最近、自己資金で何年も事業育成をするベンチャーに出会うことが多くなってきた。VCからの資金調達が難しかったという事情もあるが、シリコンバレーに「ハイテクがわかる金持ちアントレプレナー」が増えたという要因も見逃せない。
web servicesのCollaxaもその一つ。NetDynamicsのFounderがCTOをしており、2年近くを外部資金調達をせずに開発に費やし、去年$1Mを切る金額を初めてVCから調達。(ちなみに、Collaxaのcorpoate blogは、XMLやweb serviceの最新情報リンクがあって、blogの新たな使い方の一つとして面白い。)
まだ会社すらないが、シリアルアントレプレナーがCEOをしているMedical Deviceの事業にも出会った。会社組織にはなっていないが、既にプロトタイプがあって、病院での実際の患者によるトライアルの結果も出ている。
今私がコンサルティングで一緒に仕事をしているDanielも、以前起業した半導体ソフト関係の会社を「全額キャッシュ」で売却、ぶらぶらするのも飽きたということで、半導体のエリア・スペシャリストとして手を貸してくれていたのだが、今はまた新たな会社を起業中。既に自腹でオフィスも借り、台湾に出張してビジネス・パートナーとネゴをしている。
それ以外でも、プライベート企業の投資家データベースをリサーチしていて、「high growth業界(ソフトウェアとか)でありながら、VC投資家なし」という例にあたることが増えてきた。事業のほうは随分育っていて、既にかなり顧客がいたりするにも関わらず、である。
シリコンバレーのVC投資はやや上向きになってきたが、VC投資が思い切り冷え込んでいた2001-2002年の間も、「過去にメジャーなexitをして、個人資産が数Milから数百Mil」という人たちが、自らもマネジメントに加わって起業し、実は水面下でいろいろなアイデアが着々と事業化されている。彼らはangelでもあるし、CXOでもあるから”Angel Chief Officers”とでも呼ぶべきか。
マクロに見たら最悪の2002年だったが、VCが経済のフリーフォールのショックで硬直していた間にも、こうしてミクロには新しいビジネスの種が育っているのである。