ゲームは役に立つという話し再び

来週はゲーム業界の人がみなLos Angelesに集まるElectronic Entertainment Expo、通称E3が開催される。(E3に関するWiredの記事)それに先駆けて、San Jose Mercuryの今日の朝刊は「ゲームは実生活に役立つ」という話。このblogでも過去に触れましたが、もうちょっと詳しくゲームの効用を研究している人のインタビューなど載っていたのでご紹介。

Rosser, also the director of minimally invasive surgery, is a gamer who oversaw research indicating that surgeons adept at video games were less likely to make mistakes during certain forms of operations and suturing. The study, which used games that included sniper shooting (“Silent Scope”) and futuristic racing (“Star Wars Racer Revenge”), generated major publicity for games as possible teaching tools.

以前にTechnology Reviewの記事を引用したblogを書きましたが、その中に書いてあった、「ゲームをする医者の方が、手術のミスが少なくてしかも速いという調査」をイスラエルで行ったRosserのコメント。Rosse氏はMinimally Invasive Surgery(MIS)のディレクターだそうです。MISは、体を切り開かずに穴だけ開けてそこから器具を差し込んでする手術。腹孔鏡と呼ばれる管の先にカメラが付いたものなどを利用します。それ自体、ちょっとゲームの風情があるわけです。ちなみに、手術スキル向上に役立つゲームは、別に手術系である必要はなくて、狙撃ものでも、スターウォーズでもなんでもよいのでした。

Got Game: How the Gamer Generation is Reshaping Business Foreverという本の話の著者の話もあります。社会人2,500人の調査の結果、仕事での管理能力とゲーム経験には関連がある、ということ。いわく:

Among the findings: Gamers are better risk-takers, show particular
confidence in their abilities, place a high value on relationships and
employee input and think in terms of "winning” when pursuing
objectives.

(中略)

"They learn that they have to develop the teams, structure the
tasks and build rewards in very different ways than they might have
naturally,”

ゲームをする人の方が、リスクをとることができ、自分の能力に自信があり、人との関係や部下からの情報を大事にし、目的を遂行するにあたって「どうやって勝つか」という風に考える。さらに、チーム組成やタスク分担の方法、普通とはちょっと違ったモーチベーション向上の仕組みもゲームを通じて学んでいる、と。

「目的遂行=どうやって勝つか」というのは、ちょっと受験勉強風。解はどこかにあることが前提で、その解にいかにすばやく、効率よく、もっとも面倒くさくない方法でたどり着くかが受験勉強のコツだった、と思うのですが。

中学・高校・大学、と3回の受験を経て、社会人になったころには、すっかりこうした「スーパーマリオ型処世術」が身についていた私は、

「実社会には、解がないこともたくさんある」

と遅ればせながら発見。しかし、さらにそこからずいぶん時間がたって思うのは、

「とはいっても、実は解があることの方が、ないことより多い。また、解がなくても、とりあえず解をひねり出して、それに向かって行動をとることで問題解決されることも多い」

ということ。つまり、考え続けていてもどうにもならないこともたくさんあって、そういう時は、とにかく少々強引であっても、「こうだ」と決めて進むことで、見えてくることもたくさんある、と。そうして見えてきた情報に基づいて、より正しい解に近づいていくことができるのではないか、と。

受験勉強もゲームもそれなりに効用があるということでしょうか。(単なる我田引水かもしれないですが)とはいっても、もちろん、どちらもそれだけやっていては廃人。何事も、過ぎたるはなお及ばざるが如し、であります。

ちなみに記事にはこんな一文も:

There’s a
growing interest in the workout value of dance games that require
strenuous activity to perform the fast-paced steps indicated on the
screen. The hallmark games are from Konami’s “Dance Dance Revolution”
series, and a PlayStation 2 and Xbox version of the arcade hit “Pump
It Up” is scheduled for release in August.

One of a number of intriguing projects involves the West Virginia
Public Insurance Agency, which is trying out DDR as a health and
fitness tool in conjunction with schools, juvenile detention facilities
and work-site wellness programs.

ダンスダンスレボリューションを運動器具として、学校や、少年院、企業などに導入しようとしている保険会社があるそう。アメリカの学校は、予算カットで「体育」がなくなるところも多く、ぜんぜん運動しない子供が増えており、肥満が激増中。ダンスダンスレボリューションを学校に設置して運動させよう、ということ。。。ゲームが保険で買える時代はもうそこに・・・(はまだないと思いますが)。

ゲームは役に立つという話し再び」への5件のフィードバック

  1. 日本では、何か事件や事故が起こる度に、
    ゲームやゲーマーが悪者になりますが、
    アメリカは前向きと言うか寛容ですね。

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  2. いやー、基本的にはアメリカでもゲームは悪者扱いだと思います。でも、ここはオタクの巣窟、シリコンバレーですから。。。San Jose Mercuryはシリコンバレーの社内新聞ですから・・。(Technology Reviewはオタクの巣窟、MITの学内誌ですから・・・)
    元の記事にもゲーム業界は普通は足蹴にされてる、とかかれています。
    “an industry that often is vilified as brainless and exploitative. ”
    ちなみに、元の記事へのリンクが抜けてましたね。こちらです。
    “As life skills, games are for real”
    http://www.mercurynews.com/mld/mercurynews/news/11617451.htm
    とはいうものの、大勢が「こうだ」というと、「違う」という人たちもたくさんあちこちに登場するのがアメリカ。ゲームの弊害が言われれば言われるほど、「ゲームは役に立つ」という人たちも登場するのではないでしょうか。
    本文の記事が出た直後には、American Stroke Associationが「卒中で体の機能が不自由になった人にビデオゲームを使った訓練をしたら効果的だった」という発表をしたという話もありました。
    Study: Stroke survivors increase mobility with virtual reality games
    http://www.mercurynews.com/mld/mercurynews/11631643.htm
    テレビで実際に、このゲームを使ったリハビリの光景を見ましたが、結構プリミティブなゲームでした・・が、よく考えたらハードコアに動き回るゲームだと、普通の人でもゲーマーじゃなかったらできないですね。いわんや卒中の人をや、ですね。

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