M&Aと株価

M&Aでは通常、売り手の会社の株価が上がり、買い手の会社の5-6%株価が下がる。「高買いする」という経験則があるからだ。これはインターネットオークションなどを経験した人ならわかると思うけれど、ついつい「買う」ということに興味が集中してしまい、リーズナブルな値段より高い値段で買ってしまうことが多い。

半導体メーカーのGenesisが同業のPixelworksを買うことが発表されたが、今回は買い手ののGenesisの株が上がった。San Jose Mercuryの”Genesis to acquire Pixelworks”という記事には

Genesis shares rose 3.4 percent Monday. Pixelworks shares fell 21 percent

とある。

なぜだ、と思ってReutersの発表の方ををよく読むと、実はreverse mergerで、Pixelworksの方がGenesisの株をプレミアムを払って買い取るような形(つまり通常の逆)で、しかし結果的にはGenesisがマジョリティーを握ることになるのである。いろいろなワザを繰り出すものだ。

ちなみに、HPがCompaqを買収すると発表した日、HPの株価は1日でなんと19%下がった。

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一方「戦争が来る」という恐れで低迷していた株価が、Bushの演説で戦争が始まることがほぼ不可避となったことが明らかになるや上昇。「不確実な状態で待つよりも、さっさと戦争が始まる方が、さっさと終わる可能性が高いので好ましい」ということらしい。いかにももっともらしい理由ではあるが、よく考えれば「不確実な戦争より確実な戦争の方が好ましい」という全くもってわけがわからない屁理屈ではないか。Sorosが「reflexibility」という言葉で、「株価は経済原則じゃなく、心理戦」というのような意味のことを表現していたが、まさにその通り。詳細は、Financial Timesの記事”Wall Street welcomes clarity on Iraq”にあるとおり、

At 1230 GMT the Dow futures were up 108 points, after the Dow soared 282 points in the previous session. The S&P 500 futures were 9.4 points above fair value and Nasdaq futures were 13 points higher.

しかし、Bushの演説を聞いても全然怒りを感じない。日本にいるときは、日本の政治や経済のニュースの多くに、心拍数が上がる怒りを感じたのに。なぜだろう、と考えた。やっぱり距離があるから、だろう。アメリカという国と私の間の距離だ。Bushの演説でも「なるほど、イラクの兵士に語りかけたりするんだ。」とか、「ということは、実はイラク国内クーデターの可能性も探っているのか」とか、Bushの意図を探るという好奇心・知的関心の方が強い。

適度に距離があるというのは心の平安を保つにはなかなかよいことなのである。

M&Aと株価」への1件のフィードバック

  1. いゃ確かに距離がある方が心の平安につながると思いますよ。
    2月末に雪のWashington DC に行っていたのですが、コンファレンス会場のホテルのそばを前日通りかかると妙に警戒がきびしいのにプラカード持った人などもいる。さらに、そのホテルから前後を多数のpolice carに守られた政府閣僚が乗る黒いSUVが出てくのにも目の前で遭遇しました。で、後でニュースみたらやはりshruBだった。
    この花粉症の時期、いつもなら、アメリカに到着してたいてい2日くらいで症状が収まるのですが、今回は全然。アレルギーに反応する何かがあったようです。しかもイライラも収まらない。

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