Googleはなぜラジオに進出するか

昨日、GoogleがDMarcというラジオ広告代理店を買収することが発表された。取りあえず最初に$102 million、今後マイルストーンが達成されればトータル買収額は$1.13 billionになるという、結構なお値段。

DMarcは、ラジオに広告を出すプロセスを自動化しており、AdWordsラジオ版。San Jose Mercuryの記事では「Google Voiceとか、AdVoiceという名前になるんじゃない?」とのこと。

「オフラインとオンラインの融合」
「Googleのメディア企業化」

といったフツーの議論は当然あちこちでされてることと思いますが、その前に

「なんでラジオ?」

という疑問はなかろうか。

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ラジオといえば、最近Howard SternSirius衛星ラジオに移籍、大騒ぎとなっている。

アメリカには今二つの衛星ラジオ局がある。先発で加入者数の多いXMとSirius。いずれも存続が危ぶまれた時期もあったが、最近では確固たるメディアとなった。で、SiriusがXMに打ち勝つための秘策として繰り出したのが、人気DJ、Howard Sternの獲得。

「人気DJ」というとかわいらしい感じだが、Howard Sternは、放送禁止用語続出の直截かつ下品な表現で知られ、「shock jock」の通称で呼ばれる強烈な人。だが、その強烈さゆえに熱狂的ファンがいる。

(以上、全て又聞き情報。私は3年前書いた時から今に至るまでXM Radio所有ゆえ、Siriusの放送内容は不明。)

これまでは、清教徒的厳格な倫理規定を持つFCCから目の敵にされ、1回の放送で70万ドルを超す罰金を課されたこともあるSternだが、衛星ラジオはFCCの管理下にないため、今後は野放し状態。

して、SiriusがStern獲得に費やすコストは、最初の5年間で推定$600 million!!! 600億円超です、600億円。内訳は、キャッシュと株。キャッシュは5年間で、毎年$80 millionずつ。株は、当初$100 million相当だったが、Sternとの契約を結んでからSiriusの株価は倍増したので、既に$200 million超となった。

Business Weekの試算によれば、SternがSirius専属になったことで、125万人がSiriusに新規加入、初年度だけで$137.5 millionの加入料が生み出されるそうな。5年間差し引きで、当初の予定の$500 million払った後でも、$50 millionの利益がSiriusには残ることになるとのこと。

それにしても、
「ラジオ放送の市場って、1人の人間に600億円払うほどあるわけ?」
という疑問はなかろうか。
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が、しかし、アメリカでは、ラジオは生活に溶け込んだ重要なメディアなんです。みんな車を運転、その間聞いてるので。

こちらのサイトによれば、昨年上半期の
アメリカのラジオ広告市場は$5
billion強。クリスマス商戦のある後半の方が広告費は多いのではないかという気もするが、単純に2倍しただけでも年間$10
billion超、日本円にして1兆円。

一方、日本のラジオ広告市場は2000億円弱ということだから、5倍超。人口が2倍という点を差し引いても、1人頭約3倍
ということになる。

(ちなみに、衛星ラジオの加入料はこれの外側。XMとSiriusの売上は、2005年の7-9月期でそれぞれ$150 millionと$70 millionなので、単純にこれを4倍すると2社合計$880million。ずんずん伸びているので、まずは$1 billion市場というところか。)
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というわけで、所変われば品変わる、アメリカではラジオは割と大きい市場なんです、という話でした。

余談ながら、アメリカでPodCastingが大騒ぎされるのも、こういう背景があるということも大きい。もともとラジオ市場が小さい日本でどれくらい普及するんでしょうね。

Googleはなぜラジオに進出するか」への6件のフィードバック

  1. こんにちは。ぶらぶらです。アメリカのラジオは大きな市場なんですね。日経産業新聞でシリウスの記事を読んで、その額の大きさにびっくりしましたが、チカさんの説明で背景がよく理解できました。私もラジオが好きで、平均的な人よりはよく聞いている方だと思います。
     私は大阪の隣、尼崎市に住んでいます。まあ、JR西日本の脱線事故やクボタのアスベスト問題など、ネガティブな問題で有名になり、知っている方も多いかもしれませんね。ちなみに、尼崎市の市長は、元スチュワーデス(今は、キャビンアテンダントかな?)で、日本では珍しい女の市長さんです。
    話が脱線しましたが、ラジオに話を戻します。関西のラジオ界で大物といえば、浜村淳です。毎日放送(MBS)で放送されている『ありがとう浜村淳です』は大阪のラジオ番組の中で、たぶん聴取率No.1のはずです。当日の放送分は、インターネットで配信しているので一度聞いてみてください。結構、面白いですよ。追伸、土曜日の分は配信されていないようです。残念です。
     この番組には、日経エンタテイメントでも紹介された名物コーナーがあります。それは、土曜日の『映画サロン』というコーナーです。浜村淳がもうすぐ公開される映画をCMなしで約40分間、解説していきます。これを聞くと、映画のストーリーのほとんどを知ることができます。一番最後はしゃべりませんが、本当に最後の最後の一歩手前まで語り尽くします。ですから、ストーリーを知りたくない人は絶対に聞かない方がいいです。ですが、しゃべりのうまさには感動します。
    あと、配信されているかは知りませんが、NHKのラジオ深夜便は、秋の夜長にピッタリといった感じです。眠りを妨げないように、ベテランのアナウンサーがゆったりとした感じで語りかけます。あと、個人的には、夜10時から始まるNHKジャーナルは分かりやすくておすすめです。
     学校のパソコンにマックが導入され、四月からはすべてのパソコンがマックに入れ替わります。ウィンドウズに慣れているため、戸惑うこともありますが、まあまあの使い心地です。ただ、心配なのは、全部マックになっちゃったら、ウィンドウズ・メディア・プレーヤーなどが使えなくなることです。まあ、勉学には影響しませんが。
     では、さいなら。

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  2. 8年前にアメリカから帰ってきて真っ先にやろうと思ったのが、「FMラジオ局をつくる」ということでした(即、挫折しましたけど)。アメリカみたいにクラシック専門局、ジャズ専門局、ニュース専門局と多種多様な局があって、好きなものを好きなときに聴けるって、日本のラジオしか知らない者にとっては驚きでしたから。
    ハードとしてのラジオはこれだけ普及してるのに、その活用ぶりはお粗末の一言に尽きますね、日本は。もったいない。

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  3. ぶらぶら-san、
    やぶ猫さんも言っている通り、アメリカってラジオ(特にFM)がたくさんあって、ものすごく層が厚いんですよね。
    やぶ猫-san,
    日本も、電車に乗っている間ラジオを聴く、という市場があってもよさそうなんですけど・・・。なんででしょうね。規制の問題なのか、ユーザー嗜好の問題なのか。

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  4. 日本では電車の中で携帯をいじっている、本や新聞を読んでいるっていうのが多いと思いますが、これらは車を運転していると難しいですね。車の助手席に乗っている人は携帯をいじれますが日本ほど面白い(?)携帯はないし、そもそも助手席は空いている車がほとんど。。。
    都内で地下鉄に乗っているとそもそもラジオが入らなかったりしますかね? 携帯は駅で使えるけど。とすれば、やはり携帯をメディアとした広告の方が電車に乗る人向けの広告市場が大きいってことでしょうね。ラジオは基本的に受け身だし、やはりできるのであればラジオより携帯や読み物かな。

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