家改善に燃えるロックダウン中のアメリカ

Photo by Roselyn Tirado on Unsplash

アメリカ(の多くの都市圏)では3月からずっとロックダウンが続いている。

「ロックダウン」とまで呼ぶのはちょっと言い過ぎでそれなりに出かけることはできるがいろいろな行動が制限された状態である。しかしその「制限」の内容は、多分日本の方の想像を超してハードコアだ。スーパーや小売は、店内に入れる人数が制限され、それを超すと入り口の外で6フィート(約2メートル)間隔で待たされる。我が家の近くのスタバは、長らく「店舗に入れるのは1人だけ」だったが最近「5人まで」になった。それを超したら、注文済みの人も含め外で待つ。最近では行列ができそうな店の外には6フィートおきに地面にマークがかいててある。レジを待つ際も同じく6フィート間隔で、店内の床にマークがある。みんな真面目にやっている。

私の家のあるサンタクララ・カウンティという行政区は、レストランは数ヶ月テイクアウトオンリーで、そのあとアウトドアだったら着席OKになって、そこで膠着状態のまま現在に至る(もうすぐインドアも解禁になるという噂もある)。

映画館はクローズしたまま。

全米2番手の映画館チェーン、Regal Cinemasも「全館営業停止」という発表を最近した。Tenetの米国内売上の異常な低さで衝撃が走り、さらにジェームスボンドの新作も来年に延期になった。営業できない、営業しても客が来ない、客が来ても映画がない、という三重苦で「しばらく冬眠」することになってしまったのである。先週末の全米トップ10映画の売上は合計でたったの$9.7 millionですよ。去年出たAvengersはそれだけでオープニングの週末売上が$350 millionもあったのに。(ちなみに、周囲のカウンティでは映画館が営業しているところもある)。

*というわけでTenetは見ていないので、私の前でネタバレしないように。

美容院も「完全営業停止数ヶ月→アウトドアのみで営業可」という過程を経て、今はお客の数を減らせば店内営業可になっている。

「アウトドアのみで営業化」だった時、店の外で臨時営業していたサンノゼの理容院。戦場か。

多くの小売事業は存続の危機を迎えている。あちこちで店が続々と閉店しており、「経済どうするの😱」とひしひしと感じる。サンノゼに、Santana Rowという住宅と小売を一体開発した商業地があるのだが、そこも閉店が目に付く。一応カラフルなデザインで窓を多い賑やかな雰囲気を醸し出そうとしているが、次に出店する店が決まっていれば「Coming Soon」という表示が出るので、それもない状態である。

↑ 10月3日(土曜)の人並みもまばらなSantana Row

オフィスは、FacebookもTwitterも将来無限にリモートワークでOK(一部条件付きだが)、AppleもGoogleもとりあえず当面リモート。それ以外の会社もだいたいそんな感じ。なので従来だったら通勤で渋滞するはずの時間帯でも気にせず高速道路でどこでも行ける。

Googleが発表している「人々がその場所に来ているか」のデータでは、こんな感じになっている↓。(詳しくはCommunity Mobility Reportへ)

これはサンフランシスコのものだが、小売・娯楽施設の人出は半分以下。駅がマイナス67%、仕事場がマイナス61%。日常必要なグローサリーストアやドラッグストアですらマイナス28%。

かわりに増えているのが家にいる時間でプラス23%となっている。


して、このやたらに家にいる時間増の結果何が起こっているかというと、住宅販売価格の上昇と、家のリノベ・整備・向上関連製品の販売増である。

(住宅販売価格増に関しては、住宅ローン返済をしばらく止められる等の救済措置がある一方で、家族全員在宅勤務でもっと大きな家が必要になった人の需要は増しているというのがある。)

リノベ関連では、8月には材木の先物相場が急騰↓

出典:Nasdaq

収納ボックスやら棚やら仕切り板やら、「家を整理整頓するために必要なもの」がまとめて売っているContainer Storeというチェーンがあるのだが、こちらも売上絶好調。会社の株もどんと上がった↓。

実際に店に行くと、「オンラインオーダー、店舗ピックアップ」の人のための袋やカートが店の真ん中に山積みされている↓。

これとは別にレジ待ちの行列が店の端から端まで続き(とはいっても6フィートおきの行列なのではあるが)、土曜に行った時は入店するのに20分くらい待った。

しかし店内で列の長さをみて諦め、日曜に同じチェーンの別のロケーション店舗に行ったら列が同じくらいあって諦め、もう一度今度は平日に行ったがやっぱり同じ状態でトリプル諦め、オンラインでオーダーしたが、ピックアップできるのは2週間後。人々よ、どうしてそんなに収納ボックスが必要なのか(私もだけど)。

というわけで、多くの人たちがせっせと材木を買ってデッキを作ったり、収納ボックスを買って家の中を整理しているというアメリカの現状でした。

家改善に燃えるロックダウン中のアメリカ」への4件のフィードバック

  1. Container storeほどおしゃれでないですが、単純に収納用ならTargetで買うのが一番手っ取り早いです。棚等はHome Depotも速いので便利です。

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  2. ピンバック: ファミリサイドと整理整頓の関係とは? | On Off and Beyond

  3. 大掃除(というか中有掃除くらい?)してる。
    激しく面倒くさがりなので、厚い部分だとホコリが厚さ 2~3cm くらいでミッチリと積もってて、それを見る度「見なかったことにしよう」を繰り返してきた。もちろん掃除機なんぞでは歯が立たず、濡れ雑巾でこそぎ取る他ない。

    やっぱ面倒だなあ。ホコリが舞うので窓開けて換気扇全開がデフォだし、冬場は窓開けてると寒いし、夏場は冷房切って体動かすと暑いし。

    家改善にまで情熱燃やせる人はもはや別次元の存在だ。

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