答えから言うと、ありますよ、全然。w
昨日のエントリーへのコメントでこんな質問を頂きました。
アメリカでは修士の学位が評価されないと聞いたことがあります。
実際のところは、どうなんでしょうか。実際問題として、日本の社会人にとっては、修士の方がとりやすいです。
1、2年で取得できるので、会社に在籍したまま取得できる可能性があるので、万一アメリカでの就職に失敗しても、元の会社に残ることが出来るからです。ところが博士となると話は違ってきます。
確かにアメリカの博士課程は、学費免除と生活費の支給があるところもあるので、学生にとっては魅力的です。ですが、その時間がネックです。
6年前後の歳月がかかるため、すでに就職しているものは、会社を退職して、背水の陣で挑まなければなりません。
挑戦者の年齢が高ければ高いほど失敗時のリスクは高いです。なぜなら、日本ではアメリカと違って年齢が非常に重視されるからです。年齢が高いほど日本での就職は不利です。それがアメリカでの就職に失敗したときのリスクとなります。
私自身アメリカへの留学・アメリカでの就職を目指しているのですが、このことが気がかりです。
ながくなりましたが、アメリカでのmaster’s degree の評価について、
ご存知のことがありましたら是非、教えていただきたいです。
よろしくおねがいします。
大雑把に言って、アメリカでは、学士は、日本の高卒+アルファ、くらいの価値です。修士を出てやっと日本での4大卒くらいの価値になります。アメリカの博士=日本の修士、って感じ。
じゃあ修士は意味がないのか?上の方程式を見て頂ければ明らかですが、あります。修士すらなかったら、ただの学卒ですから。さらにいえば、「学歴が評価」されるのは卒業して数年のみ。それ以降は仕事での実績がものをいいます。つまり学歴は「エントリーチケット」でしかありません。
理系の開発職でも博士号がない人は沢山います。(ただしハードコアな開発や研究職ではすごく少なくなりますが。)
しかし、うーむ、博士の方が費用負担が少ないぞ、どうしたらいいんだ・・・
答えは簡単。
迷わず博士に行って、途中でやっぱり違う・・・と思ったら、修士が取れたところで中退すればOK。
明快ですな。
ちなみに、昨日の記事を読んで、「MBAって意味がないのか」と思った方がいたらそれも間違い。文系でMBAすらなかったらさらに厳しい。アメリカでは、学歴が与えてくれるのは安定ではなく、より大きな挑戦にトライできるチャンスだけ。
大昔、ドットコムバブル崩壊後の景気最悪期(←いつだよw)に書いた社会の上から下までリスクは一緒というエントリーがあるがそこから抜粋
求職難の中では、経歴が良すぎても雇用してもらえない。上の記述の後に、Waiter.comというレストランの出前代行会社では「配達ドライバー
を雇用するときも、経歴が良すぎる人は採用しない。すぐやめるから」という記載もあった。ドライバーにすらなれないのか・・・・そういえば1年位前に、
「大学卒という学歴を隠して、本屋のレジで採用してもらった、もと管理職」という人の記事も読んだことがある。経歴がぴったりじゃないと雇用されないということは、元管理職だろうが、元プール掃除だろうが、職探しの難しさはあんまり変わらないということだ。
社会の上から下までリスクは一緒。違うのは期待収入だけ、ということか。
アメリカは、「どれだけ努力を重ねてもいつまでも挑戦させられる社会」なのでありました。楽しいよ。
(参考:スタンフォードの博士過程を修士が取れたところで辞めて就職、現在30代で、某大手通信系技術企業で30人ほどの部下を束ねる寺澤さんのインタビュー1、2、3)。
>学歴は「エントリーチケット」
まさにそうですね!
