モバイル・ショートコンテンツ:Quibi vs. Whatifi

Photo by Bagus Hernawan on Unsplash

Quibi知ってますか、Quibi。”Quick Bite” でQuibi。発音はクイビ。

ディズニーの映画製作会社、Disney StudioのチェアマンをしていたJeffrey Katzenbergと、eBayとHPのCEOをしていたMeg Whitmanが2018年に創業した重々しい会社で、これまでに$1.8B、2000億円近く調達して今年の4月にローンチ。「専用アプリ内でしかみられないハイクオリティーなショートコンテンツ」が売りで、1エピソード10〜15分の連続ドラマが主力。スピルバーグもAfter Darkというホラーストーリーを作っているらしい

「忙しい人たちが外出先の隙間時間で見られる」

というコンセプトだったが、大変不運なことにパンデミック発生とローンチが重なり、アメリカの多くの人々は家にこもりっきりのためそもそも隙間時間がなくなってしまった。

一方、「ミレニアル向けの新しいハイクオリティコンテンツ」という狙いもあったが、こちらについてはローンチ前から「60代が2人で若者向けのコンテンツなんて作れるのか」と揶揄されていた。

原因は何にせよ、Quibiは不調。まだ宣伝を打ったり、新しいコンテンツを作ったり頑張ってはいるが、事業売却を含め「戦略的事業解消」に向けた努力もされている模様で、「もはやSPACと合併するか」という「最後の手段」も俎上に乗っているようだ。(SPACバブルの今、SPACと合併できないのはワーテルローの戦いで負けたナポレオンぐらい苦しい)。

私も無料期間の間にダウンロードして3つほど作品を見た。確かにハイクオリティだったが、会費払ってまでみたいかというと微妙。Netflixでお腹いっぱいだし。


Whatifiは、元々エストニアで始まり、今はLAに本社があるベンチャーで、今年の6月にシリーズAで$10M調達した。Quibi同様オリジナルコンテンツが見られるアプリを作っている。

そして私はというと、6月に資金調達したニュースを見て、「ちょっと見てみよう」とダウンロードしたのが運の尽き、7月4日の独立記念日の3連休に延々とビンジウォッチしてしまった。

Quibiとの大きな違いは下記二点。

  • ゲーム形式
  • ソーシャル強制

■ゲーム形式

Whatifのコンテンツは、2〜3分ごとに2択の選択肢があり、どちらを選ぶかで違うストーリー展開になる。

現在あるストーリーは2つだけだが、そのうち一つ「As Dead As It Gets」は2択の選択肢が4回あって、計16通りのエンディングがある。エンディングを一つクリアするごとに下記のようなカード状のコマが埋められていき、16通り見終わるとコンプリート。

もう一つの「Anatomy of Decision」は、2択の選択肢が6つあるのでトータル64通り・・・が、しかしまだ48通り分しか制作されておらず、残りはComing Soonになっていた。

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16エンディングの方はまだプロっぽい台本・撮影なのだが、64エンディングの方はかなりチープな作りで、俳優さんが4ー5人しかおらず同じストーリーラインの中で何役もこなす。時折息子だったはずの人が孫になったりして、お前は誰だという混乱も。(息子の名前がジュニア(それでいいのかw)だったり、そのジュニアがふたごと結婚するという都合の良い俳優節約ストーリー展開もあったりする。)

それでも負けずに見続けたのだが、だんだんと自分がどのストーリーを見終わったかがわからなくなって、同じ分岐を2度見てしまうようなことが続き、ついにスプレッドシートをつくってしまった(下記参照)。

46ストーリーで主人公は船乗りになったり政治家になったり画家だったり支離滅裂。しかもそのエンディングの8割くらいで主人公は破滅、残りのほとんどもほろ苦い終わり方で、全部一気に見たせいもあって、全部のストーリーが頭の中で混じり、なんだか主人公が頭の中に住んでいるような感じの後味が残り不思議な見ごたえでありました。(さらに、人生何を選んでも結局うまくいかないのがデフォルトという諦念感も残る。)

加えて、途中からは、「ストーリーの続きが知りたい」ということより、「とにかく全部見なければ」というパズルゲーム的な感じになって、コンテンツを見たというより、ゲームをコンプリートした達成感が強く、これは要はRPGパズルゲームなのであった。

■強制ソーシャル

一方もう一つ大事な要素が、友達を誘い込まないと全部見られないということ。

見始めるのは無料だし1人でも見られる。そしていくつかの分岐先も見られるのだが、あるところから「この分岐の先を見るには誰か友達を招待して、その人も同じ部分を見て投票し多数決をとらなければだめ」となってしまう。つまり2人以上で見ないと先に進めない、という仕組み。

というわけで、同じくロックダウン中でどこにもいけないニューヨークの知人を巻き込んで一緒に延々16エンディング+48エンディングをコンプリートしたのが7月のことなのでありました。

ソーシャル機能としては、チャットルームもあって、どちらの分岐に行くかとか、見た感想とかを語り合えるというのもある。

なんにせよ、もうすぐThis Call Will Be Recordedという新作が出る模様なので楽しみ。


QuibiとWhatifi、どちらかは生き残れるのだろうか。

個人的には是非Whatifiには生き残ってほしい。上述の通り現在公開されているストーリーは問題点がたくさんあるのだが、予算を増やして緻密なライター陣を付ければ改善する内容ばかり。アラが目立っても全部見てしまったということは魅力的なのであって、MVPとしては成功といえましょう(ただしサンプルサイズは私とニューヨークの知人の「2」。)

一方、モバイル専用ショートコンテンツで最強なのはなんといってもTikTokなわけだが、こちらはアメリカの事業はアメリカの会社に売却しなければアメリカでの事業禁止とトランプが駄々をこねてトランプと仲良しのラリーエリソンのオラクルが買収を引き受けることになったと思いきやいつのまにやら単にマイナー投資するだけの話になってなんだオラクルクラウドに乗り換えてもらうための賄賂お願い金かと思ったらこのディールそのものにトランプがNGを出してどうなるかと思ったらトランプが陽性になって入院して退院してTikTokの話など成層圏離脱した今日この頃。

そのようなことを考えると、QuibiとWhatifiどちらがいいかな、などと平和なことを考えていられる自分の幸福に感謝するわけであります。

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