Bill JoyとLarry Ellison

Bill JoyがSunを去った。
CNetのCo-founder Joy to leave Sun
とてもいいことだと思う。上が支えるとろくなことは起こらない。Bill JoyはWiredにWhy the future doesn’t need usという「技術の進歩は人類の脅威」といった内容の記事を書いてちょっとした論争を巻き起こしたが、個人的にはこれはBill Joyが枯れてきただけ、と思っている。自分が関わる技術がethically badとと思うような人が重要な役割を占めていては、営利企業的には困ってしまう。やっぱり夢一杯・希望一杯の人がドライブしないと企業も枯れてきてしまう。

Larry Ellisonも”there will be no new architecture for computing for the next 1,000 years” “The computing industry is about to become boring.”などと言っているが、これも単に彼が年取って飽きてきた、ということと睨んでいる。これは同じくCNetのCan Oracle survive Larry Ellison?からの抜粋だが、この記事は、Larry Ellisonみたいな滅茶苦茶なトップがいてはOracleの将来が思いやられる、という内容。

いわく
(Oracle’s) senior management team is woefully depleted, with the loss over the past several years of Ray Lane, Gary Bloom, Robert Shaw, Randy Baker, Polly Sumner and many more. Not only is there no one at the top to challenge the often-mercurial Ellison, there is no clear successor to take over in an emergency.

これまで上手くいったのはLarry Ellisonの野生の勘。ここぞというときに大きな流れを読んで、重要な決断ができたので今に至ったが、年齢とともにそういう野生の勘というのはなくなってくる。代わりに判断力、統率力みたいなものを増していかないとならない。「年の功」というヤツである。しかし、Larry Ellisonはいまだに野生の勘で突っ走っている。果たしてOracleはいつまでそれを持ちこたえられるのか。

Larry Ellisonの野生の勘といえば、昔新日鉄の人に聞いたのだが、一時期新日鉄とOracleは合弁でOracle Japanを作ることになっていた。ところが、その調印式に出席するための飛行機の中で、突如Larry Ellisonの気が変わり、日本につくなり「やっぱりヤメタ」と話は御破算になったとのこと。「素晴らしく正しい決断だ」と新日鉄の知り合いは感心していたが。(突如断られた新日鉄は大変だっただろうが・・・・)

ちょっとblogでは書けないのだが、Larry Ellisonに関するとんでもない噂話は一杯ある。どれくらいすごいかというと、ローマの暴君Caligulaのコーポレート版とでも言う感じ。

Caligulaといえば、最近その邸宅が発掘された。CastorとPolluxという軍事の神様を祭る神殿を取り込んで作られており、まさに神をも恐れぬ異常なつくり。やはりCaligulaは誇大妄想的暴挙を繰り返したという噂は本当だったか、と注目されている、というのはSan Jose MercuryのStanford team’s discovery sheds light on Caligulaです。

Silicon Valleyの空洞化-続き

Silicon Valleyで職探し中の方からこんなメールを頂いた。

Silicon Valleyの空洞化はまさに感じていたことを言葉にしてもらった感じです。San Jose Mercury Newsも読みました。

Webで広告している電子通信関連の求人を見ればすぐわかりますが、「スーパーエンジニアを求む」としか読めません。エントリーレベル、ジュニアレベルを見つけることは困難です。したがってアメリカ人の新卒も相当苦労しているようです。

特にスタートアップはずば抜けた人しか雇いませんね。以前からそうでした。

スーパーエンジニアのマーケットは確かに存在します。これからも存在しつづけることでしょう。しかし問題はスーパーエンジニアになるまでのキャリア形成を行う土俵がアメリカに少なくなりつつあることです。

私の勤めていたシリコンバレーの大企業は製造が東南アジアに移管することで、真っ先にプロダクション関連の人が減りました。製造に携わるジョブマーケットはどんどん縮小していることはもう常識でしょう。ソフトの開発もすでに移管中です。ソフトの外注管理はまだしばらくアメリカにあるのかもしれません。ソフトの設計を習得するならインドです。しかしソフトの設計、プログラミングをしたことのない人間がソフトの外注管理などできるものでしょうか。

