カッコウの巣の小学校

シリコンバレーにCupertinoという市がある。Cupertinoは、公立学校のレベルが高いので有名だ。

なぜレベルが高いかというと、中国人がやたらにたくさん住んでいるからである。中国人の親は著しく教育熱心で、かつ子どもたちもまじめに勉強するので、彼らが増えると学校のレベルが上がる。しかも、Cupertinoに住む中国人の親たちは、大学・大学院留学でアメリカに来た人たちが多いため教育レベルが高いということもある。

また、アメリカでは公立学校のレベルが、学区の住宅地の値段にはっきり反映される。イマイチの住宅地にどっと中国人が流れ込んでくると、その地区の学校のレベルが上がり、結果的に住宅の値段が高騰する、ということが起こる。人生の全イベントを、キャピタルインベストメントと考える傾向の強い中国人にとっては、大変望ましい出来事でもある。

で、中でも、レベルの高いFariaという小学校の話がSan Jose Mercury NewsのCan-do school。Fariaは「カリフォルニア州で一番学力の高い小学校」という輝かしい栄誉を持っている。
(ちなみに、アメリカの教育改革は必死なものがあり、小学生から共通テストを導入して各学校のレベルを客観的に評価し、改善されるとボーナスを出したりしている。)

Fariaには、Cupertino市民であれば、誰でも応募できるので、100人定員のKindergartenに昨年は781人が応募という狭き門だった。Kindergartenは日本で言うところの、幼稚園の最上級生だが、アメリカではここから義務教育。(ゆえに、義務教育をK-12、と呼ぶ。Kindergarten+小中高12年、という意味だ。)幼稚園の入試から気合がはいるところは、日本のお受験なみ。

記事にはいろいろと、この学校が生徒の学力を上げるためにしている努力が書かれているが、それより目を引いたのは、記事の横に付記されていた、生徒のデモグラフィック。いわく

人種: アジア人 90.7%, 白人 9%, その他 3%
親の最終学歴: 大学院以上 81%, 大学 18%, その他大学レベル 1%, 高校以下 0%
ランチ無料・または値引きの生徒(=貧困層): 1%

これ、学校が何をしようが、とにかく母集団の元のレベルが圧倒的に高いのが決定的要因だ、と思わざるを得ない。アジア人ばかりで、親は超高学歴で、貧乏人はいない。先生の一人は、「生徒が突然xenophobeという単語を持ち出したのでびっくりした。私だってそんな言葉使わない」と驚いていた。xenophobeは外国人嫌い、という意味だが、確かに相当インテリジェントな大人しか使わないような言葉だ。先生が教える前に生徒の方が勝手に学んでいるわけである。

生徒が圧倒的にアジア系な一方で、記事内に出てくる先生たちは、名前を見ても、掲載されている写真を見てもみな白人。

ふと、カッコウを思い出した。全く違う鳥の巣にタマゴを産みつけて育てさせるカッコウ。アメリカで白人たちがせっせと作り上げてきた学校システムに、ちゃっかりと自分の子どもたちを入れて、ハイレベルな教育を享受するアジア系は、カッコウみたいではないか。

とはいうものの、先進国になればおのずと国民の学習意識は衰えるわけで(日本でも明らかにそうなっているが)、そういう怠け者の国民は置いておいて、向上心ある移民をビシビシ鍛え、彼らを自国民として取り込んで国の将来を担わせてしまうところは、アメリカの方が一枚上手、だろうか。

カッコウの巣の小学校」への3件のフィードバック

  1. 先日、筑波大学付属小学校の入学願書を手に取ってみて驚いた。1次試験を受けるのにまず、公正なる抽選を受けなければならないのである。抽選を勝ち抜いた運の良い子供達は、いざ、試験に臨む権利を与えられのであるが、その後、合格した子供達に待っているのは、またまた抽選なのだ。つまり、運+実力が試された後に、更に運が試されるというものだ。
    摩訶不思議なシステムである。「単純に上から順に出来の良い子を入学させればよいではないか」と思うのであるが、国立系だからなのか?私立のようにギリギリ競争させるのではなく、ある程度満遍なく採用することが教育方針ということか?私には理解不能。意味不明である。
    そういえば、私の友人に、これまでL.A.でずっと教育を受けてきた小学6年生の女の子が居る(私の小さなお友達である)。“日本人のアイデンティティを培う為”という理由で彼女の両親が1年間限定で日本へ送り込んできたのである。
    東京都内の小学校に通い、かれこれ7ヶ月が経つが、彼女からは日本の学校に対する不満が絶えない。「日本の小学校は宿題が殆ど出ない、夏休みの宿題もしかりであり、つまらない」、「アメリカでの理科の授業は、実験が多く非常に面白いが、日本の授業は教科書ばかりでつまらない」、「日本の先生には威厳がない」、「日本の子達は友達の悪口ばかりを言う」等々、私はいつも彼女のグチを訊いている。来年の3月にはアメリカへ帰ってしまうのだが、今から帰る日が愉しみだと言う。
    日本の教育にも良さはあるとは思うのだが….なんだか、ちょっぴり淋しい感じがしてしまう。しかし、これがまさに双方の学校現場を知る子供の“生の声”なのだと思うと、これまた考えさせられてしまう。
    「さて、自分に子供ができたらどちらに入れたいだろうか?」
    なんて、予定もないのに考えるのは辞めておこう。

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  2. こんにちは。
    Fariaは家の近所にあり、うちの子供の友達も通ってますが
    >学校が何をしようが、とにかく母集団の元のレベルが圧倒的
    >に高いのが決定的要因
    というのはまさにその通りのようです。
    Fariaやその他、Cupertinoでもハイレベルの小学校では
    勉強だけでなくクラスの子のほとんどがピアノかバイオリンを
    習っているとか、学校の父兄面談で体育授業の内容を聞いて
    それにあわせたTutorをつける家が多いとか、クラスで友達ができて一緒に遊ぼうというと、親から「いいですよ。空いてるのは日曜日の午後4時から夕食まで」と言われたとか、、、
    上級生になると放課後のTutorの方が大変で、学校には息抜きに来ており、学校の宿題を減らすよう父兄から要求が出るとか。
    アジア系が多いCupertinoでも白人もいるのに、なぜ小学校に
    こんなに白人が少ないか疑問に思ってましたが、白人のお金持ちは「小学校の間はそんなに勉強ばかりせず、友達と遊ばせるべき」と私立学校に行かせる家族も多いとの事。
    うちの長女もFariaからもそう遠くないCupertinoの公立小学校ですが、まだのんびりした雰囲気があります。宿題は多いですが。アジア系の生徒が多いのは同じで、1,2年生の時はクラス内の唯一の白人が先生。今年は先生も日系人になってしまいましたが。

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  3. アジア人はなぜ数学ができるのか

    もはや世界的にアジア系の子どもの理数系学力が高いことはコンセンサスになっていると思います。 参考までに、2007年国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2007)の数学(14歳)のランキング。 1. 台湾 2. 韓国 3. シンガポール 4. 香港 5. 日本 国際学習到達度調査(PISA2006)の数学的リテラシー(……

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