特にMBAはイメージ戦略?が成功していることもあって、日本からみると取得=十分条件と幻想してしまいますが、当地ではMaster, MBA, Ph.D., M.D.いずれも必要条件を担保してくれるだけなんですよね。
入場券に自分だけの何かを足してゲートに向かわないと、行列を抜けることはできないわけです。なんたって全世界区なわけで。
ちなみに、年齢による差別のないアメリカですが、Ph.D.だけは、Ph.D.を取得した瞬間から時計が回り始めます。
Ph.D.取得後1年以内の人、3年以内の人、は応募可と言った具合に。
逆にPh.D.取得後3年以上という場合、募集毎にかなり具体的な実務経験が求められるようになります。
というわけで、日本ですでにPh.D.を取ってしまった人はその辺も肝に銘じる必要有りです。
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修士有り無しで永住権の取りやすさも違いますよ。
ビザ申請した時点(=日本国内での学歴)に関してなので、ちょっと千賀さんのポイントとは違うのですが・・・
日本国籍でHとかLビザステータスの人が永住権を取ろうとしたとき、I-485を申請してからApproval Notice(≒グリーンカード)が発行されるまでの待ち時間が年単位で違ってきます。
久しぶりにVisa Bulletinを見て驚いたのですが、なんとEB3は現在募集停止です。
修士 EB2 Current (待ちなし)
学士 EB3 Unavailable (現在募集停止)
http://travel.state.gov/visa/frvi/bulletin/bulletin_4558.html
失業率の高さゆえの措置のようですけど、修士なら居ても良いよということですね。
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ご回答ありがとうございます。
修士の取得も視野に入れて検討したいと思います。
まさか、新たなエントリーを建てて頂けるとは思いませんでした、光栄です。
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某工学系分野(非情報系)で大学教員をしております。
私の分野だと、修士と博士の初任給の差は1.5倍~2倍くらいでしょうか。工学修士だけで就ける開発職は限られていますし、更にそうそうマネジメント職には上がれません。そう考えると、修士と博士の間には日本で言う短大卒vs.修士くらいの大きな差があると感じています。このあたり、情報系ではずいぶん事情が違うのでしょう。
それから、Ph.D.を持っているとH1Bのビザサポートがやりやすくなるらしく、外国人を雇う上で大きな違いがあります(これもまた情報系では事情が違うと聞いております)。
>迷わず博士に行って、途中でやっぱり違う・・・と思ったら、修士が取れたところで中退すればOK。
おっしゃるとおりですが、指導教授の立場としてはお金を払っていた学生に去られるのは非常に困るものです。ですから、出願時はもちろん、入学後も口に出さないことをお勧めしますw
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一般的にアメリカでは日本の修士って正当な価値を評価されるんでしょうか?!
家族の諸事情でアメリカにはいけないのですが、今、国内で修士を目指しています。
ご教示頂ければ、光栄です!
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>Shiroさん
「正当な評価」とは何をさすのでしょうか?
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chikaです。
正当な評価・・・
global university rankingはこちら
http://www.webometrics.info/top6000.asp
http://en.wikipedia.org/wiki/Academic_Ranking_of_World_Universities
ま、評価母体によっていろいろですけど、大体こんな感じ?そういう意味では正当に評価されてると思いますヨ。
あと、どの大学かより、どの学科かが大事。就職先と学科違いだとビザが出ませんので。。。。
>グリーンカード)が発行されるまでの待ち時間が年単位で違ってきます
学歴によって違うのに加え、専攻した学問が、現在の職業と畑違いだと、却下されることも結構アリです。ビザ・グリーンカードは本当に超学歴がものを言いますです。
>修士と博士の初任給の差は1.5倍~2倍
それはすごいですね。どういう分野のどういった職業でしょうか?
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>それはすごいですね。どういう分野のどういった職業でしょうか?
