Silicon Valleyの空洞化-続き

Silicon Valleyで職探し中の方からこんなメールを頂いた。

Silicon Valleyの空洞化はまさに感じていたことを言葉にしてもらった感じです。San Jose Mercury Newsも読みました。

Webで広告している電子通信関連の求人を見ればすぐわかりますが、「スーパーエンジニアを求む」としか読めません。エントリーレベル、ジュニアレベルを見つけることは困難です。したがってアメリカ人の新卒も相当苦労しているようです。

特にスタートアップはずば抜けた人しか雇いませんね。以前からそうでした。

スーパーエンジニアのマーケットは確かに存在します。これからも存在しつづけることでしょう。しかし問題はスーパーエンジニアになるまでのキャリア形成を行う土俵がアメリカに少なくなりつつあることです。

私の勤めていたシリコンバレーの大企業は製造が東南アジアに移管することで、真っ先にプロダクション関連の人が減りました。製造に携わるジョブマーケットはどんどん縮小していることはもう常識でしょう。ソフトの開発もすでに移管中です。ソフトの外注管理はまだしばらくアメリカにあるのかもしれません。ソフトの設計を習得するならインドです。しかしソフトの設計、プログラミングをしたことのない人間がソフトの外注管理などできるものでしょうか。

製品設計、開発も外に出て行っています。中国では生産だけでなく、設計も活発です。ソフトだけでなくハードも海外です。あちこちのソース(互いに関連なし)から聞いた情報もそれを裏付けています。

しかしアメリカはまったく空洞化してしまうことはありません。軍事関連のハイテク産業は外に出て行きません。新卒はそこでスキルを鍛え、やがてスタートアップなどの先鋭的なエンジニアリングに挑戦すればよいのでしょう。アメリカ国籍のない日本人にはこういうことはできません。

もしかしたら、インドや中国で就職し、エンジニアとしての技術を高め、その後アメリカで就職するのが今後のながれになるのではないでしょうか。現に私の友人(携帯電話のソフトエンジニア)はフランス、日本、アメリカ、日本、中国の順で職場を渡り歩いています。」

一方で、最近シリーズAのファンディングを受けたばかりで、まだ10人くらいのベンチャー2社の人たちが、異口同音に「良い人が雇えない」とぼやくのを聞いた。いずれも、Mobiusとか、MayfieldとかBessemerとか、メジャーどころのVCから投資を受けているにもかかわらず、である。どちらも「スーパーエンジニア」を探しているのだ。いわゆる「スターエンジニア」という人たちである。彼らいわく

1)ぴかぴかの人は引く手あまたであり
2)既に何度か成功している経験者は、ファウンダー並みのストックオプションでも与えなければ来てくれない
3)一方で、失業中の人は山のようにいるので、採用情報を出すと莫大に応募が来てしまうが、スターエンジニアの絶対数は限られているので、応募数が二倍になったからスターエンジニアの応募も二倍になるわけではない(一人は「Noise-to-Signal ratioが悪い」と表現していた)

雇用側、雇用される側、同じことを言っているわけだ。

エンジニアじゃなくても、かなりスターじゃないとなかなか仕事を見つけるのは難しい。例えばNeoterisという会社で知り合いがプロダクトマネージャを募集している。条件はこんな感じだ。

■Must have 3+ years of product marketing experience in the remote access, enterprise applications, security, or networking space and knowledge of emerging web infrastructure technologies.
■Must have managed 5+ releases through the entire lifecycle from definition to pricing, sales support, and deployment.
■Must have demonstrated successful experience managing product strategy for a similar company and/or in an emerging market.
■Must be able to excel in a fast pace, startup environment where action and initiative are prerequisites to survival.
■Excellent written, verbal and presentation skills.
■Strong technical and market knowledge of the networking and security technology spaces.
■Proven analytical and problem solving skills.
■Must have a BA/BS degree, MBA preferred.