製品設計、開発も外に出て行っています。中国では生産だけでなく、設計も活発です。ソフトだけでなくハードも海外です。あちこちのソース(互いに関連なし)から聞いた情報もそれを裏付けています。

しかしアメリカはまったく空洞化してしまうことはありません。軍事関連のハイテク産業は外に出て行きません。新卒はそこでスキルを鍛え、やがてスタートアップなどの先鋭的なエンジニアリングに挑戦すればよいのでしょう。アメリカ国籍のない日本人にはこういうことはできません。

もしかしたら、インドや中国で就職し、エンジニアとしての技術を高め、その後アメリカで就職するのが今後のながれになるのではないでしょうか。現に私の友人(携帯電話のソフトエンジニア)はフランス、日本、アメリカ、日本、中国の順で職場を渡り歩いています。」

一方で、最近シリーズAのファンディングを受けたばかりで、まだ10人くらいのベンチャー2社の人たちが、異口同音に「良い人が雇えない」とぼやくのを聞いた。いずれも、Mobiusとか、MayfieldとかBessemerとか、メジャーどころのVCから投資を受けているにもかかわらず、である。どちらも「スーパーエンジニア」を探しているのだ。いわゆる「スターエンジニア」という人たちである。彼らいわく

1)ぴかぴかの人は引く手あまたであり
2)既に何度か成功している経験者は、ファウンダー並みのストックオプションでも与えなければ来てくれない
3)一方で、失業中の人は山のようにいるので、採用情報を出すと莫大に応募が来てしまうが、スターエンジニアの絶対数は限られているので、応募数が二倍になったからスターエンジニアの応募も二倍になるわけではない(一人は「Noise-to-Signal ratioが悪い」と表現していた)

雇用側、雇用される側、同じことを言っているわけだ。

エンジニアじゃなくても、かなりスターじゃないとなかなか仕事を見つけるのは難しい。例えばNeoterisという会社で知り合いがプロダクトマネージャを募集している。条件はこんな感じだ。

■Must have 3+ years of product marketing experience in the remote access, enterprise applications, security, or networking space and knowledge of emerging web infrastructure technologies.
■Must have managed 5+ releases through the entire lifecycle from definition to pricing, sales support, and deployment.
■Must have demonstrated successful experience managing product strategy for a similar company and/or in an emerging market.
■Must be able to excel in a fast pace, startup environment where action and initiative are prerequisites to survival.
■Excellent written, verbal and presentation skills.
■Strong technical and market knowledge of the networking and security technology spaces.
■Proven analytical and problem solving skills.
■Must have a BA/BS degree, MBA preferred.

初心者お断り、なんである。(ちなみにNeoterisは盛大に雇用中。同社のサイトにあれこれ乗っているし、加えて、な、な、なんとMountain Viewの映画館で採用広告まで出していた。バブル期はあきるほど採用広告が映画の前に流れたが、バブル崩壊後、ベンチャーでは初めてではないだろうか)

今日、Electronic ArtsでVP Technologyをしている橋本さんとランチをして、以前何度か私のblogにコメント頂いたShiroさんの話になった。Shiroさんは偶然私のblogを見つけていただいたのだ(と思う)が、もと橋本さんと一緒に働かれていたのである。・・というのは、以前橋本さんの話をblogに書いたときに判明した。Shiroさんはハワイ在住。橋本さんいわく、「ShiroにぜひともEAに来て欲しい、とラブコールを送っているのだが、なかなか来てもらえない。腕一本でどこでも引く手あまたの凄い人材なのに、、、」と残念がっていた。

やっぱりこういう風に前の職場の人に見込まれて引っ張ってもらえないと厳しいんだなぁ・・・・。

エッセーの自動採点

For Student Essayists, an Automated Grader

エッセーをインプットすると、アーラ不思議、自動的に採点結果が出るというCriterionというソフトウェアの話。e-raterというエンジンで動く。

According to the Educational Testing Service, 104,000 students and 2,700 teachers are using Criterion in 535 schools, primarily in the United States; four-fifths are middle or high school students, and the remainder are at colleges or universities.

