エンジニアでないファウンダーは最大一人まででお願いします

インターネット系ベンチャーがアメリカでエンジェル投資を受けるために重要なものの一つが「ファウンダーの中に技術者がいる」ということ。一番セクシーなのが、「3人全員MITのコンピュータサイエンス」みたいに、わらわらと優秀そうなエンジニアが始めたベンチャー。

一方、コードがかけない人はマックス一人、つまり、ゼロか1、というのが理想型でございます。

なぜか。

  • 理由1:変更につぐ変更を重ねられるようにする

最近 lean startup なる考え方がはやってますが、これはどういうことかというと、

トライする回数 × 成功率 = 成功

という式で、成功率の方をあげることは不可能なので、トライする回数を圧倒的に増やすのが成功の鍵だ、という発想なり。

サービスを作って、世に出して、使ってもらって、ユーザのフィードバックをもとに改善、改善などという生易しいものではだめそうだったら一度アイデアをスクラップして別のアイデアで再トライ、というプロセスをどれだけたくさん繰り返せるかが大事でっせ、ということです。

例えばAardvark。2月にGoogleが$50 millionで買収したソーシャルQAのベンチャーですが、違うアイデアのスクラップ・ビルドを6ヶ月繰り返した末にたどり着いたのがAardvarkだった、と言ってます。ファウンディングチームは全員エンジニアで、デザイナーすらいないというハードコア。(このプロセスについてAardvarkのファウンダーが語ってるスピーチはこちら。)

こうした「ユーザーフィードバックをもとにがんがん手を替え品を替えたサービスを(プロトタイプでもいいから)作っていく、というのは、エンジニアがファインディングチームにいないとほぼ不可能。内部にばりばりコードかける人がいないと、「一発勝負で最初のアイデアがあたってるか外れてるか」というギャンブルになりがち。

「だったら、エンジニア雇えばいいじゃん」

いやいや、それが結構難しい。お金がふんだんにあっても難しい。お金がなかったら非常に難しいです。ちょっと長くなりますが、Paul GrahamのThe 18 Mistakes that Kill Startupsより一項目を抜粋。

6. Hiring Bad Programmers

I forgot to include this in the early versions of the list, because nearly all the founders I know are programmers. This is not a serious problem for them. They might accidentally hire someone bad, but it's not going to kill the company. In a pinch they can do whatever's required themselves.

But when I think about what killed most of the startups in the e-commerce business back in the 90s, it was bad programmers. A lot of those companies were started by business guys who thought the way startups worked was that you had some clever idea and then hired programmers to implement it. That's actually much harder than it sounds—almost impossibly hard in fact—because business guys can't tell which are the good programmers. They don't even get a shot at the best ones, because no one really good wants a job implementing the vision of a business guy.

In practice what happens is that the business guys choose people they think are good programmers (it says here on his resume that he's a Microsoft Certified Developer) but who aren't. Then they're mystified to find that their startup lumbers along like a World War II bomber while their competitors scream past like jet fighters. This kind of startup is in the same position as a big company, but without the advantages.

So how do you pick good programmers if you're not a programmer? I don't think there's an answer. I was about to say you'd have to find a good programmer to help you hire people. But if you can't recognize good programmers, how would you even do that?

(赤にしたのは私)。「ビジネスの人が考えたアイデアをインプリしたがるエンジニアに優秀なのいないし」ってことですね。

二つ目は「アーリーステージでビジネスの人がやることあんまりないし」っていうのがあるんですが、長くなったので、また改めて。

 

エンジニアでないファウンダーは最大一人まででお願いします」への5件のフィードバック

  1. お久しぶりです。
    卒業して大企業に入ったけどなんとか好きな事で勝負したい!というまだ活きのいい社会人にもこの辺で大いに悩んでいるのがいますので、こういう発想で一歩を踏み出してほしいですね。

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  2. 日本だとエンジニアがMAX一人の場合があったりするから恐いのです。
    そら潰れて当然だわな。
    しかも日本で優秀な技術者を探すのは、シリコンバレーで
    探すのよりも難しいかもしれない。

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  3. ビジネス関係者が陥りやすい穴だと思います。
    示唆に富むよいお話をありがとうございました。

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  4. 非常に興味のある構造のお話でした。
    自分も視点は違いますが、同じような構造が必要だと考えている口です。
    自分の立場はエンジニア側でかつ経営。
    ところが、昨今の日本の技術スタッフは「他者に比較して秀でたアイデアを現実化する」事に対しての「モチベーション」と「実現する技術」を兼ね備えた人間が皆無に近い状況です。
    エンジニアの最大の特権は「自分の力だけで動くものが作れる」ということだと思っています。デザイナーもビジネスマンも、アイデアは作れますが、その実現は誰かに頼らなければならない。
    ところが、エンジニアは自分が手を動かせばモノが出来る。この利点、圧倒的な優位点を意識しないエンジニアがほとんどです。
    うちの会社でも自分が現在最も注力している点になります。

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