Adopting a cat

先週末、猫をもらってきた。
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いろいろなボランティア組織があって、捨て猫に予防接種や去勢手術をした上で、希望者に譲ってくれる。週末になるとあちこちでpet adoption fairがあって、いくつか見て回って希望のペットを探す。多いのは、ペットショップの一角。ペットショップは猫や犬を売っていることはほとんどなく、ボランティア組織にも無償で場所を貸しているだけだろう。でも、もちろんペットを持つ人が増えれば当然売り上げ増でwin-win。

その日私は、2週間以上引いている風邪がぶり返して調子が悪かったのだが、「猫をもらってくるくらいなら」と思って出かけていったところ、なんと2時間もかかってぐったり。

まず最初に希望する猫の里親から、綿々とその猫の性格や持病の説明があった。ボランティアが捨て猫たちの里親になって本当の飼い主が見つかるまで世話をするのだが、我が家がもらってきたBeckyの里親のSueは、「猫救世軍」とでも言うべき情熱を持っていて、家には猫専用の小屋まであり、捨て猫救出のためなら夜中でも出動するという気合の入った人である。Beckyは、皮膚にちょっとトラブルがあって、頻繁に痒がるので、Cortizoneという薬をつけなければならないことが多いのだそうだ。生体検査で癌の検査もしたけど結果は陰性だったので心配はいらないが、とのこと。プラスチックのボールでエサをあげるとアゴの下に「猫ニキビ」ができるからガラスか陶器にしないとだめ、とか、一日中食べてるからScience Dietブランドのローファットのドライフードをあげるように、とか。まぁ細かいこと細かいこと・・・。

それでもadoptしたい、というと、次は別のボランティアの獣医さんの面接となる。いわく「猫の世話にいくらかかるか知っているか」、「病気になったらどれくらい獣医に払うか知っているか」、「その資金はどうやって調達するのか」、「住んでいるところはレンタルか」、「レンタルだったら大家さんの同意書は持ってるか」、などなどなど。

さらに、面接は続く。「子供が遊びに来たとき、子供に猫の正しい扱い方を教える責任者は誰か?」せ、責任者ですと?うーん・・・・「私かな」というと「子供には、猫の尻尾をひっぱたりしないよう、必ずキチンと教えるように」と。「週末に旅行に行くとき、世話を頼む人は誰か」まだ決まっていない、というと渋い顔をされてしまった。

「declawする予定はあるか?」という質問では、インタビュアーの目がきらりと光った。declawとは爪を手術で取ってしまうこと。そんなかわいそうなことはもちろんするつもりはなかったので、「そんなcruelなことはしない」というと、それはよかった、とにっこり。もらったinformation packet(50ページ近くあって読み応えたっぷり)を家に帰ってから読むと、declawがいかに猫にとって悲惨な手術か延々何ページも書いてあった。あそこで「declawするかも」などと言ったら15分は余計にかかっただろうと胸をなでおろす。

猫が家具やカーテンで爪を研いだときの対処方法から、トイレの砂の種類、次の予防接種のタイミングなど、あれこれ注意を受けて、誓約書にサインをして、adoption feeの60ドルを払って、(Beckyは2歳の成猫だったのでこの値段。より人気のある子猫だと100ドル)猫のキャリア・トイレ・トイレ砂などなどあれこれ買い込み、猫を連れてやっと家にたどり着いた頃には熱が出て、そのまま倒れるように寝てしまった。

アメリカには、ペットの人権(動物権?)に異様な使命感と情熱を燃やしている人が多い。里親のSueもその一人で、adoptしてきた当日に電話があって、「Beckyはどうしてる?」と。さらにはBeckyのこれまでの獣医のカルテを郵送するから、と住所を聞かれた。人間の私ですら自分のカルテを持っていないのに。もしかしたら毎日フォローの電話があるのでは、と恐れていたが今のところそれはないが。

この情熱は、うがった見方をすれば、子供は18歳になればさっさと巣立ってしまうので、それ以降母性愛・父性愛の発露として、ペット救出に命を燃やすからじゃないか、という勘繰りもしてしまう。それくらいみんな真剣。

ちなみに、うちの近くでは、犬や猫を売ってるペットショップってほとんど見たことない。魚・鳥は結構あるのだが。本当に血統書つきの犬・猫が欲しい人はブリーダーに直接交渉するのだろう。そういえば知り合いはわざわざシアトルのブリーダーのところまで一家で出向いて犬を買いに行っていた。猫に関しては、こうしてボランティア組織からadoptしてくるのがかなり一般的な取得方法である。