既に広く使われている。

To develop a model, e-rater must be trained on 450 to 500 essay responses scored by two professional readers based on a rigorous scoring guide.

まず、450-500件のエッセーをプロの読み手に読ませてスコアをつけさせる。で、それを機械に読み込ませると、ふむふむとその特徴を学んで、それをまねして他のエッセーも採点できるという仕組み。

“If the human scoring is inaccurate, e-rater will make an inaccurate judgment on the writer,” said Marisa Farnum, the writing assessment specialist and product manager for Criterion at the testing service. “It’s only as good as the human scoring it learns from.”

元の人間の読み手がイマイチだと、それに基づいて作ったロジックもイマイチになるという当たり前のことが起こる。

For example, it tends to reward very long essays, an inherited bias from human graders who tend to look favorably on longer rather than shorter responses.

例えば、長いエッセーは中身のいかんに関わらずいい点になる傾向が強いと。しかし、それは人間の読み手には通常そういうバイアスがあるらしい。なんとなくわかる気がする。

For example, a high score almost always contains topically relevant vocabulary, a variety of sentence structures, and the use of cue terms like “in summary,” for example, and “because” to organize an argument. By analyzing 50 of these features in a sampling of essays on a particular topic that were scored by human beings, the system can accurately predict how the same human readers would grade additional essays on the same topic.

具体的には、「高い得点のエッセーに頻出する単語」など50のポイントでスコアしているんだそうだ。in summaryとかbecauseとか書くといい点になるのだ。
*****
ひどいじゃないか、と思うかもしれないが、試験なんてこんなものだ。ほとんどの試験は、パズルかゲームだと思って攻略法を考えることで結構いい点がとれてしまう。例えば、幾何の問題で角度の問題が出たら、相当の確率で答えは30度だった。(でなければ60度)。それ以外の答えが出る問題を作るのが難しいということもあるだろうが、わからなかったらとにかく30と書いておけば間違いない。

GMATというビジネススクール受験用共通テストの、グラマーのテストなんかは究極のゲームであった。3択か4択で、似たような表現の文章からグラマーが間違っている文章を選ぶ、というものなのだが、「頻出する間違い」というのが10個ぐらいあってそれを覚えておけば7割がたできてしまう。例えば「being」が文章に出てきたら、まず間違い、とか。(becauseを使って書き換えてある文の方が好ましいらしい)「between A to B」というのもあった。(もちろん正解はbetween A and B)。困ったことに時々一つの選択肢のセットの中に間違いが二つあることもある。ところがよーく過去問を見てみると、「間違いの強弱関係」というものがあることがわかる。その強弱関係は固定的な順列になっているので、「間違いの順位表」を覚えておけば、それでOK。(beingがbetweenより強い、とか)「間違っているものは間違っているのだから、それに強いも弱いもない」と憤慨したりせず、「ふむふむ、こういうルールのゲームなのだな」と思って攻略する。それだけだ。

しかし、このプロセスは「どこにも正解がない問題をどうやって解くか」という実際の社会での問題には全く役に立たないことは明らか。役に立たないからこそ、ついつい一生懸命やってしまう、というオタク的側面もあるのだが・・・・。

Antioch Church

家から車で5分ほどのところで”Antiochian Orthodox Church”なるものが、フードフェスティバルを行うというので行ってみた。Antiochとは何ものぞ、と思ったのだが、中世の戦争ゲームMediaval Total Warに入れ込んでいるダンナいわく、ゲームの地図によれば、イスラエルの北、ギリシャの東のほうにAntiochという国か街がある、とのこと。となれば、食べ物はシシカバブとかファラフェルか?と当たりをつけて行ってみたところ正解。

驚いたのは、集まっている人の多さである。ギリシャ人ともイラン人ともつかぬ濃い顔の人々が数百人は優にいる。(アジア人は我が家のみでありました。)感じとしては、日本の地元のお祭り。屋台が出て食べ物を売り、子供たちは別のコーナーでゲームをし、ステージがあってくじ引き抽選会(ハワイ旅行が当たるのだ)をしている。それにしても、Antioch正教会、なんていうマイナーそうなものにこんなに人が集まるとは、、、、。恐るべしシリコンバレー、である。

