シリコンバレーメシウマ事情

最近、シリコンバレーに長期・短期やってきた日本人に

「来てみて意外だったことは何か」

と聞いたところ、複数人が

「食事が結構美味しい。どれだけひどいかと思っていたのに」

とのことでありました。


「幸せとは、期待値と現実の差分で決まる」というのは私の座右の銘。同じ現実でも、期待が低ければ幸せになれる。だから、「食事が結構おいしい」というのも、「ひどいと予想していた」という期待値がベースになっているせい、と言ってしまえば元も子もないのであるが、実際のところ、結構美味しいんですよね。

だいたい、アジア系が多いのでアジア料理のレベルがどれも高い。

たとえば、中華とフレンチが合体し極めて優秀なベトナム料理。サンノゼのベトナム移民数は全米最大なので、その豊富な客層向けにピンからキリまでありま す。ベトナム麺のPho(フォー)専門店もたくさんある。ビーフベースのとチキンベースがありますが、どちらも美味。日本から飛行機でサンフランシスコに ついてそのままPho屋さんに直行したことも何度か。

Pho Ga at Annam
San JoseのAnnamのPho Ga 。濃厚なチキンコンソメに細いライスヌードル

また、わたしは「前世インド人では」と疑うほどインド料理が好きなのだが、インド人も多いので、いろいろなタイプのインド料理が食べられる。ベジタリアン専門インドレストランもあります。客はインド人ばかりのディープな世界。(ウェイターに「ここはベジタリアンインド料理屋なのだが、あなたたちは間違ってきてしまったのではないか」と確認されたことがありましたが、いえ、いいんです。)

もちろん中華料理も豊富なり。(私の中国人義理両親は、ロサンジェルスに比べるとイマイチだ、、、とは言ってますが)。

とはいえ、日本人の中には、本格的な中華はスパイス(八角とか)や香菜がきつくて苦手な人もいることでしょう。そういう人には、和風中華料理屋もあります(餃子にビール→酢豚に八宝菜、みたいな展開が可能)。

もちろん和食屋もたくさんあります。ラーメン屋に炭火・地鶏の焼き鳥屋、寿司屋に懐石までいろいろ。

ヒスパニックの人も多いので、メキシコ料理屋も豊富。

Consuelo
San JoseはSantana RowにあるConsueloのGuacamole。テーブル脇で好みに応じて作ってくれます。

あ、あとアメリカと言えばステーキ屋。Alexander’s Steakhouseは入ったところにガラス張りの冷蔵庫があって、様々なカットのステーキ肉がこれでもかとばかり置いてあるが、それを見るだけで壮観。

また、ベイエリアは、ローカルフード(近くで作ったものを食べる)ムーブメントの中心でもあるので、ローカルの農家から仕入れた材料だけで、その素材を生かした料理を作るレストランも数々あります。

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そして、カリフォルニアが本領を発揮するのは自炊。

世界でも有数の農産地なのに加え、単なるオーガニックを超えた地球に優しい農業・酪農のトライアルが行われる地でもあるので、そうした中から生み出された激ウマな材料が入手できます。これは、もう目を見張るレベル。

まず、入手できる野菜の種類がとんでもなく豊富。パプリカ(ピーマン?)だけでものすごい種類がある。メキシコスーパーに行くと唐辛子が何十種類もある。

果物は、旬になると、もう、びっくりするほど美味しい。

イチゴとか桃はひれ伏すレベルです。千疋屋の一個500円(でしたっけ?)のイチゴが平凡に感じられるほど、濃厚な味でジューシーなイチゴが1〜2週間ほど産地直送ファーマーズマーケットに出回る。しかも、旬で大量に取れるので安い。(ちなみに、イチゴはオーガニックの方が圧倒的に美味しいと思います)。

ただし、ここはアメリカ。なんでも、そこそこ美味しい範囲に収まっている日本と違って、美味しいものも極端に美味しい一方でまずいものも極端。どこで買っても適当に美味しい、という訳には行かないのでした。ちゃんと美味しいお店(や農家)を選び、旬を逃さないように買わないと駄目。サンフランシスコ市内だどBi-Rite Marketなどよろしいかと。でなければ、近くのFarmers’ Marketへ。(週一で農家が集まって直販する。Mountain Viewのは酪農家や漁師さんも来る)。

とある週末のMountain View駅前のFarmers’ Marketでのお買い物

写真を見て思い出したが、トマトもすごい美味しいです。超美味しい。野性的な味からスイートなものまで、いろいろある。

私はトマトが大好きなので、これだけで幸せな気持ちに。

 