というわけで、もらってきた猫がかわいくて、外出していても気もそぞろな今日この頃であった。

Adopting a cat」への7件のフィードバック

  1. 猫のことならこの一冊
    “You & Your Cat” by David Taylor, ISBN 0-394-72984-6
    Health Care セクションのDiagnosis Chartはものすごく役立ちます。おすすめ。

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  2. ありがとうございます。Amazonのshopping cartに入れたので、次回バッチで購入したいと思います。

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  3. MTJペット事情

    うわーい!! chikaさんのところに猫が来た!! Beckyさん。 かわいいです〜!! アメリカで猫を飼うというのは、そういうことなんだろうな。しみじみ。 家では、ミィチャン(下の猫N..

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  4. mpmさま
    毎日「運動の時間」を設け、さらに心を鬼にして缶詰のキャットフードは3日に一回、あとは見るからにまずそうな「Science Diet”Light”」というドライフードです。私自身、low fatと銘打ったものは食べないので、(それよりフルファットなものの方が美味しいし体に良いと信じている)嫌いなものを他人(他猫?)に与えるのは心苦しいのですが。

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  5. うちの猫たちは子供のときからずっとScience Dietです。このメーカーは獣医向けの特別なバランスのcat food, dog foodも出しているメーカーなので一応安心かと。natural food系にこだわる人はWysongなどもあります。また最近はMax Catも良いらしい。
    普通のものもdietものも、hairball reductionものもいろいろとあげてますが、特に不味いという感じの反応ではなかったですね。最初にlightに変えてみたときなど、そちらの方が美味しかったらしく、それまでよりよく食べたために体重増加したという事態もありました。
    ところで、絶対に避けた方がいいのは、AGFとかNesttleなどのマス食品メーカーの出しているcat foodです。一度深夜に食料切れになり仕方なく近所のconvenience storeで唯一手に入るそのタイプを食べさせたところ、狂ったように食べる。なので何か不審な成分が入ってるのではと疑って二度とあげるのは止めました。この話を獣医としたところ、獣医もagreeでした。
    今いるうちの猫は焼き海苔が好物なので、treatとして少量あげています。以前の子たちはバナナだったりヨーグルトだったりしました。ただしミネラルが多いので焼き海苔のあげすぎは要注意。treatは成分に気をつける必要があります。猫はMagnesiumを特に避ける必要があります。

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  6. 焼き海苔ですか。。。
    「きゅうりの漬物」が好物で、閉めてあるアルミサッシの窓を手でガラリと開けて入ってきて食べる猫というのも聞いたことあります。
    マグネシウムは駄目なんですね。気をつけます。
    実家では猛獣猫(体重10キロ、趣味はハト狩りと犬を襲うこと)を飼っていましたが、この猫は刺身と缶のペットフードが常食、しかも決まったブランドの決まった味のもの数種類しか食べず、ドライフードで口にするのは一種類だけでした。刺身は、猫用の「なかおち」が売っていないときは、わざわざ祖母が小魚を捌いてあげたり、とそれは甘やかされてました。
    なお、Beckyは、もらってきてからというもの、毎日何度もウォーンととてつもない大声で鳴きながら何かを探し回っていました。foster momだったSueと相談の結果、「foster homeで仲良しだった子猫のItty Bittyを探しているのでは」と推測。寂しそうでかわいそうなので、今日からItty Bittyも飼うことにしました。一応2週間トライアルで、上手くいかなかったらItty Bittyは返すことになってますが、多分大丈夫。Itti Bittyをケージから出すなり顔をなめてあげてたので。
    Beckyは温厚で人懐っこい性格で、もらってきたその日から私の膝の上で寝るような猫でしたが、Itty Bittyはシャイで野性的。今もガスコンロの裏に隠れています。もしかしたら数日は出てこないかもしれません。でも、私は野性的な猫の、わかりにくい甘えぶりも好きなんですよね。絶対膝に乗ったりしないけれど、気が付くと同じ部屋にやってきて隅で身づくろいをしている。別の部屋に移ると、しばらく経ってからそ知らぬ顔でやってきて、影のほうで寝ていたり、とか。そういう猫的甘えぶりにクラッときます。

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