シリコンバレーに住む日本人2人からもらった、彼らの今回の戦争についての意見のメール。私自身の気持ちにとても近い。
一人は、
「今朝テレビで、フロリダの基地で演説しているブッシュを見ました。
いつもの Freedomとか Peace等の美辞麗句が並んで、悦に入っている彼の顔を見ると、生理的に嫌気してしまいます。」
という。いや、その通り。芝居がかってると言うか、重みがないと言うか。
しかし、同じ彼はまた
「いっぽう、私の職場には湾岸戦争後にイラクから亡命してきた人が働いてます。
彼は、やはりフセインが大嫌いで一家ともども国を離れ、USで暮しています。」
ともいう。
そうそう、そうなんだよなぁ。実際アメリカで暮らしていると、アメリカの鼻持ちならない嫌なところの陰に隠れた良いところが見えてくる。例えば、国を追われた人・発展途上国で貧困に苦しむ人を大盤振る舞いで受け入れてきたところはやっぱりえらい。安価な労働力を増やすとか、世界の頭脳を集めるとか、下心はあるかもしれないけれど、理由はともあれアメリカの大盤振る舞いで結果的に救われた人はいっぱいいる。しかも、アメリカという理念とシステムを受け入れさえすれば基本的には誰でも「アメリカ人」になれる。(これがどれくらい変わったことかは、「日本人」の定義を考えれば明らかだろう。7世代くらい日本でreproductionを繰り返さないと「日本人」になれないんじゃないだろうか。参議院議員のマルティ・ツルネンさんを「日本人」だとあっさり思う人は少ないはずだ)。
というわけで、アメリカには「アメリカという国があってよかった」と胸をなでおろしつつ生きている人がそこここにいる。
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もう一人は、イラク攻撃の根拠の薄さに不快感を示しつつもこういう。
「私は基本的にHusseinのようなヤクザ的存在は大嫌いですから、害虫退治も理解できます。ヨーロッパの国々みたいに、『腫れ物に触らない』『ヤクザとは共存しよう』という態度にはゲロゲロです。」
9・11はアメリカという国に対する宣戦布告だった。少なくともアメリカに住む多くの人々はそう思ったはずだ。以降、アメリカは一人で戦争状態に突入している。他の国から理解されないまま、アメリカは1年以上も戦っている。
その戦争の中、「このままテロを放置したら、将来さらに激しいテロが起こる可能性がある」という「最悪の将来シナリオ」を考えて、「テロを擁護(しているかもしれない)イラクを攻撃する」という現在の行動を起こしたのが、今回の戦争とも言える。石油を確保するとか、これまた様々な「下心」が取りざたされるが、「表向きの理由」であるところの、「アメリカを守る」というのも決して嘘ではないと思う。
アメリカという国は「将来を深く考えて行動を起こすことが得意な国」である。「将来起こるかもしれない問題を未然に解決するために、最善の行動をとる」ということがビジネス、政治から医療まで深く浸透している。Silicon Valley & Autismに書いたように、2歳半の子供に自閉症の可能性があったら、その診断が不確かであっても治療を開始する国だ。こうした「将来の問題を解決するために今行動を起こす」ということが、今回の戦争の背景にあり、これが正しいと思う人が多いことが、10人に7人以上のアメリカ人が、今もなお参戦を支持する理由の一つだろう。(「兵士が国のために戦っている以上は、戦争に反対したくない」というのも、私の会うアメリカ人の多くがいう理由ではあるが)
対して日本は「現在を深く考えて行動するのが得意な国」だ。小賢しく理由を問うことなく、プロセスに磨きをかけて「一期一会」の一瞬を「今」に実現しようとする。アメリカ型と日本型、いずれにもメリット・デメリットがあり、どちらがよいというものでもないが、この二つのいずれかの思考方法にどっぷりつかった人が相手の思考パターンを理解しようとするのは難しい。
加えて、「ヨーロッパは過去を深く考えて行動するのが得意だ」と言えると美しいし、知ったかぶり・聞きかじり・読みかじりの知識では多分本当にそうなんじゃないかという気がするが、残念ながらそこまでヨーロッパ人の深層心理を知らないので、これはわからない。
アメリカと日本の違いは?
