このままブログを書いていたことなど忘れてしまいそうな今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか。
さて、昨今シリコンバレーでは「エンジェル投資バブル」が起こっております。やっとサイトができました、2−3人でやってます、というくらいのベンチャーの企業価値があがるあがる、どんどんあがる。屋根まであがる。
主にインターネットベンチャーの世界での話ですが。
具体的に言うと、上記で言ったようなできたばかりのベンチャーの「リーズナブルな企業価値」は、去年の頭くらいまでは、(pre moneyで)$2 million前後くらいが相場だったのが、今は$4 million。$8 millionなんてのもザラにあるという状態。
TechCrunchのMichael Arringtonは$4 millionが限界的高さで今やそれを超えつつある、と今朝書いてましたが、ふふふ、$4 millionはもはや「リーズナブル」だよ、マイケルくん、って感じ。
投資するのは「エンジェル」といわれる個人投資家。エンジェル投資のその次の増資はベンチャーキャピタルからの「シリーズA」と呼ばれるものになるのが普通ですが、$8 millionなんていうと、シリーズAの相場になっちゃう。(こちらはエンジェルバブルに釣られて上がっているわけではないので。)
会社は育っていくにつれ、企業価値が上がっていくものなわけですが、エンジェルでも$8 million、シリーズAでも$8 milllionでは計算があわないあるですよ。
計算があわないのに投資したがる人がたくさんいる。これぞバブル。
で、まぁ、いまエンジェル投資を集めてる会社はいいですが、半年〜1年前に高い企業価値でエンジェル投資を受けてしまった人たちのなかには、同じ投資家からもう一回増資してもらったりしてしのいだりしてる模様。
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ちなみに、アメリカのエンジェル投資家、というと、個人でどーんと何千万、何億円と投資してくれる、と思ってる人がいるかもしれませんが、アニハカランヤ、相場は数百万円。
それも下の方。
200-300万円あれば一社あたりの投資額としては立派なものです。
シリコンバレーのエンジェル投資の親玉であり、Google投資で大成功したことで知られるRon Conwayは過去12年で500社に投資してきた・・・が一件はだいたい数百万円のはず。
で、そういう人が10人、20人と集まって、トータルで30万ドル〜70万ドルくらいの増資ラウンドにする、という感じ。
また、最近ではその手のエンジェルが他の人からも資金調達した$20-30 millionのミニファンドを運用しているケースもある(スーパーエンジェルなどと呼ばれますが)。そういうところだと、一件10万ドルくらい投資する場合も。
人気のベンチャーだと、この手のエンジェルやらスーパーエンジェルがワラワラと集まり、トータル$1 millionくらい集めたりするのでした。
例えばInDinero。正確な企業価値は知りませんが、相当な高値で増資したと思われます。投資家一覧はリンク先をご覧アレ。$1.2 millionを増資したこの会社、20歳のギャル(死語?)がファウンダーであります。しかし、15歳で大学に入ったので、20歳で既にUC Berkeleyをcomputer scienceの学位で卒業済み。共同創業者は、同じくUC Berkeleyのcomputer scienceを18歳で卒業した青少年です。
ちなみに、「20歳のギャル」は、中国系で背が高く、髪の毛サラサラ、強気で、自信に溢れ、押出し強く、あれですね、アメリカの恋愛カーストにおいて、かなり最高峰に位置する感じ。(日本で受ける「奥ゆかしくかわゆいタイプ」は、アメリカでは割とニッチ市場狙いとなります。ニッチなりに大きいのだが。)
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で、話を戻してエンジェル投資。
日本のエンジェル投資家の人の話を聞くと、一社あたり1000-3000万円、というのが多い気がするのですがどうでしょうか?
時々書いてきたと思うのですが、シリコンバレーでお金を集めるのは、日本より楽なわけでは決してありません。
投資家も多いがベンチャーもさらに多いので。
あくまで感覚的なものだけれど、1投資家あたりの有力ベンチャーの数は、圧倒的にシリコンバレーが多い。「犬も歩けば」状態。今エンジェル投資バブルで投資家が増えているとは言っても、まだ、需給関係は日本の方がベンチャーにとって有利ではないか、と思います。
なので日本のベンチャーの皆さんもがんばってください。
CrunchBaseなどを傍観していると、どんどんレイズされている投資をみて、バレーはすごいな、と思わされていました。一般的には、投資1口は意外と小口なんですね。
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なるほどー。先日、あるエンジェル投資家と話す機会がありましたが、サンダルに短パン!のお兄ちゃんでした。エー、せめてGパンにスニーカーだろと思いましたが、実際はオヤジさんの資金を運用しているエンジェルでした。恐るべしエンジェル2世。
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おお、このジェシカ嬢、UCBのVenture Labの私たちの
次の年の入賞チームと縁で、何度かお会いしました。
1.2milクローズしたんだ。がんばれー。
この”高値現象”、エンジェルラウンドのvaluationバブル
というよりは、Web2.0系におけるビジネス立ち上げ費用
のデフレ、それに伴うVCモデルの崩壊、というのが
正しい理解のような気がします。
従来SeriesAレベルの投資がないと達成できなかった
マイルストーンまで格安コストでいけてしまうので、
Valuationはそのままで必要capitalをおさえた資金調達
が許されるようになったと。
エンジェル側から見れば、従来VCに独占されていた
有望dealを肩代わりできるので嬉しい。最近は土地も
株もトホホなので望むところ。
起業する側からすると、VCのお財布の大きさは必要
なくなったので、資金運用の自由度を持つangelと
お付き合いしたほうがいいタームが引き出せる。
ということでウェブの世界でのearly stage VCの
レゾンデートルがますます弱くなってきてますね。
という現象を横目で見ながら、昔ながらの高コスト
ハードウェアビジネスでお金も燃やしている私たち。
ソフトウェア系はうらやましいっす。
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