暗号通貨勉強会:DeFiの基本概念の整理ーAMM・イールドファーミング・リクイディティマイニング

Photo by Joshua Lanzarini on Unsplash

出版・報道・メディア界は90年代後半からの10年間でインターネットに蹂躙されて全く違うものに(少なくともアメリカでは)なってしまったのだが、今後10年の間に同じようなことが金融界で起こっていく。金融業が無くなるわけでも今ある金融企業が全てなくなるわけでもないが、今3万人かけてやっていることが300人でできてしまうとか、1兆円の手数料収入のパイが100億円になってしまうとか、そういうことがあちこちで起こるだろう、と。そして暗号通貨界では、現在の金融の仕組みを要素まで分解してそれを分散型に再構築するDeFi (Decentralized Finance)の試みがすでにたくさん起こっている。以下DeFiの基礎となるいくつかの概念とそれを実際に行なっているプラットフォームをリストアップしてみました。

この内容は、今週末のClubhouseの暗号通貨勉強会で話し合う予定です。

Clubhouseリンク (勉強会は西海岸 8/13金曜7pm 日本 8/14土曜11amより)

AMM

取引所を運用する仕組みには2形態あって、一つはオーダーブック、もう一つがAMM。オーダーブックは取引をしたい人が取引したい価格と数を表明、売りと買いがマッチしたら取引が成立する。AMMはautomated market makerの略。AMMは元々90年代初頭にShearson Lehman BrothersとATDが考案した方式で、それまで取引は人力で作ったオーダーブック形式で行われていた。

暗号通貨取引では、2016年にVitalik Buterinがredditにあげた文章を元に、2018年11月に創設されたUniswapがAMMを広めた。

オーダーブックでは売り手と買い手両方が同じ価格で出会わないとならないが、AMMでは「リクイディティプロバイダ」が取引に関わる二つの通貨を提供、ブロックチェーン上にその二つの通貨両方を置き、置かれたリクイディティが取引をしたい人を待ち構えている。

Uniswap の AMM では取引を行うペアごとに多数の人が提供するリクイディティが一つのプールになっている。そして取引は x * y = kのアルゴリズムに基づいて自動的に行われる。x と y は通貨で、kは定数。例えば、xをETH、yをUNIトークンとすると、誰かがETHを買うには、このプールにUNIを足してETHを取り出すことになる。そうするとkを一定に保つためにETHの対UNI価格が高くなる。

AMMでは、Uniswap以外に、Curve (Uniswapと似ているが、価値の差が小さい2種類のトークン、例えばステーブルトークン同士などでの取引の際の無駄が少ない)やBalancer(一つのプールで8種類までトークンを扱うことができる)が有名。

リクイディティプロバイダ

AMMでリクイディティとなるコイン・トークンを提供する人。取引ペアの両方を同じ価値分提供する必要がある。例えばETHとUNIが1 ETH = 100 UNI だった場合、ETHとUNIのプールにリクイディティを提供するにはETH : UNI = 1:100となるように両方を提供しなければならない。

下記はUniswapにETH – DAIペアのリクイディティを提供しようとした場合のUniswapの画面で、左下のDeposit Amountsは現在の価格で比率が決まっているが、価格変動をどこまで許容するかは右側のSet Price Rangeで自分で設定できる。

レンディング

AMMと並んでDeFi上で重要なのがレンディング。AMMが取引ペア「両方」を提供して売買のリクイディティを提供するのに対し、レンディングでは特定の通貨を貸し出すことで借りたい人へのリクイディティを提供する。この際も多数の貸し手が提供した通貨が一つのプールとして運用される。Compoundがレンディングプラットフォームの先駆けとなった。

イールド・ファーミング

AMMやレンディングでリクイディティを提供する代償に「利子」を得ることをイールド・ファーミングという。「利子」はそのプラットフォームのガバナンストークンなこともあれば提供した通貨なこともある。

Yearnはレンディング・AMM参加などを通じてイールドを最大化するプラットフォームで、クラウドソース的にコミュニティが選んだ投資運用ストラテジーとそれを遂行するボットがイールド・ファーミングを行う。8月10日時点でYearn上でCurveを運用する場合の年利が15.35%(下図)、Synthetixだと53.55%

リクイディティ・マイニング

リクイディティ・マイニングもイールド・ファーミングとほぼ一緒だが、狭義では「特定のプラットフォームがユーザ獲得のインセンティブのためにガバナンストークンを普通の利子以上に提供する際にそれを受け取ること」をリクイディティ・マイニングと呼ぶこともある。CompoundやBalancerが「リクイディティプロバイダに「おまけ」のトークンを提供し始めたことで注目された。

イールド・ファーミングとステーキングの違い

「ブロックチェーン上に預けておくと利子がつく」という点で、ステーキングもイールド・ファーミングに似ているが、ステーキングの目的はProof-of-Stakeのコンセンサスアルゴリズムに参加してそのブロックチェーンのセキュリティを増すこと。イールド・ファーミングの目的がリクイディティ増というところで大きく異なる。

TVL

DeFiの一つの指標にTVL、Total Value Lockedがある。これは、上述のようなAMMやレンディングでブロックチェーン上に「ロック」された通貨がいくらあるかを測るもので、8月10日時点では$80 billion、約9兆円となっている。2020年1月時点では$700 millionもなかったのが2020年夏から劇的に増加して現在に至っている。

下記はTVLをモニターするDeFi Pulseでの8月10日時点の数値。

考察

以上のように、「お金を貸すとは」「借りるとは」「金融資産の売買とは」「流動性とは」といった金融の基礎となる要素を自動化し、さらに中央集権的存在なしで運用しようとする試みが、実際のお金を動かしながら激しい勢いのトライアンドエラーで進展している。DeFiについては、今後規制が強化されることは間違いないが、その一方で根本的に無駄を省く技術は今後金融界を激しく揺さぶるものになっていくと考えられる。


この内容は、今週末のClubhouseの暗号通貨勉強会で話し合う予定です。

Clubhouseリンク (勉強会は西海岸 8/13金曜7pm 日本 8/14土曜11amより)

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