
アメリカには人間ドックは無い。そこで最近登場しているのが「全身スキャン」を提供するベンチャーである。
お高いところだと、$36,000でDEXAスキャンと遺伝子発現やバイオフィードバックの検査を提供するApeiron Zohというクリニックから、会社の駐車場に来て$55でDEXAスキャンをしてくれるSimon Oneまでいろいろな会社がある。(DEXAスキャンはこちらのサイトによれば「微量な2種類のX線を照射して骨密度を測定する検査で、従来の骨密度検査(超音波法・MD法・CT法など)と比べてより精度の高い方法とされています。」だそうです。)
実際私も数年前に行ってみました。全身MRIスキャンをするPrenuvoという会社のもの。(こちらの記事だと$2500となっているが、数年前に私が行った時は$1300くらいだった・・・はず。)Prenuvoはシリアルアントレプレナーが始めたベンチャーで、去年の10月にシリーズAで$70M(約90億円)を調達しており、これまでの5年間で6ヶ所のクリニックを開設、今年はさらに6ヶ所増やす予定とのこと。
さて、私がなぜPrenuvoに行ったかというと、それ以前に日本で人間ドックに行ってみようかと日本行きの1ヶ月くらい前に探したらどこもいっぱいだった(これは探し方が悪かった模様)ので、一度くらい頭のてっぺんから足のつま先まで全身MRIをしてみるのも良いのではないかと思ったから。結果はやや注意を要するところが二点ほどあったが、かかりつけの医者に聞いたらどちらも心配することはないということで、特に何もせず今日に至る。胴体部分だけのMRIもあったのだが、一番心配だったのは脳なので全身バージョンをしてみた。
というのも、私には23andMeの遺伝子検査結果でアルツハイマーのリスク遺伝子があることがわかっており、「脳が目に見えて萎縮しています」などという診断だったら色々準備しなければ・・・と思ったからだ。
ちなみに、かかりつけ医にもスキャン結果を送ってもらったのだが、彼女には「コストパフォーマンス的に意味がない。なぜこんな無駄なことを」と苦言を呈された。(それでも結果は読んでもらえましたが)。確かに「人間ドック」的なものは偽陽性が多すぎ、その結果追加で無駄な検査が発生して医療コストがあがってしまう、それより、ピンポイントで必要な検査をしていく方がいい、という論理がアメリカの主流ではある。しかし、それは医療全体、患者全体で見ての最適化であって、命がひとつしかない私という個人への最適化ではないよなぁと思いながら聞いていた。さらに医師氏には「造影のスライス数が少なすぎて見落としもあるはず」とも言われて、こちらは妥当な意見だと思った。(それでもMRIの機械の中に1時間近くいたのだが)。
というわけで、米国版「人間ドック」の話でした。