家に帰ってさらに調べてみると、Antiochは今のシリアあたりのようだ。ただし、おなじみのCIAの情報玉手箱World Fact Bookによればシリアは基本的にはイスラム教国家でキリスト教徒は10%しかいないらしい。それにもかかわらず、Antiochian Orthodox Christian Archdioceseのサイトによれば、アメリカ国内だけで150もの教会がある。

世の中知らないことがたくさんあるものだ。外国に住むというのは本当に奥が深いのである。

恐怖する力?

梅田さんのblogに参照していただいたので、お返しにTrackbackしました。梅田さんのblogの中身は、

「仕事仲間の渡辺千賀が、そのBlogで、「Silicon Valleyの空洞化」という怖い話を書いている。彼女が参照している記事は同じくサンノゼマーキュリーニュースの「Some technology jobs head abroad — and they may not be coming back」であるが、記事の原文よりも彼女のBlogのほうがうんと怖い。」

ということで、私の書いた下の文章が怖い表現らしい。
「グローバルに仕事が移転する時代では、ある時首を切られて、それ以降全く仕事がなくなってしまう、ということが十分起こり得る。

なんというか、海辺の絶壁を想像してしまう。水際ぎりぎりにぽっかり横穴が開いていて、その中で安穏と暮らしていると、だんだん潮が満ちてきて、海の水がじわじわと穴の中に入ってくる。今にまた潮が引いて、元通りの安穏とした暮らしに戻れるのではないかと思って耐えているが、ついに水は腰の辺りを超え、首あたりまで来る。どこかで決意して、荒海に泳ぎ出て、さらに上のほうにある穴によじ登った人だけが生き残ることができる。」

怖いですかね?私はいつもこんな感じの発想なのだが。そういえば、就職して3-4年たったところで、「全然スキルアップしていない」と深甚たる恐怖に襲われた。しかし、何をどうしてよいかわからずにいたところ、たまたまBoston – Palo Alto出張というのがあった。Bostonは滑走路が凍結していたが、Palo Altoはうららかな初夏の気候で、当時働いていた会社からスタンフォードのビジネススクールに留学中の人に会う機会もあった。彼はスニーカーをはいてTシャツにジーンズで登場した。その瞬間「私もスニーカーをはく暮らしに戻りたい」と強烈に思った。(当時はケバかったので、毎日ボディコンスーツにハイヒールだったのだ)

で、日本に帰って出社したら、机の上に「ビジネススクール派遣生応募要綱」なる人事からのお知らせがあって、見たらその日が締め切りだった。その場で適当に応募の理由を捏造して、人事に送ったところ、運良く選考を通って今日に至るのである。運がよかった、といえばそれまでだが、そもそも「このままではいけない」という恐怖を感じていたから、その場で決断できたのだろう・・・怖いと思うのも才能のうち、かな?

PeopleSoftとM&A

PeopleSoftがアナリスト向けの発表をして、ドラスティックな人員削減と、華々しい利益ゴールをぶち上げた。
CNet:PeopleSoft details layoff, product plans
San Jose Mercury:PeopleSoft to trim up to 1,000 jobs

もちろんOracleの敵対的買収対策である。アメリカの会社経営というのは緊張感がある。Oracleに買われるより、PeopleSoftとして存続した方が、ずっといい、ということを株主にアピールしようと必死なわけで、Conwayは「If there’s ever been a better opportunity for a software company, I’ve never seen it」と。そこまで言うか。しかも、「なるべくがんばります」では誰も納得しないので、従来以上の数値目標を掲げざるを得ない。掲げた以上、そこに向かって走っていくしかない。

