「クラウザー様はどこっ」
であった。クラウザー様はデトロイト・メタル・シティというギャグ漫画の主人公。ポップミュージシャンになりたかった青年が、事務所の意向でデスメタルバンドのギター・ボーカルにされてしまい、これが意外にも大ヒットして、内気で真面目で好きな子に告白もできない素顔と、バンド用にメイクした時のデスメタルのカリスマとしてのギャップが主たるギャグネタである。
で、Babymetalに戻ると、この週末はライブをYouTubeで片っ端から見ていた。 日本に住んでいる方には、「Babymetal?いまさら?」という感じなのかもしれないが、私、初めて知りました。先週ニューヨークで、昨日はロンドンでライブがあって、これが相当好評だった模様、というところから、へー、と思って見始めたら止まらなくなった。
Babymetalの「ヘビメタ+J-Pop」というのは「タコ餅マヨ・ピザ」みたいな、日本的には「意外だけどまぁあるかも」みたいな取り合わせながら、欧米的には「ひえー、なんじゃこりゃ」である。
そもそも、アメリカには(そして多分ヨーロッパにも)「男の子向けアイドル・ミュージシャン」というものが存在しない・・・と思う。とりあえず私は知らないし、今まで周りの人やティーン女子に聞いた範囲でも、知らない、とのことであった。どこかにはいるのかもしれないが確立したジャンルではない。アメリカの男子アイドルは女子ファン向けなのは無論、女子アイドルもファン層は女子なのである。ちょっと古いがBritney Spearsなども小学生とか中学生の女の子が親に連れられてコンサートに行く、といった感じ。
というわけで、そもそも「男子向けアイドル」自体が訳のわからないイロモノ・ジャンルであるのに、さらにそれにヘビメタをかけあわせるという、欧米の人的には「モウナニガナンダカワカラナイ」という超ジャンルになっている。
ヘビメタファンの意見は「こんなものがヘビメタと呼ばれるのは世も末」的な嫌悪派と、「楽しいしテクあるし好きだ」という応援派に二分される。
とはいえ、Iron MaidenやMetallicaといった大御所が出るヘビメタフェスでもWall of Deathができるほど好評となった。Wall of Deathとはヘビメタのライブで観客が興奮を原始的に表現して仲間同士で喜びを分かち合うものである・・・・というのは適当だが、どんなものかは下記参照。
ニューヨークで先週行われたライブにきた客層はというと、通称Metal Headと呼ばれるハードコアなメタルファン+日本オタ+老若男女、という、こちらもかなり不思議なミックスだったようだ。(リンク先に写真あり)。海賊版(?)のポスターを5ドルで売っている人もいて飛ぶように売れていたとか。ヘビメタライターのKim Kellyは編集者にライブに送り込まれて「頭痛がした」と言いながらも、「自分以外の観客は超盛り上がっており」周りの観客の多くがライブ終了後に「人生最高の日だった!!」と興奮して語り合っていた、と書いている。
結構、昔からのヘビメタファンのおじさんの心も掴んでいるようで、iTunesのレビューには
I have a granddaughter the age of the singers…..I like Babymetal.
というのもあった。80年代のヘビメタシーンを懐かしむ人たちも結構Babymetalのファンなようだ。このあたりは、Babymetalをプロデュースしている小林さん(Kobametal)という方の力量によるところが大きいようで、彼自身がヘビメタのハードコアなファンだそう。
Babymetalファンの中にも「人工的に作られたバンドを自分が聞くなんて信じられないけど、これはもうKobametalのヘビメタへの愛と知性の賜物だと思う」といったコメントも複数回見かけた。ヘビメタを知り尽くした人が、その要素と装置をきっちり取り入れ、タイトな音作りができる高度な力量のバックバンド(というか後ろで演奏している人たち)をライブに投入しているところが「変だけど本物」感を出しているのだろう。
私も昔はヘビメタが決して嫌いではなかった。Motley CrueとかVan Halenとか。メインで好きだったのはブリティッシュロックなのだが、メロディアス・熱唱系のヘビメタはギターがギャーンと言っても好きであった。
なので、Babymetalがサンフランシスコに来たらぜひライブに行ってみたい。iTunesでアルバムも買ったし、車で歌の練習もしておくぞ。
しかし、ちょっと心配なのは真剣なブラックメタル的な暴力的ライブだと怖いな、ということ。昨日Londonで行われたライブは、盛り上がりすぎてちょっと危険な状態になっていたようだ。いわく
I saw a worryingly high amount of people complaining about being hurt in the crowd. I even saw one girl get taken out cos she was having a panic attack from being crushed so badly.