初心者お断り、なんである。(ちなみにNeoterisは盛大に雇用中。同社のサイトにあれこれ乗っているし、加えて、な、な、なんとMountain Viewの映画館で採用広告まで出していた。バブル期はあきるほど採用広告が映画の前に流れたが、バブル崩壊後、ベンチャーでは初めてではないだろうか)

今日、Electronic ArtsでVP Technologyをしている橋本さんとランチをして、以前何度か私のblogにコメント頂いたShiroさんの話になった。Shiroさんは偶然私のblogを見つけていただいたのだ(と思う)が、もと橋本さんと一緒に働かれていたのである。・・というのは、以前橋本さんの話をblogに書いたときに判明した。Shiroさんはハワイ在住。橋本さんいわく、「ShiroにぜひともEAに来て欲しい、とラブコールを送っているのだが、なかなか来てもらえない。腕一本でどこでも引く手あまたの凄い人材なのに、、、」と残念がっていた。

やっぱりこういう風に前の職場の人に見込まれて引っ張ってもらえないと厳しいんだなぁ・・・・。

Silicon Valleyの空洞化-続き」への4件のフィードバック

  1. こんにちは。
    興味があるので、ひとことコメント書きます。
    私の会社では天才秀才クラスの人間を一本釣りしてます。
    社長が世界中に張った天才発見アンテナ見たいなのがあって、結構力強いです。
    大学の先生や、研究室つながりを手繰るのですが、中国や韓国のエンジニアたちは、横のつながりがしっかりしていて、ネットワークが上手く機能してます。
    各国の天才を東京に集めてきたら、その国の天才マーケットが空洞化するのか、日本の技術が空洞化なのかわかりませんが。

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  2. 『会社はこれからどうなるのか?』を読んでます。
    結論は“会社はヒト”ということでした。
     ・会社はこれからどうなるのか?
      http://www.1101.com/kaisha/
    岩井克人さん、今月の『中央公論』でも対談してますが、
    ↑同様に“会社は株主のものではない”とか、
    淡々と強く訴えられてます。
    本書でも淡々と強く訴えられてます、対談以上に。

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  3. ふむふむ、http://www.1101.com/kaisha/読みました。
    なお、私は世界がいっせいに変わったのではないと思います。
    発展途上国が岩井さんのおっしゃる産業資本主義の世界で、先進国とはポスト産業資本主義。
    発展途上国では安い人材が農村から大量にやってきてそれをどんどん製造業に投入することでアウトプット(GDP)が増していきます。しかし、先進国では、もう「安い人」はいない。そうなってくると、同じ人数の人で、アウトプットを上げていかなければなりません。「生産性=productivityが向上する」ということですね。
    で、日本は80年代に発展途上国から先進国になった、というか残念なことになってしまった。先進国では、一人の人間により一層の成果を上げてもらわないとなりません。そのために、ストックオプションみたいな金銭的にんじんをぶらさげたり、フレキシブルな勤務時間というベネフィットを提供したり、能力ある個人を、そうでない人より圧倒的に優遇したり、といった様々なしくみを、ああでもない、こうでもない、とトライしてアメリカは今のような状態になっています。
    まぁ、アメリカはアメリカで行き過ぎていることもありますが、ポイントは「能力ある個人に獅子奮迅の働きをしてもらわないと商売上がったり」というのがベースにある、ということなんでしょう。
    takumaさんの会社の社長さんのように世界から良い人材を一本釣りしてくる、というのはすばらしいですね。「世界から集まった人材が日本でよい働きをしたら日本の技術が空洞化」とは思いません。シリコンバレーだって、インド人やら中国人やらロシア人やらで満載ですが、だからといってシリコンバレーの技術が空洞化してる、とは思わないですよね?むしろ、シリコンバレーというシステムを可能にしたアメリカという国がより一層認められる。日本に世界の優秀な人材が集まるようになったら、それは日本という国の素晴らしさとして注目されると思いますけど。

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