前にも書いたが、Oracleは競合であるPeopleSoftを叩き潰すためだけに買収をしようとしている。Larry Ellisonは、「一旦買収したらPeopleSoftの製品は全てつぶして、人も全員切り、顧客ベースだけ頂く」と公言しており、それを受けてPeopleSoftのCEOのConwayは「『お前の犬を10ドルで売ってくれ。すぐ撃ち殺すから』といわれているようなものだ、誰が売るか」と応戦。(対してEllisonは、「Conwayと、Conwayの飼い犬が一緒にいて、どっちかを撃ち殺すとしたら、それは犬じゃないのは確かだ」などとさらに応戦。。。子供みたいだ。)

「Conwayは一度Oracleに身売り話相談に来たんだぜ」などとLarry Ellisonはインタビューで暴露してConwayを激昂させたりしているようだ。ちなみに、Larry Ellisonは突然Tom Siebel(Siebel Systemsの社長ですね)に電話して「うちのCRM部門のトップにならないか」と言ったこともあるという噂だ。この3人はみなOracleで直属の上司部下で働いた関係。

かようにOracle人脈(特にセールス出身者)はシリコンバレーのエンタープライズ・ソフトウェア業界を牛耳っているのだが、しかし、これはまたこの産業の弊害にもなっているのでは、という説がある。というのも、Oracleといえば、営業同士の競争が厳しいので有名。が、それゆえにOracleのセールス出身者は成功者としての強烈な自負心を持つのに加え、周囲からのrespectを集めている。そうした人たちが、「成功体験者」としてOracle流セールスプラクティスをシリコンバレー全域に広めた。おかげで、「エンタープライズソフトウェアのセールスといえば、攻撃的でうかうかしていると食われてしまう」という認識が客側にも根付いてしまい、セールス活動が闘争的になりがち、というのは知り合いの嘆き話。。。

余談だが、Larry Ellisonといえば、Charlie’s Angelに出てくるサウナで殺されてしまう少々間抜けな役の男は、明らかにEllisonがモデル。大金持ちで、ハイテク企業の社長で、日本趣味、傲慢だけどちょっとギャグ、というもの。本もののEllisonは日本で女子大生と遊ぶのがお好きという噂もある。京都で芸者さんと遊ぶ会をセットしようとしたら、芸者より女子大生がいい、と言われたとか言われないとか・・・・・。噂は噂なので、鵜呑みにしないで下さいませね。

車を売る

最近新しい車を買ったので、今日これまで乗っていた車を売った。売った相手はGoogleのScientist。2001年にスタンフォードでPhDを取ってGoogleに入社したんだそうだ。中国系イギリス人、というベイエリアらしいインターナショナルな人であった。彼が入社した当時のGoogleは200人くらいだったとのこと。前にBlogでも書いた熊的体力の友人のRayのことも知っていた。ちなみにRayはCraig Silversteinの次に入社した社員だが、今もまだ長期休暇中。

さよならー、といって去る車のバイヤー氏に手を振りながら、「来年にはGoogleも上場するかと言われているが、そうすると、数千人が車やら家やらを買い始めるのだろうか。それは、不動産市場にどれくらい影響するのだろうか。」などと卑近なことを考えてしまった。

ちなみに、アメリカでは車の個人間取引はごく日常的に行われている。ディーラを経由するより高く売れる・安く買える、からだ。買い手が自分でメカニック(修理工)に持ち込めば、故障していないかどうかチェックしてくれるから危険も少ない。(私自身は、とりあえずその辺をちょっと乗ってみて、エンジン音とかステアリングの感じが大丈夫だったらメカニックに持ち込まずに買ってしまうのだが。)

価格も、詳細に見積もりができる情報源がある。例えばKelly Blue Book車種、年次、走行距離という基本情報に加え、色、エアコン、パワーステアリングから、ステレオのレベル、プレミアムホイール、などなど、ありとあらゆるオプションをインプットすると、細かい査定が出てくる。

こうした情報をきちんと利用すれば、買う方も売る方も不安がない。情報をオープンにするとマーケットが活性化し、最適状態が訪れる、というののよい例だ。

プロセスは、というと、先週末にCraig’s Listに情報を掲載して、翌日連絡があったGoogle君とちょこちょこと交渉して、今日引き渡しが済んだ。さくさくと物事は進み、まるで「一週間の歌」のようであった。(シュラシュラシュラ、というあれだ)

