人間のDNAの8%はウィルス由来

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Photo by Johannes Plenio

「生物の進化はバクテリアやウィルスの感染によるものも大きく進化は樹形図でなく網状」という遺伝子の水平伝播(HGT)に関する本、The Tangled Tree を読み終わった、というかAudibleで聴き終わった。

前にNPRのScience Fridayで聞いてダウンロードしたまま放置してあったものを聴き始めたのだが、最初の方は延々ダーウィンとそのライバルの逸話や、さらにカールセーガンの元奥さんの科学者の話などが延々続き、「間違った本をダウンロードしたのかも」と思いながら聴き続けていたら、半分くらい過ぎたところでやっと水平伝播の話になった。100ページ以上読まないと主人公が出てこないアンナカレーニナのような本である。

抗生物質耐性菌の研究で世界の先駆けとなった日本の科学者も登場。次々に耐性がつくのは、ここのバクテリアが進化してそうなるのではなく、耐性ができたらその遺伝子が他のバクテリアにもシェアされていくから、と。今では、人間の遺伝子の8%は過去に感染したウィルスの残していったものだと判明している。AIDSを起こすHIVのように「感染した細胞のDNAに割り込む」という機能があるレトロウィルスの名残なのである。

「胎盤」という哺乳類を特徴づけるものもレトロウィルス由来。しかも、動物ごとに違うウィルス感染によって成り立ったらしく、「とある動物が胎盤機能を獲得、それがその後さまざまな種に進化した」という、私が子供の頃習った系統樹の発想はすでに時代遅れなのですね。

HGT的にはこんな感じらしい。(出典:Wikipedia

HGT

オレンジのラインはミトコンドリアで、Eukaryote(真核生物)にArchaea(古細菌)が取り込まれた。この辺の経緯は諸説あるようだが、人間の細胞にも存在しながらかつ独自のDNAを持つのは事実。そしてこれがないと酸素呼吸もできないという切っても切れない共生仲間にある。

以上のように、感染なきところ進化なし、というようなことが、ここ20年ほどの遺伝子解析で一気に判明してきた。

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昔カリブでサンゴの産卵を見たのだが、年に数回の産卵日にはサンゴだけではなくウミウシや貝類など各種無脊椎動物が同時に産卵、精子の放出を行う。ダイビングの途中、あちこちから立ち昇る白いユラユラを見て「これは絶対クロスコンタミしてる」と思った。実際、海の中の生物には、違う種なのに同じ柄のものとか、昼間は珊瑚や岩に生えた草のように見えるのに夜になると持ち場を離れて泳ぎ出して捕食するものなど、陸上生物で培った「生き物の分類概念」が揺らぐものがたくさんいる。これも相互にDNAをシェアしてるのでしょうか。

ちなみに、The Tangled Tree、本の途中で仲が良かった科学者二人が決裂するところがあって、その決裂の理由が一言「prokaryote(原核生物)」とあって、科学者らしい決裂理由だなと内心クスクスしました。

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