2000年の終わり頃から、「ITとバイオの融合」というのが私のテーマで、いろいろとバイオについて学んでいるのだが、いろいろと驚くべきことがある。しばらくぽつぽつと、部外者から見た驚くべきバイオの話について書いていきたい。
まずはMatt RidleyのGenomeから「intelligenceをつかさどる遺伝子」について。
■まず、IQテストの結果の相関関係を見て欲しい。100に近いほど相関が高い。
同一人物が二回テストを受ける 87
一緒に育った一卵性双生児 86
別々に育った一卵性双生児 76
一緒に育った二卵性双生児 55
血のつながった兄弟姉妹 47
一緒に暮らす親と子 40
一緒に暮らさない親と子 31
養子として一緒に暮らす子供 0
別々に暮らす赤の他人 0
ということで、一卵性双生児では、たとえ別々に育っていても、同一人物に近いほどのIQの相関があるが、一緒に暮らす子供たち(ゆえに環境要因はほとんど一緒)でも、血のつながりがなければ、まるで赤の他人のように全く相関がない。つまり、IQはほぼ遺伝子の配列で決まってしまうのである。努力しても無駄ってことなのか・・・。
もうちょっと細かく見ると、
The heritability of childhood IQ is about 45%, whereas in late adolescence, it rised to 75%. As you grow up, you gradually express your own innate intelligence and leave behind the influences stamped on you by others
ということで、幼い頃は遺伝的要因より環境要因の影響が大きいが、育つにつれて、元々生まれ持ったIQに近づいていく、という駄目押しのデータ。英才教育なんかしても、結局は持って生まれたものに近づいていくのである。
ということは、IQをつかさどる「intelligence gene」もあるはず、ということで、実際にも研究もされていて、1997年にRobert Plominが発表した、第6染色体上のIGF2Rというのがそれ。
ま、そもそもIQが知能の指標として適切かどうかという問題はあるが、「いくらがんばっても生まれついて持ち合わせた才能以外は開花しない」ということだと理解。ますます、手持ちの素材で何とか差別化しなくては、と心を引き締めたのでありました。