「痛い思いをしたと不満を漏らしている人が心配になる程たくさんいた。 もみくちゃにされてパニックアタックを起こして運び出されている女の子もいたし。」
うーむ、そんなのに巻き込まれたらしばらく病院通いになりそう。「桟敷席」みたいなのはないのだろうか。2階席の後ろとかだったら大丈夫か。というか、誰か一緒にライブに行ってくれる人はいるのだろうか。いなさそう・・・。一人で行くのはちょっと寂しい。
いやー、しかし、15〜16歳の子たちが4年も前からこんなバンド活動をしているとは。日本とは恐ろしい国であるのぉ。Outliers的1万時間の訓練を実現するにはうってつけではある。
なお、最後に、ヘビメタからはちょっと外れるが、私にとっての永遠の名曲の中から2曲ほど:
David Bowieのこの曲はメルボルンのコンサートで聴いた
ブログ更新、いつも楽しみにしています。
ベビメタ、徐々に浸透しつつありますね(まさか、渡辺さんのブログでこの名前を聞くとは思わなかったです)
日本でも、「パフォーマンス見るのも嫌だ!!あんなの音楽じゃない!!」という断固否定派と
「MIX?結構いいじゃん」という容認派で分かれていますが、いずれにせよ話題性が高いことに変わりはないですね。YouTubeのコメント欄は海外勢を筆頭に結構荒れていましたが・・・。
個人的には、Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅのメタル版みたいな感覚で聴いている人が多い気がしますし、
曲調もバランスがよくて、アイドル特有の高めの声やダンスとバックバンドの重い演奏のギャップが癖になります(気が付くと、ギミチョコのフレーズを口ずさむ悲しい?自分がいます。)
彼女たちはルックスもよくて、テクニックもあるので、これからますますメジャーになるのではないでしょうか。
それにしても、メタルやブリティッシュロックがお好きなところが意外でした。
なかなか女性で、ロック好きっていない気がします。
(デトロイト・メタル・シティ、懐かしいですね(笑)映画版の松山ケンイチのコスプレを思い出して、笑ってしまいます。)
ライブ、早くサンフランシスコで開催されるといいですね!!私も参加したいです・・・
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音楽が好き→このスタイルでは無く、マーケッティング→このスタイルのように感じました。。。
クラウザー様は、メタルを演っていますけれど本当はカヒミカリとか渋谷系が好きなんですよね!
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>意外でした
女性のみならず男性も意外に少なくないですか?古い、っていうのもあるのかもしれませんが、ロック全盛期ですら、ロック好きな人、高校以降は周りに一人もいなかったです(in 日本)。
大学の頃の彼氏はユーミン的な音楽が好きな人で、一度U2のコンサートに一緒に行って、Bonoが出てきたところで私が(そして周囲も全員)ぎゃーとか言いながら立ち上がったら、横で呆れてました。前から3番目のど真ん中という涙出そうな席だったのに。感動して舞台に駆け上がってBonoを抱きしめて警備の人に連れ去られた男性客までいたのに・・・・。彼氏くんはずっと憮然とした顔で座ってて、越えられない壁を感じたひと時でした。一
>音楽が好き→このスタイルでは無く、マーケッティング→このスタイル
よくかんがえたら、クラウザー様を連想した理由を本文に書いてませんでしたね。わたし的にはもう、見た瞬間にクラウザーさんがギター弾いている気がしたのでw
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思わず見入ってしまいました。バックバンドが超かっこいい。これSFに来たら行きたいです。
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初めまして、日本のBABYMETAL関連情報のまとめサイトから飛んでまいりました。
聞くところによりますと、現在世界各地からライブ開催依頼がベビメタ運営
サイドに来ているようです。ご存知かもしれませんがYUIMETALとMOAMETALが
高校受験の時期なので来年3月までは大きな動きは起こらないとは思いますが、
4月以降に日本国内を含むライブツアーの日程が順次発表されるものと私は期待
しております。他の記事も少しずつ読まさせていただきます。
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