ペット医療ビジネス

アメリカに帰ってまいりました。日本での話はまたおいおい。まずはペットビジネス。

Business Week 6月7日号のThe 100 Best Small Companies堂々一位はPetMed Express。ペット向け薬品通販会社(オンラインと電話)。記事いわく

Our top company, PetMed Express Inc. (PETS ), forged a whole new industry by selling pet medications via e-mail, phone, or fax. Though now under pressure from veterinarians unhappy with losing this profitable business, the company has already become America’s largest pet pharmacy.

ということで、売上こそ8740万ドル、約100億円と小ぶりだが、過去3年間の売上増、利益増、株主利益率の総合点でトップとなった。(なお比較対象は、売上5000万ドル以上、15億ドル未満(55億円超、1600億円未満くらい)かつ市場価値が2500万ドル以上の公開企業)

ペット医療は最近伸びている事の一つ。

San Jose Mercuryの去年の記事Pets Get Photos With Santa, Holiday Itemsでは、ペット産業全体は310億ドル、3.5兆円とのこと。ペットオーナーの85%がペットににクリスマスプレゼントを贈り、16%は100ドル以上使うそうだ。ペットショップでは「サンタとペットの写真を撮るコーナー」が設営される。これ以外でも、ベイエリアには、老衰した犬・ネコの下の世話もしてくれて、ちゃんと遊ぶ相手もしてくれるデイケアセンターもある。

とはいうものの、このあたりはまだ理解の範囲内か。やはり注目は医療。人間並みのケアがある。我が家の近くのペット病院など、常勤の医師が10人以上おり、しかも24時間やっていて急患もOKという至れり尽くせりぶり。

Technology Review、2003年12月号のMedicine Goes to the Dogsによれば、獣医産業はいまや190億ドル、約2兆円強で、7年前の110億ドルから急増している。記事によれば、現在の獣医は、放射線科、癌科、心臓科など7000種類に別れているそうで、癌や腫瘍の手術など複雑な診断・治療が行われている。ペット保険も一部には出始めているが、基本的にはキャッシュ診療で複雑な手術ともなれば数十万円超。それでも、自分の子供以上にペットをかわいがる人もいるわけで、そういう人にとっては金には換えられない。

加えて、人間向けの医療行為は政府の許認可で規制されているが、ペット向けは緩いので、まず最先端の医療をペット向けで提供、そこからさらに人間に適用という流れも重要。獣医産業190億ドルは、アメリカの医療基礎研究の礎をなすNational Institutes of Health(国立衛生研究所)の総予算に匹敵し、この市場があることで、より一層医療研究・開発が進む、としている。

この「ペット→人間」を実践している会社にAbaxisがある。同社はまず獣医向け血液診断装置VetScanで市場に進出、6億ドルといわれる獣医の臨床診断市場(POC=point of careという。それ以外に、検査機関に送付してテストしてもらう方法もある)でトップになり、さらに今同じ技術を使った診断装置、Piccoloで人間向け臨床診断市場に参入している。VetScanは下の写真のような感じで、アルブミンだカリウムだ血糖だ、と人間でも普通の診断項目。
VetScan

fat_cat

このまま行くと、糖尿病をはじめ各種肥満病にかかりそうな我が家のデブネコ。ベッドの下で日がな一日惰眠を貪っている。今のうちにダイエットさせないと、恐ろしいことに・・・・。

ペット医療ビジネス」への4件のフィードバック

  1. うちの猫も急患で24時間営業の獣医さんにお世話になったことがあります。一週間ぐらい入院して点滴をしてもらっています。それぐらいの事はペットを飼っている人なら一度はあるみたいですが、猫が腎臓を患って余命が長くないと獣医さんに宣告された私の知り合いは、獣医科の名門のU.C.Davisへ愛猫を連れて行って、他の猫から摘出した腎臓を移植してもらったそうです。そして、臓器提供をした猫も家に連れてきて一緒に飼っています。
    私はいっくら可愛い猫ちゃんのためとはいえ、そこまでできるかなと考えてしまいました。ペットも尊厳死問題ってありますよね。

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  2. bobby-san
    犬だったらいいでしょうね、ペットジム。うちの猫、どうやったら動くんだろう。物に動じない猫ですので。
    Yuki-sanも言っているUC Davisでは、ペット専用ダイエット科みたいなのもあってプログラムを組んでくれるらしいです。
    Yuki-san
    犬の腎臓移植は聞いたことありましたが、猫ですか!しかも知り合いの方がやったとは・・・すごいですね。
    でもたしかにそこまでは・・という感じはします。。科学の進歩なのか、世も末なのか。難しいところですね。

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  3. chikaさん
    小さいときに犬を飼った事がありましたが、犬は飼い主に、散歩を毎日強要しますよね。飼い主さえしっかりしていれば、運動不足になる犬はいないと思います。あるいは人を派遣して、飼い犬を散歩させてくれるビジネスなんか成り立つかも。学生のバイトを登録させとけば、あとは営業するだけだし。
    猫は何度も飼っていました。我が家の猫は(田舎住まいで近所も気にしないため)普段は外で飼っており(犬に追われたり、夜間のお散歩や発情期の大冒険などで)運動不足という事はなかったと思います。猫はそもそも怠惰で気まぐれな生き物故、それでも運動させる為には、マタタビの匂いを染み込ませた偽ネズミを追いかけさせる運動トラックを用意するとか、木登りやジャンプさせるとか、そういう猫用のスポーツジムが必要ですね。ついでに飼い主も一緒に運動できればなおよろし。

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