On Off and Beyond: 将来を考える国・現在を考える国 非常に分かりやすいアメリカと日本の比較。これって、投資の判断とか、政策決定とかの基本的なプロセスの違いにも確実に影響を及ぼし㮮.
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それに交差する軸としては、「自分たちを世界の中心で代表だと考える国」というのと「自分たちを特殊だと考え周囲を上目使いに見回してる国」というのがあるでしょうか。当然、前者はアメリカで、アメリカは世界の中心だし自分たちの考え方は世界の代表的なものだから他の国にもアメリカのやり方を普及させるべきだと思いこんでいる。(あるいは他の文化も単純なものだと理解する。Bay areaやNYやBostonはちょっと違うけれど。) 後者は日本で、他の国の人間には日本人の考え方・もののやり方は特殊で理解できないだろうから外に向かって話しても通じないと思いこんでいる。
ひとつは「世界の中心の代表」が「将来を考えて」行動するから、他の国への侵略も「将来のための自国防衛」であり相手国民の「将来のための解放」だと呼んだりできる。
もう一つは「自分たちは特殊」だから突飛なことをすると「近所の人」や「守護者」に叩かれるかもしれないので、「とりあえず現在の周囲の様子を見て」からいつも後追いで行動する。
加えてヨーロッパは「地続きの土地にも、外見も言語も宗教も思考様式も違う人たちがたくさん住んでいる」のを「何千年も見てきている」といえるでしょうか。だから「ヤクザは嫌い」でも「存在することはすぐには否定できない」のかも。とはいえ、私もヨーロッパは2月にUKに行ったのが始めてなので、知ったかぶりの域を出ませんが。
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私は 9.11 -> イラク攻撃というロジックが未だに理解できないので違和感を感じると言うのが正直な所です。
テロリストを叩くと言うのは理解できるのですが、テロリスト=イラクではないですよね?
他にも複数の国々がテロ集団との関係を否定できないでしょうがその国々が該当するテロ集団とイコールかというとそうではないと思います。イラクも然り。何故イラクだけ叩くのでしょう。
と考えると 9.11 -> イラク攻撃って単純には成立しませんよね?
テロ集団を庇った国、関係ある国は全て叩くというのなら分からなくも有りませんが。
オイルが欲しいからとか言うこと聞かない国には何としてでも言うことを聞かせたいからとか戦争による経済効果を期待したいからと言うならば戦争を行う理由としてはもう少し素直に受け入れられるのですが・・・(もちろん賛否は別です)
イラク以上にヤクザな国があるのにイラクを叩くというのもヤクザ云々のロジックからしても違和感を感じます。
イラクの民主化の為という話も聞こえてきますが、それは出来る出来ないは別として国民主導でやらなければいけないことで外から与えられる物ではないはずです。与えられた民主主義や自由は不完全な物に成ると思います。(完全に与えられたという形では無いかもしれませんが有る意味与えられた形の日本を見ても変ですよね)
今回の件の日本の対応にも嫌気が差す所ではありますが
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gt-san:
クラシックですけど”How many students does it take to change a light bulb”を思い出してしまいました。
Harvard: One. He holds the bulb and the world revolves around him
ちなみに、このジョークはMITのも笑える。
MIT: Five. One to design a nuclear powered one that never needs changing, one to figure out how to power the rest of Boston using that nuked lightbulb two to install it, and one to write the computer program that controls the wall switch
全文はhttp://www.ehumorcentral.com/Directory/Jokes/1500.htmlへ。。。
Kaz-san:
9/11の直後のブッシュの演説で「テロリストをharborする国は許さない」という一節がありました。これは明らかにイラクを指す、という解説が入りましたが、そのときに「そうか、こういうときにharborという単語を使うのか」という英語的好奇心に加え、「間接的なサポートですら許さないとは強い意思表明だ」と驚いたことを覚えています。
「おせっかい」と「正義の警察」の境界はどこにあるのか。難しいですね。
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