上に書き込みましたとおり、某工学系です(これ以上はご容赦願いますが、どこにでもある専攻です)。Ph.D.を取った学生ですから卒業後の職種はR&Dが中心になりますが、一部は金融やコンサルティングに進みます。
上で書き忘れましたが、博士課程と修士課程では入学への競争率が極端に変わります。修士課程はメリットが少ないので人気が少なく、私の所だと入学者はPh.D.の一割程度しかいません。逆にPh.D.は経済面のサポートが手厚く卒業後の就職先にも恵まれるために人気が高く、どうしても競争率が高くなります。
MBAなどのプロフェッショナル養成のための修士課程はまた別物だと認識しております。このように分野によって随分事情が違うと思いますので、ご興味のある方はご自身の分野についてよくお調べになったほうが良いと思います。アメリカで発行されている業界の専門誌や学会のWebを見ると、job marketについての特集や学位別の給与の調査などが行われていることがあります。
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chikaです
どこでにもあるけど容赦、なんですねw
博士と修士で二倍差がある、というのはかなり稀な気がしますが、そもそも、博士だろうが修士だろうが就職が厳しいAerospaceのような分野もあるので、何をするにせよ個別に調べないとNGなのはquite agreeです。
日本と違って、どんなにレベルの高い大学でも専攻が違ってたらダメ、CaltechだろうがMITだろうが、専攻違いはNGですので皆様お気をつけアレ〜
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お、週末アップ予定の記事で引用させていただこう
> アメリカでは、学士は、日本の高卒+アルファ、くらいの価値です。
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応用数学系PhDです。私のイメージでは、
修士 → 面白い仕事に就くために勉強
博士 → 面白い事ことを勉強してそれを仕事に
という感じで、目的意識がかなり違います。
勉強する内容自体に興味があるなら迷わず博士でしょう。
逆に、「5年間頑張れば明るい世界が待っている」
みたいに思っているなら博士は辞めた方が良さげ。
だって、5年間を楽しめないなら時間がもったいないから。
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父が70年代にエンジニアリングでPh.D.取っていて、
定年になってアメリカ来たらあっさり永住権取れた。
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自分の会社しか知りませんが、PhD達は収入は高いし大事にされているけど、管理職にはならずに純粋に開発にいそしんでますね。技術系の二人のVPも、その下の伸び盛りのディレクターも修士です。修士をとった段階で、技術的な関心を突き詰める方向(博士)と、技術を生かしてビジネスを作る方向(就職)に別れるのかな、と思います。
印象として、PhD達はどういうわけかいつも楽しそうな一方で、それを管理してるエンジニアはなんだか頭痛そうな顔をしてますね。
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日本の大学で農業を学んできました(農学修士)。新卒で役所に就職しましたが、いい子ちゃんばかりのインテリ軍隊にうんざりして、半年で除隊してきました。日本にいてもあまり明るい未来はないと確信したので、これから西海岸の大学で農業博士を取得しようと考えています(農業といえばアメリカ、カリフォルニア、ミキプルーン、中井貴一というイメージから)。
そこでお伺いしたいのですが、西海岸でフルーツ農家や農業関係の組織に日本人としてはたらいているorベンチャーを起こされた事例はあるのでしょうか?
遺伝子系のバイオ関係だと仕事もたくさんあると思うのですが、問題は私の専攻が「畑の管理」であることです。日本では、水や肥料の投与によって(果物の)収量がどれくらい変わるか、糖度にどれくらい変化があるのかという研究をしていました。
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chikaです
>西海岸でフルーツ農家や農業関係の組織に日本人としてはたらいているorベンチャーを起こされた事例はあるのでしょうか?