ちなみに、Craig’s Listは、これだけで恋愛相手から、住む所から、家具から、車から仕事まで、全ての生活情報がただで入手できてしまう恐るべき情報集積掲示板である。ベイエリアに住んでいる人は必見。(他の地域のバージョンもあるが、どれくらい情報が充実しているかは不明だ)もう少しすると、このサイトを運営している偉大なCraigさんのドキュメンタリー映画までできるらしいぞ。

ニンジン化現象

子供の頃、「赤い靴」の歌の歌詞の「異人さんに連れられて・・・」というところを「ニンジンさんに連れられて・・・」だと思っていた。葉っぱのついたニンジンが巨大化し、スーツを着て、赤い靴を履いた女の子の手を引いて連れて行くところを想像し、「それは怖い」と思っていた。

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最近、私自身のニンジン化が進んでいるのではないかという気がする。日本的なものに共感しにくくなり、アメリカ的なものが自然に感じられるようになってきたのだ。

日本の週刊誌などを見ても「なんだかみんな大変そうだねー」という遠い感じだ。一方で、アメリカに住み始めた当初は「なんてドライで恐ろしい」と思った映画を久しぶりにDVDで見たら、それほどドライに感じられなくなり、「そういうこともあるよねえ」という感じになってきた。

例えば、政府の特別麻薬担当官の娘が麻薬におぼれる話のTrafficという映画とか、有名になりたいだけで連続殺人を犯す移民が出てくる15 Minutesとか。なんて乾いた異常さなんだろう、と最初は思ったのだが。

とはいうものの、まだ完璧にニンジン化したわけでもないようだ。

先日日本から親戚が遊びに来ていたのだが、9歳の甥がある映画を説明してくれた。彼いわく、
「例えばMatrixだと、バンバン撃たれても全然死なないけど、その映画は一発撃たれただけで死んじゃうんだよ」とのこと。
なんのことやらと思ったのだが、実は恋人が討たれて死ぬという悲劇的恋愛映画のことなのであった。恋愛の部分は全然心に残らず、一発撃たれただけで死ぬ、というところだけ覚えているとは、子供とはいえまさに男的感性だと笑ってしまったのだが、生粋のアメリカ人であるうちのダンナは
「間違って小学生の子供が銃を持ち出して友達や家族を殺してしまったりする事件が時々あるけれど、なるほど、Matrixみたいな映画をたくさん見た子供たちは『一発撃ったくらいでは死なない』と思ってるんだな。危険だなぁ」
という感想で、それはいたって「アメリカ人的感慨」だなぁ、と思った。

ということで、そこまで私はまだニンジン化してないようであります。

R&Dのマーケットプレース

Innocentiveという面白い会社がある。製薬大手のEli Lillyが出資して作られたスタートアップで、フリーランスの研究者と企業のR&Dのマーケットプレースを運営している。

世界125カ国に広がる2万5千人の研究者がsolverとして登録されている。(サイトは、中国語、ロシア語、ドイツ語、スペイン語、英語、となっている。日本語はありません。)企業側は、R&Dの課題を2000ドル払ってポスト、問題が解けた暁には数千ドルから10万ドルの懸賞金を払う、という仕組み。ポスト料に加えて、InnoCentiveは懸賞金の60-100%を受け取る。今までの実績では、40%の問題が解けたそうだ。

もちろん問題がピンポイントに明確化されていなければ使えない仕組みだが、世界の知恵をあまねく活用するという意味で面白い試み。研究者側のインセンティブは、先進国では腕試しが主だが、中国やインドでは懸賞金も魅力的で、7万5千ドルの懸賞金の問題に、インドの会社がチームを作って挑戦したこともあったとのこと。

ミスミという日本の会社は、人材のオープンマーケット制をとったことで有名になった。必要な人材があるときは、社内外両方から広く募集することで人事を活性化する。同様に、InnoCentiveを使ってR&Dを活性化、というのも楽しそうだ。(これまでのんびりやってきた社内の研究者にはつらく苦しいかもしれないが)Innocentiveと似たような会社でNinesigmaというのもあります。