテロリストになるかの経緯。裕福な家に生まれ、アメリカやヨーロッパで高等教育を受けた青年が突如テロリスト的思考に傾倒していく。その心理的深みについては言及されない。このあたりはアメリカが極めて弱いところではある。他国・他民族の気持ちに鈍感、というか。ま、日本も人のことは言えんが。

なお、このReportでは、あれだけの英雄的死者を出した警察や消防署もきちんと分析、問題点を指摘している。血も涙も無いというか、理論的というか、完璧を期すためには何でもするというか。いわく

Emergency response is a product of preparedness.

とのことです。

これ以外にもいろいろあるのですが、読んでのお楽しみ。600ページ近くありますがあしからず。

9/11 Commission Report-2」への3件のフィードバック

  1. この本、先週末に購入しました。Costcoで$5.99でした。600ページの本が当たり前にこの値段というのもまた不思議です。定価も安いし、アメリカの本の値づけは良く分かりません。

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  2. 先のentrieを読んで私も購入しました(まだ最初のWe have some planesの章しか読んでませんが)。
    Chikaさんの書かれた、米国の対応に関するこの本の記述は、文字どおり分刻みで、しかもパラレルで乗っ取りが起こっているゆえの混乱が手に取るようにわかり、読んでいてとても緊張します。
    しかし、最初の飛行機の乗っ取りからWTC激突までたったの30分。さらにその後1時間以内に他3機が突っ込む(うち1機は墜落)という早さ。一体どうやって対応したらいいのだろうと思います。
    9|11というドキュメンタリーのDVDをつい先日観ていたこともあり、読んでいて辛いです。

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  3. ganryu-san,
    安いのは政府の刊行物だからじゃないでしょうか。日本で言うところの「なんとか白書」みたいなものですから。。
    wakaba-san,
    そう、最初のところ、緊張しますよね。私、飛行機の中で読んでいて、思わず本の世界に入り込んでしまい、ふと目を上げて自分がどこにいるかわからなくなってあせりました。

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