去年の夏HBS(ハーバードビジネススクール)を卒業して、それから今年の春までシリコンバレーのベンチャーで働いていた古賀さんのお話。
生まれたばかりのお子さんを抱え、ビザの切れ目が米国滞在の切れ目、という背水の陣の転職活動を経て、見事転職した、というメールを5月に頂き、是非それをブログに書こうと思って、幾星霜、もう9月じゃん、とあせっている今日この頃。
ちなみに、HBSというのは泣く子も黙るMBAの最高峰であります。スタンフォードだって悪くないけど、一般への知名度と言う点ではハーバードには適わない(はず)。
して、古賀さんは、そんなHBSを卒業したのに、卒業後1年の間に2回も就職活動をするチャレンジに見舞われたわけです。
卒業して最初の職探しでメールを頂いた。いわく
「シリコンバレーのベンチャーで働きたい」
で、冷たい私はあっさりメールで
「いや、それ、まず無理です。いろいろなMBA卒業生にこれまで相談を受けましたが、サマーインターンで実績を認められているというのでもない限り難しいと思います。日系企業だったら可能性はありますが」
という紋義理型でケンモホロロなお返事をした記憶が。一応、「とはいえ、前例がないこと=絶対ダメ、ではないので、第一号になるべくがんばってください」という類の結びにしましたが。
(ちなみに、私の世への情報伝達活動はオンラインに限っておりまして、滅多なことでは知らない人に会いません。睡眠時間が新生児並みに長く、起きている時間が著しく限られるので許して下され。)
しかし、古賀さんは見事ベンチャーでの事業開発の仕事をゲットし、さらに今回は東海岸でのベンチャーキャピタルの仕事をゲット。
・・・・と書くと何もかも簡単だったようだが、ご本人は大変だった模様。メールでは説明いただいたのだが、ご本人のブログを見ると、そのあたりの経緯は書いてないのであまり公言すべきではないのかも。なので控えます。
なので、以下一般論ですが、MBAを取っての米国就職は超大変です。日本で、どんな一流大学を出ていようと、マッキンゼーとかBCGとかそういうメジャーなコンサルティング会社で働いていようと、ゴールドマンのようなトップ投資銀行で働いていようと、大変。
トップクラスのビジネススクールでも大変。
というか、トップスクールほど大変かも。なぜなら、あなたの競争相手は、同じようにマッキンゼー(やゴールドマン)で働き、同じようにHBS(など)を卒業し、しかも英語ネイティブでアメリカのビジネス事業をよく知っている人たちなのだ。
ま、考えてもみて欲しい。MBAっていうのは言葉で仕事をするのです。日本で、つたない日本語の人が
「アナタノカイシャノ チホウキギョウムケセンリャク カンガエマス」
なんて応募してきて、その人を採用する会社がどれくらいあるでしょうか。(曲りなりにも、それがありえるアメリカがすごいという説アリ)。
有効技は「日本向け事業開発」。日本でのアライアンスパートナーを探すとか、日本での事業戦略を立てるとか、その他もろもろ、「日本しばり」で足がかりを作る。そこで実績をつくり、そこから広げていくのでした。
というわけで、がんばっている古賀さんのブログはこちら
おまけで、MITでMBA取得中の方のブログはこちら。MBA生が夏のインターンを獲得するには、というエントリーもあり。続き、さらに続きもあり。
あと、Kellogg在校生のブログも発見。大恐慌の只中の今年卒業する、という辛酸をなめた方が、就職のエッセンスをまとめたMBAアメリカ就活マニュアルもあり。(いや、しかし、今年MBA卒業ってほんとに気の毒・・・・)。
>Kellogの方の、就活にあたって「原則一切役に立たない要素」として
日本の一流大学出身
誰も知りやしねえ
というのは笑った。
(なお、東大は、University of Tokyoでは通じなくても、Todaiだと通じることがゴク稀にあります。なんじゃそりゃ、ですが。)
以上教訓は、そもそも競争相手も多くが外国人で、しかもMBAよりは沢山人数が必要なエンジニアリング系の留学をしたほうが、アメリカでの就職は確実です、という話でした。(ちょっとずれたかな)。
MBAに限らず、「文系」出身は全体に難しいとおもう。その話を書いて、ちかちゃんに突っ込まれたよね・・・
http://d.hatena.ne.jp/michikaifu/20090215/1234775271
