gender issue..

Katharine Grahamの話の続き。女性のempowermentについて。。

基本的に、私は多分女性に厳しい(というか、誰にでも厳しいという説もあるが・・・)。男女差別なんてあって当たり前である。でも、それはゲームのルールなのだから、そのルールのもとでどうやって楽しくやっていくかを考えるべきだ、と思っている。そもそも差別(というか、区別)は男女の間にあるだけではない。学歴とか家柄とか人種とか、いろいろなことで人間は差別される。そういうのは全て社会の「お約束」なのであって、そんなことにいちいち文句を言っていたら始まらない。女性の地位が先進国の中では最悪といってもよい日本ですら、女性がやりたいことがやれる程度の自由はある。もちろん、周りに白い目で見られるとか、いらぬ注目を浴びるとか、干渉されるとか、様々な問題はあるかもしれないが、そんなのは「ゲーム」の一部。乗り越えられないのは個人の問題だ。日本ですらそうなのだからいわんやアメリカをや。

・・・というような、情け容赦ない信念を持っているのであるが、Katharine Grahamの自伝を読んで、「うーん、やっぱり外部からの正しいガイダンスっていうのは必要なのかもしれないなぁ」と思ってしまった。Katharine Grahamともあろう人ですら、40台半ばまでダンナにけなされ続け、自尊心ずたずたで、全く自信なく生きていたという事実。ダンナの自殺という思いがけない事件で、グループ企業のトップとなり「場」を得たことで経営者としての能力が開花していく。Washington PostはKatharine Grahamの実父の会社だった。本当は最初から婿であるダンナではなく彼女が引き継いでもやっていけたはずだ。それなのに、「お前は馬鹿だ」と言わんばかりのダンナの精神的迫害に耐え続け、おどおどとした人生を送ってしまう。

その彼女が変わったのは、「場」が与えられたからだ。いろいろな人のサポートを受けはするものの、基本的には「強いビジネスマンであること」が要求される「場」に自分をおいたことで、彼女は生まれ変わる。もっと正確には「本来の自分が目覚めた」といった方がいいだろう。自伝には、20そこそこで胡散臭いサンフランシスコのローカル新聞の記者をしたり、優れた実業家の父親からの薫陶を受けたりと、仕事の場で生き生きとしている彼女の姿がある。

女性に限らず、人間は周囲の期待に応えたい、という願望が強くあると思う。誰もが仕事をするべきだとは全く思わないが、キャリアを望みながら仕事の場での成長が妨げられる女性が多いとすれば、それは学問・仕事面での女性に対する期待が低いことが最大の問題なのかもしれない。

昔社会人になりたての頃、雑談で誰かに「高校では学校で1番だったりしたの?」と聞かれたことがあった。そのとき、即座に別の男性が
「女の子が学校で一番になるはずないじゃないか、そんなこと聞くもんじゃないよ」
と会話を終わらせてしまったことがあった。驚いた。
「渡辺さんが一番のはずないじゃない」
だったらわかるけど、
「女の子だから一番になれっこない」
という発想はいったいどこから来たんだろう、と。それ以外でも
「君はいつ結婚するんだ」
と当時はやたらに聞かれた。なぜにしてそのようなことを聞くのかと思ったら
「結婚したらやめるでしょ?」
ということで何年間仕事をする気があるのか、という質問だったのである。内定式では、当時の副社長が
「そこにいる渡辺さんなどはそれほど経たない間に会社を辞めると思うが」
とご丁寧に名指しでスピーチをしてくれたこともあった。ほんの3-4年くらい働くだろう、という程度の期待だけで会社に入れてもらえたのである。めでたいことだ。

期待が低いと、普通のパフォーマンスをするだけでも、期待値をはるかに凌駕するため高く評価される、というメリットは高い。しかし、一般的には低い期待値の中に自分をおくと、その求められたもののレベルで成長が止まってしまう可能性の方が大きいのではないか。GEのように人事で有名な会社はどこも「ストレッチする」、つまりその人の現状の能力を凌駕する課題を常に与えることがその社員の成長に欠かせない、としている。

というわけで、「より高い次元の要求をされる場」に自分をおき続けることが継続的成長に欠かせない、と思うのでした。

gender issue..」への4件のフィードバック

  1. 知り合い(男性)からこんなメールをもらいましたのでご紹介。。。
    『ところで渡辺さんの今日のBlogを読んで、三井物産に行った
    大学の友達を思い出しました。学生のときに「女に選挙権が
    あるのはおかしい」と真顔で言った奴で、しゃれではなくどうも本気だったらしい。奥さんが「明治生まれの人かと思うこと
    があるわ」とおっしゃっていました。』
    いるんですよねーこういう人。若くてもいますね。今大学生の女の子と話してもそういう同級生がいるっていってました。ははははは。

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  2. 「差別っていうか、区別」
    私も同感。差別というのか区別というのか、それは状況と人に
    よって違うだろうけど、男と女の区別はあって当たり前だと思います。
    女性に対する期待度が社会とか会社とかその他の場所でちがうとするならば、
    自分の可能性を試せる場所に常にいたいものですね。
    「より高い次元の要求をされる場」に身をおくことが自分の成長にかかせないというのも、身をもって実践しています。
    私にとっては、chikaさんに出会ったことが、初めの一歩だったような気も、してるんですけどね。(^^)
    (ほんの数ヶ月でしたけど、強烈な経験でしたし)

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  3. 「社員をこきつかう」ことは出来ても「ストレッチする」
    ことのできない大企業が多いですね。男女を問わず社員が最大限能力を発揮できれば、最終的には経営陣の成果になるのは簡単な理屈なのですが。
    「より高い次元の要求をされる場」に身をおこうとするときに
    独立する、日本を離れる、という選択肢がありますが、
    日本企業の中でもそういう場を作っていかなければ、本当に
    日本は沈んでしまうと真面目に考えてしまいました。

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  4. 私もhiro-sanに同感で、日本には男女問わずに社員を「ストレッチする」ことができる企業がとても少ないと思います。
    やはり日本を離れるという選択肢を選ぶ人が多いのでしょうか。
    日本にいる男性社員の女性社員に対する期待は低いと思います。というより、あえて低くしておきたいのではないか、と思う時があります。優秀な女性や外国人と競争しなければならない時代になってきているのを、どうにか阻止したいかのよう。。。そんな日本人男性的な考えに賛同し便乗している外国人従業員さえいる・・・。
    私も「ストレッチ」できるような環境に身を置きたい。あ・・・日本を脱出するしかないのかな、やっぱり・・・苦笑

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