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日本の皆さんが、どうして(シリコンバレーを含む)アメリカは食事がまずいと思っているかというと、多分3つの理由がある

1)たまたま食べた激マズなモノの話が広まる

日本に行って、生卵かけ納豆ご飯を食べさせられた外人が、「日本人はとんでもないものをたべている」と言って回るのと一緒ですね

2)日本で知っている美味しいものが無い

つるんと手打ちそばに揚げ出し豆腐、鮎のフライで日本酒を一杯、、、、なんてのはさすがにない。そういうものを求めるとがっかりします。

3)アメリカにしかない美味しいものを知らない(もしくは、それを味わう感性が発達していない)

人間、それまでの人生で一度もたべたことのないモノは食べたいと思わない。そして食べたとしても、それを美味しいと思うのにはちょっとした慣れが必要なことが多い。

 

その辺を乗り越えると、なんと言っても原材料が美味しいので、かなりハイレベルな食事が可能になります。

 

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ファーマーズマーケットで「それはなんですか」と英語で聞けるようになろう↓

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シリコンバレーメシウマ事情」への7件のフィードバック

  1. ケーキとかスイーツのレベルが低くないですか?
    最後のデザートでがっかり、みたいな。

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  2. “USメシマズ説”のひとつの理由は、レベルの分散が大きいことではないかと疑っています。特に下限。
    日本ではどんな店にふらりと入ってもそれなりにうまいものが出てきますが (ハズレがない)、USで何も調べずに適当に入ってハズレだともう途中で席を立たざるを得ないような場合が。口に合わないとかそういう話以前の段階で。
    もうひとつは、「USには各国からの料理が集まっているが、各国出身の人は母国のそれと比較してしまい、その基準では低ランクのものが多くなる」ということ。私が美味いと思ってる韓国冷麺やフォーの店も、それぞれ韓国出身とベトナム出身の人に言わせると別にどうってことない(まずくはないけと美味くもない)という評になります。

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  3. アメリカの料理がまずいと思われている、もう一つの原因は時代と地域もあるのではないかしら。私の家族は70年代後半にニューヨークに住んでたけど、あのころはパン一つにしても、その辺のスーパーで売ってるのは、まずかった。やはり所謂WASPでない人々の経済レベルが上がり、そういう人々のニーズに合わせて、食産業のレベルがアップしたのでは? 

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  4. アメリカの食事のまずさは中西部の田舎に住むと良く分かります!イタリアンのレベルの低さなど想像を絶します。特にローカルの古い店は。フレンチその他の洋食もひどい。和食は60年代の場末の定食屋風ならあります。中華は稀においしい店もあり。エスニックは相対的にはましです。イチゴ?味のしないやつしか売ってないです(U Pickなら別ですが)。
    そして、初めてベイエリアを訪れた時に行ったレストランの食事の美味しいこと!ああ中西部だけがアメリカではなかったのだ、と思いました。今も中西部に住んでますが…。

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  5. もう一つあるかなと思うのは、USでは高級店がイマイチ期待に及ばないことが多い気がするんですよね。
    旅行者は、ハズレを引きたくないので、この店なら間違いないだろう、という格式の店に行くのですが、そういうところに限っていろんな意味で「んー?」という感じだったり。一時期、そっち路線を攻めてたことあるんですが、French Laundryに行き着くまでそのパターンが多かったです。
    いい店って、ほどほどにチープなところに多い気がします。が、そういうところはカンが磨かれてないと見つけられないという。
    そうこうしているうちに、yelpのブックマーク件数が800を超えました。。。hit率は3割ぐらい。

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  6. 日本で「何食べに行こう?」という会話になった時、料理名を言いますよね。
    とんかつ、カレー、すし、鍋とか。
    アメリカだとそういった会話では国名になりますよね。
    イタリアン、タイ、日本、ベトナミーズとか。
    面白いなぁって思いました。

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  7. 中西部の話が出たので、ちょっとだけ弁解。同じ中西部の田舎でもでもラオスからベトナム戦争以後逃げてきた、モン族がいる地域はかなり救いがあります。モン人がやっているレストランだと、ベトナム料理のフォーみたいなスープ麺やら、タイカレーみたいなのやら出してくれるし、同じ炒め物でも、ちゃんとしてるし。私と同じ街に私よりずっと長く住んでる日本人とか、「モン人が経営する最初のレストランが開店してから、僕の人生は大きく変わった!」と言っていて、私も、そういうお店で、お客さんの大半がアジア人とかいう環境にいると、ホッとします。

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