デジタル・エンターテイメントの中でも、とりわけ顧客保持率の高さで期待されるのがVirtual World。
レイ・ブラッドベリは、3D映像で供給されるインタラクティブな架空人物の「バーチャル親戚」とのやり取りで一日を過ごす主婦がある日突然自殺する「バーチャルがリアルを萎えさせる世界」を描き出し、ウィリアム・ギブソンは、ハッキングの過程でセキュリティの網にかかると実際に痛みが生じ、バーチャルなデータをリアルな人間の脳で運ぶような「バーチャルとリアルが入り組んで相互に作用する世界」をイメージしたが、果たして現実はどちらに向かっているのか。
San Jose MercuryのEmbedded in a Virual Worldは、Second LifeというVirtual Worldの出来事を報道するレポーターとして、実際に報酬をもらっているジャーナリスト、Wagner James Auの話。レポートの内容は、Auのblogに掲載される。
彼のレポートは単に
「(バーチャルな)Xさんが(バーチャルに)Yをした」
という「バーチャルワールド日記」的なものにとどまらず、参加者が、Second Lifeの運営会社に対し、バーチャルな世界の集団交渉でリアルな利用料金値下げを迫った話なども掲載される。
He wrote about a “Boston Tea Party” that residents staged to protest the way Linden Lab taxed properties and belongings that residents created. Linden Lab staged some town hall meetings and eventually changed its policies so residents wouldn’t be discouraged from building grandiose properties.
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そういえば、こんなラジオ番組もあった。Politics in Alphaville, an Online Community(ストリーミングが聞ける。)Sims OnlineのAlphavilleという街の大統領選挙に関するインタビューだ。インタビューされるのは
–現Alphaville大統領で、実社会では21歳のDelta航空発券係のArthur Baynes
–挑戦者の、実社会でモデルをやっていたこともある14歳のLaura McKnight
2人のインタビューでは、選挙公約も言及される。LauraはAlphavilleではモデルエージェンシーを経営しており、話を聞いた限りでは、はきはき今後の変革を語るLauraに比べ弱気そうなArthurには勝ち目はなさそうだったが。
(なお、こういう「バーチャルワールドの選挙に立候補」などいうオタクな行為に関するインタビューを実名で答えるのはアメリカ的なのだろうか?日本だったらどうなるのだろう。)
この中で面白いと思ったのは、Lauraが最初は別の仕事をAlphavilleではじめたが、上手くいかないので、実社会でもなじみのあるモデルエージェンシーに転業したら上手くいくようになった、というくだり。バーチャルワールドを運営する会社の人が
「バーチャルの世界で、リアルの世界と全く違うキャラクタになった人は、結局そのキャラクタの属性(仕事などいろいろ)に関する知識が薄くてつまらない。」
と言っていたが、そういうものであろうか。確かに、例えば私が
「少林寺拳法の達人のボディーガード」
などというキャラクタを選んで、バーチャルの世界の知り合いに
「最近、どんな面白いことがあった?」
と聞かれても答えに窮する。会話が面白くなりそうも無い。
まだサラリーマンだった頃、会社の隣の席の人(30代♂)が、昼休みにPCに向かって何かをカタカタやっていたと思ったら、突然
「おっ」
と言った。
「どうしたんですか」
と聞いたら
「昇給した」
「?」
「バーチャルワールドで会社員をやっているんだけど、そこで昇給した」
とても嬉しそうだった。
「実社会でサラリーマンなのに、どうしてバーチャルな世界でまでサラリーマンなんだろう」
とそのときはかなり不気味に思ったのだが、あれが正しいバーチャルの遊び方だったのであろう。
ラジオ番組の話に戻ると、 オンラインゲームのUltima Onlinでバーチャルグッズの売買をすることで、本業の執筆業より儲けられるかどうかを試したJulian Dibbellもゲストに迎えられている。自分のゲームキャラクタを強化する装備や兵器を、現実のキャッシュで売り買いできるのだが、それを商売にしよう、という話。事の顛末を記したWiredの記事はこちら。経緯はJulianのBlogに綿々と書き綴られている。去年の夏に始めて、最近1ヶ月のバーチャルグッズ利益は3917ドル。執筆業より$683少なかった、と。(たった683ドルしか少なくなかった、というのが驚きのように思うが。月40万円強の利益とはかなりのものではないか。)
このJulian Dibbellはblogでこんな風にバーチャルワールドの世界を総括していた。
The funny thing is, though, that more and more nowadays this curious confusion of entertainment and existence is the definition of play. The games we choose for our amusement are becoming so complex, so involving, that the line between gameplay and career, between gameworld and society, begins to blur. In the course of this project, I met many players of UO who were just as much laborers in the UO economy, even if they wouldn’t have said so themselves. I also encountered ethical dilemmas, questions of economic justice even, that would never have troubled me as they did if the economy in question were merely a game.
以上、全体の傾向としては、「バーチャルワールドとリアルの世界は複雑に入り組み、ウィリアムギブソン化している」ということか。
San Joseのゲームjショーに来ていたSquareの人たちと話したときにオンラインゲームのキラーアプリケーションは、「オンラインの世界でピザを頼むと、実際にホンモノのピザ屋からピザをデリバリするサービスではないか」という話もあった。(ゲームの世界から抜け出すことなく、リアルにものが食べられるから)
ピザ屋はちょっと冗談としても、現実の金の延べ棒を所有しそれと変換可能なだけの通貨をバーチャルな世界で発行する(つまり、金本位制の)e-goldもある。今後さらに、「バーチャルとリアルの融合分野(もしくはトワイライトゾーン)」でのビジネスチャンスは広がるだろう。
AuがレポートするSecond Lifeではバーチャルなアダルトビジネスも存在しているそうだ。このあたりは、日本人のクリエイティブパワーが炸裂する領域でもあるので、今後日本発のあっと驚くバーチャルエンターテイメントが出てくる可能性も。怖いもの見たさもあいまって、興味津々である。
リアルとバーチャルの境界といったテーマでは、以前こんなのをエントリーしました。
http://miamoto.net/archives/000022.html
認知心理学とか脳科学あたりからアプローチすると、心理的な意味でのリアルとバーチャルの境界線がどのへんにあるのか理解しやすくなると思います。
結局、人は2つの人生を同時に生きることは難しそうです。
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I apologize, I don't know Japanese, so I'm kind of guessing at the gist of this article. If you are interested in how virtual worlds and the real world are becoming intertwined, you should check out TerraNova. ( http://terranova.blogs.com ) It has a lot of good posts from people who are studying virtual worlds and their effects on law, economics, sociology, and more.
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tomo-san
このあたりは、私のつぼにはまる領域で、実は、かなり前からいつか書こうと思っていた、とても面白い本があります。ちょこっとプレビューしますと、夢と精神錯乱は紙一重、(でそれは脳内化学品で決まる)というテーマです。
bbc,
Terrranova seems to be very deep. There was even an entry dedicated to advertising and branding in virtual world…something to check out.
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