アメリカ人の能力の個人格差はばかでかい。
NPOとして作ったJTPAの銀行口座を開設しようとある銀行に行った。自分の個人口座や会社の口座は全て、ある銀行のPalo Alto支店にあるのだが、最近Los Altosという隣町に引っ越したので、家の近くの支店の方に浮気して行ってみた。
担当者が出てきた瞬間に後悔した。
明らかに何もわかっていない。そもそも、最初からマニュアルの紙を握り締めている。何を聞いても、それに目を落として読んでいるのがみえみえ。しかも間違っている。予め下調べしてから行ったので、彼女の言っていることが間違っているのはわかるのだが、何も相手を教育してあげる必要はないし、最初がこれでは今後が思いやられる。にこにこと、しかしきっぱり「ご説明ありがとう、ちょっと考えて見ます」と逃げてきた。
その足でPalo Alto支店に向かうと、いつもの担当のMichaelはサクサクと10分で口座開設終了。(彼は抜群の記憶力で、最初に一度会った後、何ヵ月もたってから、しかもアポなしで登場した時、顔を見るなりHi, Chika、と声を掛けてきたことがあった。)
額を打って「I should’ve known!!」と一人反省してしまった。そういえばMichaelに会うまでは、銀行の人は本当に何も知らない人ばかりで、口座を開くだけで1時間かかって、やっと開設した口座も、私の名前のスペルが間違っていたりして気も狂わんばかりだったことを思い出した。Michaelがあまりにサラサラと何でもやってくれるので、ついつい彼のありがたみを忘れていたのだ。
無事口座を開設した後、Michaelには「他の銀行や支店に行くときは絶対連絡して。私の口座全部そちらに移すから」と一生懸命お願いして帰ってきた。
コンサルティングの仕事でも、いろいろな分野のプロとチームを組んで働くことが多く、こうした激しい個人差を目の当たりにすることがある。そういう経験を通じて、私なりに考える「プロフェッショナルとして働く人たちのランク」はこんな感じだ。
落第級 :要求されたことを実行できない
ランク4:要求を、回り道しながらも実行できる
ランク3:要求を、効率よく実行できる。
ランク2:要求を、クリエイティブに実行できる
ランク1:実は要求者もわかっていない要求を実行できる
「NPOの口座開設」の例で言えば
開設できないのが落第級。
1時間かけて、あーでもないこーでもないとやりつつ最後にはできるのがランク4.
10分でできるのがランク3.
「実はXXという書類がないので今すぐNPOとしての口座開設はできないが、いったん普通の会社として開設して、後で書類が来たところでNPOに変更すればよい」と即決できるのがランク2.
この場合は「ランク1」の対応はないのだが、強引に言えば、例えば「実は口座開設より、XXXをするのが先決で、それをするには、CPAが必要。詳しいCPAを知っているから紹介しよう」というようなこと。
最初に行った銀行の担当者は「落第級」、Michaelは「ランク2」である。アメリカでは、多くの人が「落第級」と「ランク4」に集中しているが、「ランク2」「ランク1」にも良く出会う。(一方日本では、圧倒的に「ランク3」が多いが、「ランク2」「ランク1」はまれ。)
「ランク1」になるためには、
1.圧倒的な知識量
2.クリエイティビティ
3.正しい質問をする能力
の3つが必要なんじゃないかと思う。特に3は不可欠。「NPOの口座開設」みたいな、明らかなゴール設定がある場合はよいが、ビジネスにおいては「問題設定が明快になったらほぼ解けたも同然」ということが多いので。
それと、私自身の経験で言うと「アドレナリンレベルが下がった状態」で仕事をするとすぐに「ランク3」にパフォーマンスが落ちる。「相手がどう受け取るか考えずに、当たり前の解を当たり前に相手に提示してしまう」のが「ランク3」だが、独立したプロフェッショナルとして生きていくには、「解が相手に感動を与える」レベルでなければならず、それには「ランク1」の仕事振りが必要。それにはやっぱりアドレナリンが血中を駆け巡る緊張感が必要なのである。
プロフェッショナルのランク
On Off and Beyondのちょっと古いエントリを読んでいたら、こんな記述に出くわした。 コンサルティングの仕事でも、いろいろな分野のプロとチームを組んで働くことが多く、こうした激しい個人差を目の当たりにすることがある。そういう経験を通じて、私なりに考える「プロ…
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プロフェッショナルのランク
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