海外での仕事に必要な英語のレベル

世界で働く皆さんの体験記を4回連載しましたが、英語ができたら働ける国、というのは英語圏でなくても結構ある。少なくとも最初は英語で入り込める、という国はたくさんあります。特にエンジニアだったらその傾向は強いと思います。

さて、では、どの程度の英語力があれば海外で働けるのか。著しく主観的に図解してみたいと思います。

海外で働いたことのない人が考える「海外で働くために必要な英語力はこのくらい」というのはこんな感じじゃないかと。あ、縦軸は「英語力」です。

Sla1

うわ、こりゃ遠い・・・・となるわけですが、実際はこんな感じじゃないかな、というのが下。

Sla2

特にエンジニアは「仕事で必要レベル」はかなり手の届くところにある、、、というか、完璧から程遠くてもOKなのです。エンジニア以外でも、「手に職系」の仕事はすべからくこの傾向があると思います。

(もちろん、「ニュースキャスターになる」とか、「映画俳優になる」とかだったらぜんぜん違うレベルですのであしからず。営業職もかなり上に近くないとだめです。)

で、この図を見ていただくと分かる通り、かなりゴールは近い。

さらに、よく見ると、学校で勉強した上昇度合い(実線)より、その先の点線の上昇度合い(点線)が大きい。これは、

「海外で働く、というゴールを持って勉強するのと、漫然と学校で言われたことをするのではモーチベーションが違う」

のに加え、

「学校で勉強するよりずっと効率的な英語の習得の仕方がある」

から。まぁ、ものはやりよう、です。日本の英語の勉強って、野球のプレーヤーになりたい人に、野球の解説者になる方法を教えるようなところがあるから、そうじゃなくてちゃんとやればすぐです。非常に大雑把に言って、1年頑張れば大抵なんとかなると思います。(中・高の英語をどれくらい真面目(orいい加減)にやったかによって、その1年の間の密度は変わりますが)。

「ちゃんとやる」やり方はまたの機会に。

  • おまけ

さて、「海外で英語で(エンジニアとして)仕事をするレベルの英語」を身につけ、実際に海外で働き始めたその後はどうなるか。

多くの人は、下記の3のような感じで刻々と完璧に近づいていく、と想像されていると思います。

Sla3

しかし、「とある国に住んだだけでその国の言葉がうまくなる」というのは幻想。

六本木あたりにいる、全く日本語ができない外人に「何年日本にいるの」と聞いてみてください。

「10年」

とか

「15年」

とかいう返事も結構かえってくることもあるはずです。

逆も真なり。

努力しないと「1」で終わります。(図形描画力の限界により、「1」は直線になっていますが、実際には、ちょっと点線より上にいったところで横ばいになるケース多し)。というわけで、「どこにいるか」ではないのでした。

海外での仕事に必要な英語のレベル」への8件のフィードバック

  1. オンライン英会話事業を運営しておりますが、今回の内容に激しく同意! です。
    うちなんかには、アメリカに住んでいるけれども、うちのサービス(フィリピン人とのマンツーマン)を利用されている方もいらっしゃいます。 恐らく、「1」になる恐怖感がそうさせているのだと思います。

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  2. この図、すごく分かりやすくて自分のイメージともぴったりです。一番下の図、壁に貼って語学学習のモチベーションにすることにしましたw 一方、2番目の図は優秀な日本国内の人材を囲い込んでいるメーカーから削除要請が来そうですねw

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  3. おまけのところに書いてある“1”の学習曲線を地で行くものです。
    今回のエントリ、まさにその通りと思って読みました。
    仕事(IT系技術職)はこなせていますが、生活面では基本的にサバイバル(何とか生き続けているという感じ)です。

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  4. 千賀さんの図は、分かりやすいですねー。
    この項を読んでいて、インドでインド人に、日本語を教えたことのある人の経験談を思い出しました。何でもインド人は、土着の言葉と、ヒンディー語と、英語と、3つ知っている人が多いから、日本語を教えても、ものすごくプラクティカルに習ったものから使っていくんだそうです。私のインド人の友人が、日本語の授業を取っていたときも、そういう感じで、「こんにちは。お元気ですか。」とかそういうレベルの日本語しか知らないのに、えんえん会話を続けていて、すごいなーと思いました。
    日本の中学レベルの英語でも、読み書きできる分だけ、話して聞くことさえ出来れば、かなりのことが出来ますよね。で、話して聞くっていうのは、もちろんトレーニングも必要だけど、度胸っていうか、自信っていうか、「人間同士なんだから、何とかなるはず。」っていう楽観的な見方ができるかどうかが、かなり重要な気がします。
    あと仕事で使えるかどうかは分からないけど、私は英語でも中国語でも会話があまり上手でなかった頃、よく筆談しました。例えば、fountain pen 万年筆が欲しい、っていうのちょっとしたアクセントが違うと通じないい言葉ってあるから。慣れるとパッと重要な名詞だけ書くタイミングとか、そういうのも分かってきて、結構使える手でした。

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  5. 「交渉」「表現」するのには高度な英語がいりますけど、
    一緒にものを「作る」仕事はほとんどいらないですよね。
     ぼくもエンジニアのハシクレで英語を使いますがひどいもんです。
    でも、相手も仕事だから積極的/好意的に理解してくれます。
    ただ、もう一歩「表現できれば」と思う場面は多々あり、勉強してます。
    グラフ、私の実感とは違います。
    仕事に「必要な」レベルは学校で習うレベルより大分低いです。
    「手に職」系に限れば長島茂雄の日本語レベルでも
    英語として通用しています。

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  6. 東南アジアにいると、仕事であっても寧ろ中途半端な英語の方が通じたりします。ネイティブの人のボキャや発音、スピードについていけないので。(僕の周りだけですかね??)
    ただその反面、中途半端な英語で通じるので、英語を使ってても全く持って上達しないですが・・・(涙)
    シンガポールなんて、レストランで
    お客「モア ライス キャン か?」(ご飯のお替りできる?)
    店員「キャン キャン!」(もちろん!)
    で通じてましたし。。
    > 「とある国に住んだだけでその国の言葉がうまくなる」というのは幻想。
    子供だけは例外ですよね。ほんと羨ましい。

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  7. これまでも日本からちょくちょく訪問させていただいていました。年末に日本からこちらへ移り、先週からベイエリアの企業で働き始めました。
    そしてタイムリーなこの記事。とてもわかりやすく説明されていて大きくうなづいてしまいました。
    私の適当な英語でも仕事はできてしまいます。が、自分の英語がこの後どこまで伸びるか(3になるか1になるか)は、自分でよっぽど意識しないとダメでしょうね。
    こちらに住んでいるネイティブの方はある意味親切で(ノンネイティブに慣れている)、こちらの適当英語でも理解してくれてしまうので、上達が遅れがちのような気もします…。

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  8. あと、そうそうこれも手に職系なんでしょうけど、クラッシック音楽関係の人で、海外で成功している東洋人って、最近かなりいますよね。そういう人も必ずしも英語上手ではないけど、何とかなっちゃうみたいです。それこそ、言葉で分析的に話せなくても、音楽を実際に口づさんだり、楽器で表現したり、さらにはボディーランゲージとかで、「こういう感じ」っていうのを伝えられるから。さらにいうと小澤征爾とか、「僕は英語できないから、寄付金を募るためのパーティーとか出ないで済んで、得だった。」とか対談で言ってるの、昔読みました。

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