シリコンバレーの景気がよくなってきた。アメリカという国は、地域・州によって全く異なる産業構造なので、景気も全然違う。日本の感じだと理解しづらいのだが、シリコンバレーが大不況でも南部のほうは結構好調だったりとか。なので、他の地域はわからないが、シリコンバレーはよくなってきた。とはいうもののマクロの数字的にはまだだ。失業率は高いままだし、消費者・事業経営者のconfidenceは低迷。州の財政難は激しく、公立学校の教師の大々的なレイオフが予定されている。
しかし、いろいろな人と話をしていると、ハイテク産業の状況が好転している兆しが感じられる。今年の頭には、5人に1人くらいが明るいことを言い始めたのが、だんだんと5人に2人になり、今は5人に3ー4人くらいは明るい兆候を語る、という感じ。残りの人も、過ぎ去った栄光は忘れて、現状をベースに努力していこうというモードに落ち着いた感が強い。AMT*(末尾参照)という税金が払えずに数千万、数億円の税金を滞納しつつも「景気が一発逆転で復活すればチャラだ」という一縷の望みにすがっていた人たちが、「もうそんなことはない。」と諦めたり。
enterprise softwareに関しては、eCommerce系インフラで新規需要が始まっている、というのはECommerce復活にも書いたが、それ以外でも吉凶あるもののじわじわと明るい話が増えはじめている。しかし、特に吉兆なのが、半導体が上向きつつあるという話。半導体はハイテクの大本のインフラ、なので。スタートアップ、パブリック含め複数の企業の人たちが「注文が上向いている」という。特にテレコム系のハードコアのopticsチップでも、見通しが明るくなってきている、という人がいて、(もちろん業界全体の話ではなく、あくまでその会社が、だが)これは結構インパクトがある。なんといってもoptics系チップには、テレコムバブルの一環で、超がつく過剰投資が行われたので。しかし、とはいってもこういう話の元はごく限られた数の企業(仕事で関係のある相手は「景気はどう」と聞いたら「いい」と答えるに決まっているので、数に入らない)なので、統計的に意味のある数字ではないし、グローバルな半導体企業に勤めるある人は「去年は史上最低だったけど、今年はそれより悪いことが既に明らか」と言っていた。が、これは「5人に1-2人の、調子が悪いという人たち」の方。
というわけで、今年の4Qくらいには、底を脱するんじゃないかな、という気がする。当たるも八卦当たらぬも八卦であるが。GoogleのIPOがきっかけになるのか・・・。
*AMT: Alternative Minimum Tax
ストックオプションは「安く買う権利(option)をもらう」→「安く買う」→「高く売る」ということができて始めてキャッシュになるのだが、この二番目の「
安く買う」、というところでその時点での株の市場価値との差額分に税金がかかる。ところが、3番目の「高く売る」の前に株式市場がクラッシュしてしまうと、結局全くキャッシュにならなかったのに税金だけ数千万、数億円とかかってしまうという、恐ろしいことが起こるのである。シリコンバレーでは、CEOからセクレタリーまで、ありとあらゆる人にこれが起こった。うちのダンナも頭を抱えていた。カリフォルニア州税局から逃れるために、他の州に引っ越してしまった知人もいる。
ちなみにアメリカの国税局(IRS)は厳しいことで知られるのだが、それより怖いのがカリフォルニア収税局とのことで、「ゲシュタポ並」だとSan Jose Mercuryに書いてあった。この世の果てまで追ってくるんだそうだ。