で、それは日本人に限らず、アジア系米国人はずっとこの壁があって、だからアジア系の子供達は「小さい頃から無理やり算数を仕込まれ、エンジニアや薬剤師を目指させられる」のでありました。あ、ウチの息子はイザとなったらtech supportになれるので大丈夫ですけど。www
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Todaiで通じるのは、ほぼ間違いなく「ラブひな」の影響だと思いますよ。フランスでもリアルでありました…
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アメリカでは修士の学位が評価されないと聞いたことがあります。
実際のところは、どうなんでしょうか。
実際問題として、日本の社会人にとっては、修士の方がとりやすいです。
1、2年で取得できるので、会社に在籍したまま取得できる可能性があるので、万一アメリカでの就職に失敗しても、元の会社に残ることが出来るからです。
ところが博士となると話は違ってきます。
確かにアメリカの博士課程は、学費免除と生活費の支給があるところもあるので、学生にとっては魅力的です。
ですが、その時間がネックです。
6年前後の歳月がかかるため、すでに就職しているものは、会社を退職して、背水の陣で挑まなければなりません。
挑戦者の年齢が高ければ高いほど失敗時のリスクは高いです。
なぜなら、日本ではアメリカと違って年齢が非常に重視されるからです。年齢が高いほど日本での就職は不利です。それがアメリカでの就職に失敗したときのリスクとなります。
私自身アメリカへの留学・アメリカでの就職を目指しているのですが、このことが気がかりです。
ながくなりましたが、アメリカでのmaster’s degree の評価について、
ご存知のことがありましたら是非、教えていただきたいです。
よろしくおねがいします。
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古賀です。
> Chika さん
「いや、それ、まず無理です。第一号になるべくがんばってください」と言われ、「ちくしょう、絶対うまくいくと思ってないぞ、この人。必ず第一号になって連絡してやる!」と思いましたよ(笑)。
苦労しながらも就職も転職も希望通りに進みましたが、アメリカでの仕事は所属する会社や肩書きよりも個人の実績のほうがよほど大事ですので、実績を出せるように今後とも精進いたします。
> Michiさん
ご無沙汰です。「文系の中の理系」である金融工学系の仕事(ヘッジファンドなど)はコンタクトが来るんですけどね。これは言語に依存しないのでやりやすいと思います。
現在も、MBAトップスクールの卒業生たちがシリコンバレーで仕事先を探しています。確かに苦労が多くて大変ですが、うまくいけばとても面白い仕事をすることも可能ですので、ハイリスク・ハイリターンが好きな変人の皆様は一緒にがんばりましょう。
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たしかに、”文系”アメリカ就職って、難しいですよね。(ましてやアーリーステージのスタートアップにエンジニア系でなく雇ってもらうって、こちらのトップMBAのアメリカ人学生でも難しいですよね。古賀さんすごいです。)でもメッセージとしてここで”難しいです”というのは、あまりso what がないような気がします。
実際問題として、難しいですと言われて”理転”できる”文型キャリア”の方は、ほとんどいないのでは?そうは言われても今さらエンジニアとして留学は無理。けれど日本から出たいという方のほうが、数として圧倒的にたくさんいらっしゃると思うのです。(現在理系キャリア、もしくは理系学生の方がMBAに来たがっているという傾向は見られないと思うので、そちらを思いとどまらせる必要も薄いかと。)
むしろ今打ち出すべきメッセージは、「出るなら今のうち!!!急げ!!!」じゃないでしょうか。
ちかさんも指摘されたそちらコースの”王道”(まずは日本がらみで雇ってもらい、そこから経験と人脈を広げていく)って、今後日本経済ががしがし没落していったら、どんどん狭き門になってしまいますよね。
とにかく今利用できるものはなんでも使って脱出せよ!という緊急モードのほうが、「もう日本はだめだ」という絶望にはふさわしくありません?
