変な会社

ADAのコンファレンスで変なベンチャーに会ってしまった。超変だった。頭を抱えるくらい。

まずミーティングを設定する時点から変だった。電話で話しはじめるや否や、突然「Which school did you go to?」
と聞いてくる。意表をつかれたので、
「School? My school??」
と鸚鵡返しに聞き返してしまった。アメリカは確かに学歴社会。私の経歴をミーティング前にチェックしてあるミーティング相手から、
「で、スタンフォードはどうだった?」
などと雑談的に聞かれることも結構ある。しかし、面と向かって
「君はどこの学校行ったの?」
とは聞かないのである。普通。

さらに、ミーティングの際にホテルのロビーで待ち合わせるてはずだったので、
「私は身長これくらい、ショートカット」と言ったら
「僕はリチャードギアに似てる」と。
なんですと!?

で、ミーティング直前に確認メールを出して「今回のミーティングはCDAなし」と書いた。(医療関係ではNDAのことをCDAと呼ぶ人が多い。守秘義務契約、ですね)
すると電話がかかってきて「CDAって何の略?」と。

しかも、その会社にはウェブサイトがなぜか二つあることを発見。一つは.org、もう一つは.com。一つの方がより新しい情報になっている。

さらに、突然ミーティングの1時間前にポロシャツで登場、雑談して去っていったと思ったら本番のミーティングには7人ものメンバーを引き連れてやってきた。ところが、やたら大勢引き連れてきているにもかかわらず、全くの手ぶら。紙切れ一枚持たず、PCもなし。

しかも、医療業界の人にもかかわらずRocheのことをローチと発音。ゴキブリじゃないんだから・・・・それ以外でも話が要領を得ない。いい加減な説明が多く、聞きただすと訂正する。変だ。全く持って変だ。決定的に変なのが、科学者チックな外見の人がいないこと。ヘルスケア関係のベンチャーには、かなりの確率で人間離れした顔の人がいる。目が異様に離れていたり寄っていたり、はたまた額が大きく突き出たり。まるでSF映画の未来人類のようなルックスの人がいがち。サイエンスの世界の人は見た目もサイエンスなことが多いのだ。しかしこの会社の人たちはみんな、なんだか胡散臭い地方の酒焼けしたおっさん風(いわゆるRed Neckという感じ・・・)と、なんだか普通っぽい中年のおねーさんである。変だ。全く持って変だ。

しかも、投資家構成が異様。100人の個人投資家なんだそうだ。それってもうpublic company(99人を超したらpublicとみなされる)としてSECに公開企業レベルのファイリングが必要なんじゃないのか、と聞いたら、いやそんなことはない、と。(オフショアに会社設立したらSECのファイリングは逃れられるかもしれないが)

全ての変さ加減もさることながら、手ぶらでミーティングにやってきてデータ一つ準備していないそのアンプロフェッショナルぶりに、怒ってしまった。相当に下準備をしたので他の会社とはみな実のあるミーティングができたのに。

ミーティングが終わったあと、真夜中にホテルの部屋でむらむらと怒りがこみ上げ、インターネットでバックグランドチェックを始めた。すると!!Edgarのデータベースで全く別の会社のSECファイリングの中にCEOとCFOの名を発見。それは、な、なんと、オンラインカジノの会社。そう、彼らは医療機器会社のマネジメント兼、オンラインカジノ会社のマネジメントだったのである。

「やっぱり正真正銘変だった」とその時は部屋でひとりガッツポーズをだしたのだが、よく考えると、さらに謎は深まるばかり。だって、本当にだまそうと思っているんだったらもっと真剣にそれらしくするものではないのか。びしっとスーツでも着て、パワーポイントのプレゼン作って、Rocheをどう発音するかぐらい勉強してくるとか。そのあたりがアバウトということは、実は逆に真剣に医療機器を作っているのか。しかし、だとしたらあまりにずさんだ。

謎だ、全く持って謎だ。。。ちなみに、その会社はミーティングに某有名医大のお医者さんを連れてきたのだが、そのお医者さんが果たして本物か、現在追跡調査中である。(ここまでいくと、単に好奇心だけなんだが)

考えられるのは、彼らは個人投資家からお金を集めることが目的の会社であるということ。大企業とのミーティングは個人投資家への売り込みの際に「こんなに事業も快調」と説明するためのツールでしかないから、実はミーティングの中身はどうでもいい。重要なのは会ったという事実だけ。なお、彼らはミーティングの後でこちら側の参加者の写真を撮っていった(これも変だ)。この写真はやがて大きく引き伸ばされて個人投資家の集まりで利用されちゃったりするんであろう。

ということで、世の中にはいろいろ楽しいことがある、というお話でした。

変な会社」への3件のフィードバック

  1. すごい面白い。事実は小説より奇なり、とは申しますが、ここまでくるとお話を域を超えていますね。
    ネバダとかには、こういう人がいっぱいいたりするのでしょうか。続報を期待しています。

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  2. 確かにカジノだって立派なビジネスですよね。PWCがサインするくらい。。。
    昔商社づとめを日本でしてた頃に、世の中には摩訶不思議なビジネスやビジネスマンが存在するということを身近で見ましたが、シリコンバレーにはそういう会社はまずないので、最近ちょっと油断していました。
    商社で見聞きする摩訶不思議な出来事はたくさんあるんですが、害がない例にはこんなのが。
    私の同期でタイヤを海外輸出していた同期が、重要な中東の取引先からアラビア語かなにかの手紙が来たので、わざわざその国の大使館に依頼して翻訳してもらったところ
    「今度タイヤを送るとき、その中にサンスイのステレオをこっそり入れて送ってくれ」
    という密輸の依頼だったとか。密輸って言ってもかわいいもんですが・・・。そんな手紙のために、忙しい中わざわざ大使館まで往復させられた同期は泣いてました。
    取引先(別の人ですがやっぱり中東)に、あまりの巨体で普通の車にはまらない人がいて、その人が日本に来るときはワゴンを手配しなければならないという相撲部屋のような気配りをしてる同僚もいましたね。
    当時に関しては、もっと怪しい話もいっぱいありますが、ま、ちょっと公にするとやばいのかもしれないですね。ではでは。。。。

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