ベンチャーじゃないですけど、松井農園。20代で日本からアメリカにわたった松井さんが一代で築いた大農園です。世界最大の蘭農家で、松井さんのnet worthは$150M+とか。
http://www.matsuinursery.net/andy.html
Po BronsonのWhy Do I Love These People? : Honest and Amazing Stories of True Familiesという本にも取り上げられています。
お嬢さんが書いた本もあり(↓ダンさんの書評)
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51176270.html
あと、GPSでyield manageする、なんていう分野はかなりテクノロジーよりです。
http://www.mapwatch.com/gps/gps-agriculture-farming.shtml
http://www.intel.com/embedded/15billion/applications/robot-tractors-roll.htm
UC Davisが農業関係ではメッカ・・・のはずですが、Napaのワイナリーの経営に関わる人もこの大学からかなり輩出されているそうですので、「水や肥料の投与によって(果物の)収量がどれくらい変わるか、糖度にどれくらい変化があるのか」というのはドンピシャじゃないでしょうか。
あと、松井さんが雇ってくれるかもしれませんw
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Chikaさま、
まじドンピシャです!ありがとうございます。思考回路がすっかり「終身雇用の路線以外の道はない」と役所ロジックに毒されていたので、デトックスできましたwさすがアメリカ、すばらしいです。松井さんに雇っていただいたらご報告しますw
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Chikaさん、
はじめまして。
古い記事に対するコメントで申し訳ありません。
私はシリコンバレー就職の為に、
アメリカ大学院(CS)の入学を目指して現在勉強中です。
そこでお聞きしたいのが、
2流の大学院でPh.D.を取得するのと、
1流の大学院でMSを取得するのとでは
下記点に関しどれくらい差がでるか、です。
①H1ビザ、グリーンカードの発行
(発行の通りやすさ、発行にかかる期間)
②選択できる就職先の範囲
よろしくお願いいたします。
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chikaです
PhDの方がビザには効くと思います。バリバリ論文を発表したり学会で発表したり特許を取ったりすれば、Oというスペシャルなビザが取れる可能性もあります。グリーンカードも「national interest waiver」というのが効く可能性も。(難しいですが)。
選択できる就職先の範囲は、具体的に行きたいと思っている大学の卒業生に聞くのがよろしいのでは。大学に聞いても教えてくれると思いますよ(向こうも良い学生をリクルーティングするために知恵を絞ってます。就職課的なところがあればそちらに聞いてみると)。
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日本の修士号が欧米のPhDと同じと言うのは間違っています。
アメリカのPhDは一般的に日本よりも取得は大変です。どの分野にせよ、論文を書いたり、研究をするのに要求される英語のレベルは英検1級やTOEIC900点でもまだまだ不足です。
学科にもよりますが、英語圏で取得した修士やは日本語権のPhD以上の価値と実力があると思います。また、英語圏のPhDは日本のPhDの2倍くらいの価値と実力があると思います。英語圏でPhD取った人は日本でも簡単に博士をとれるでしょう。でも、日本の有名大学で博士を取っても、アメリカの普通の大学の修士もとれないかもしれませんよ。特に英語力と論理的な文章を書けない人はね。まずは、修士を取ってみたほうがいいと思います。
また、アメリカは全部ひっくるめて修士とは判断しないです。「何の修士?」が重要です。工学修士なら仕事は山のようにあるでしょうが、文学修士ならずばり言って、全くないでしょう。
アメリカ人の「学歴」とは、日本のように有名大学を出て箔があるかよりも、「使える専門性を身に着けたか?」を就職の際に見られます。だから、ハーバードの文学部よりも地方州立大学の工学部のほうが簡単に仕事につけて、高い給与をもらいます。アメリカは実力主義なのでね。
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chikaです。
「アメリカの PhDと日本の修士を取るのは同じくらい簡単だ」という話ではありません。「シリコンバレーをはじめとする競争の激しいプロフェッショナルな場では、修士をもって日本の4大卒くらいの評価である」ということを書きました。
「アメリカは実力主義なのでね」に関しては、1つ前のエントリーで「ハーバードのMBAでも日本人がアメリカで就職するのは大変だ(口八丁が必要な文系だから)」と書いてます。
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シリコンバレーで幾度か長期インターンをしていました。若輩ながら少し指摘を。
アメリカの学士=高卒+α、修士=大卒という方程式はかなり語弊があると思います。グーグルやフェイスブックと言ったトップ企業の開発職にも学士卒は大勢いますし、自分の身の回りでは、修士卒は海外からの人が大半でした(後に説明)。修士は1,2年の授業ベース、学部時代に授業を多めにとるのと実質大差ありません。ご指摘の通り、アメリカでは仕事実績が物をいいます。エンジニア・管理職を目指すなら、修士ではなく直接そういった能力を養える仕事で経験を積む方が有意義でしょう。
ここでChikaさんがおっしゃっているのはアメリカ国外で学士をとったケースだと思いますが、その場合は確か修士を取るのが王道だと思います。中国・インドからの優秀なエンジニアたちも基本的にその道を通っている印象です。ただそれは「修士」が評価されるというよりは、「アメリカでの学歴」が評価されことになります。高校卒業後に直ぐにアメリカ留学を目指す志があるなら、そっちのほうが近道でしょう。
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