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以前一度Yahooニュースで紹介されてからたまに読ませていただいてます。
私は今カリフォルニアの大学でAerospaceのMastersを取得している途中です。
理系のほうが就職は見つけやすいとのお話もありますが、この不況にCitizenshipが求められることが多い私の分野では全く楽観視ができません。
日本だと必要としてくれる企業があるだけに非常に悩みます。
あきらめずに頑張りたいと思います。
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昔、スタンフォードのMBAを出た日本人の友人が、就職に苦労していて、「そうかー、MBAを出ただけじゃ、駄目なんだー。」と思ったけど、ここまで大変だとは思いませんでした。
ちなみに文系で留学するには、MBAで就職するのとちょっと似ていて、日本系・アジア系の学問をトライしてみるのが良いかもしれません。もちろん分野は社会学とか経済学だろうけど、分析の対象を日本関係にするとか。あとは、できたら学生時代にもう一つアジアの言葉を覚えて、例えば日本・マレーシア・アメリカの三者比較、関係を研究するとかすると、少しユニークさが増すような気がします。
いずれにしても、アメリカの大学では、日本の大学とは比べ物にならないほど、推薦状が重要な意味を持ちます。だから、その辺りよく分かっている先生を見つけて、ちゃんと書いてもらうことが大事かと思います。
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chikaです。
>難しいですと言われて”理転”できる”文型キャリア”の方は、ほとんどいないのでは?
MBAに行こうと思ってるような人は、別に私が言わなくても勝手に行くし、世の中にハウツーも一杯あるし、なのでメッセージ対象として考えてないのでした。
さらには、既にバイリンガルレベルで英語が出来る人以外でB−School卒業後アメリカで働く、というのは、
「背水の陣で就職活動をする気がある人」
以外にはとても勧められないし、逆にそういう気がある人は、このエントリーを読んで逆にガッツが出て
「俺(私)も行くぜ!」
って思うんじゃないかな?
・・・で、そういう人たちは置いておいて、私のいつも言っている呪文のようなメッセージは、
「日本で普通レベルのエンジニアの人だったら、みんな海外で通用するよ。で、中でもアメリカで働きたいんだったらアメリカの院に行くのが楽だよ」
というもの。このエントリーもその一部なのでした。はい。
>アメリカでのmaster’s degree の評価について
は別エントリーで書きました。次の日へ進んでください。。。
>Aerospace
あああ、それはまた大変なものを選ばれましたね。aerospace以外のひねりが利かせられないでしょうか。
>MBAを出ただけじゃ、駄目なんだー
最初の足がかりが出来て、実績を見てもらうことが出来れば、あとはかなり楽になるんですけどねー・・・。
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私の部署もまるごとlay-offされ、ただいま就職活動中です。が、実際就職活動をはじめてみると、意外や意外、求人がごろごろ&リクルータからもメールがばんばん来てびっくり!特に将来有望(エネルギー関係とか)な分野でもないのですが、なぜだろう?と首をひっている今日この頃です。一ヶ月後くらいには状況ががらりと変わっているかもしれないので、この波に乗ってしまおう、と画策中です。
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MBAのあとシリコンバレーのベンチャーに文系就職した一人です。
入社したのは古き良き時代だし、東京本拠(シリコンバレーにいるのは月の1/3~1/4)なので大きなことは言えませんが、とまれ何度かのlayoffとliquidationの危機を乗り越えて、マネジメントチームの一員として今に至っています。
僕が思うにこの時代、日本人がシリコンバレーで文系職で生き残るこつは、こんなところかな。ちなみにBD職としての観点です。
1) 何でもいいから日本絡みで最初に実績を出す- ベンチャーは金づるは離さない。たとえ小規模でも日本から定期的な収入が上がれば、もはやあなたはscarce resource.
2)変わり身を早く- 戦略変更で、新市場、顧客を狙うことになったら、今までのことは無かったかのようにすっかり忘れて、、まっ先に新分野について詳しくなりましょう。ベンチャーなので社内に専門家はまだいません。いち早くエキスパートになれます。
3)大声をだす - おとなしい奴だと思われないように。シリコンバレーは声が大きな人が勝つ世界です。多少コンテクストから外れても会議ではがんがん意見をいいましょう。特に否定的な意見をきちんといいましょう。一目おかれます。
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どうもはじめまして。
遅ればせながらコメントを。
私も米国でMBA取得後、数年経ちますが、キャリアの面では苦労の連続です。
MBAで教えていることの真髄はGeneral ManagementとかStrategyだと思うのですが、この点を就職に活かそうと思うと必然的に戦略コンサルか、投資銀行でのM&Aの仕事になってしまいます。両方とも狭き門なので、その門をくぐれないと、残されたオポテュニティーはものすごく少ない、というのが卒業後の実感です。
私はもともとエンジニアなのですが、情報系ではないため(機械系)、こちらのほうのキャリアで面白い仕事にありつけるチャンスもなさそうで。
いっそのこと、自分の本当にやりたい事で企業でもしようかと画策中です。
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